2013年06月17日

ヘルスケアプロバイダーが呼吸確認にかける時間は?(今更な話題ですが…)

先日、Twitter等で投げかけさせてもらった「G2010-BLSヘルスケアプロバイダーコースの呼吸確認は5秒以上10秒以内か?」という問いについて、いくつかコメントが寄せられましたが、意外なことに意見がわかれました。

・呼吸確認だけで5秒以上10秒以内とする
・反応確認+呼吸確認が5秒以上10秒以内
・反応確認+呼吸確認+緊急通報完了までで5秒以上10秒以内

詳しく考察をしてくれたのが岡山のBLSインストラクターさん。

下記ブログ記事で「呼吸確認だけで5秒以上10秒未満とする」と解釈する根拠を説明してくれています。

「G2010-BLSヘルスケアプロバイダーの呼吸の確認の時間は5秒以上10秒以内?」
 http://jemta.sblo.jp/article/69497902.html
(AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会ヘルスケアー通信)


なるほどなと思う反面、ちょっと無理があるかなぁというのが率直な感想です。

特に、

「反応の確認は、時間がかからないとし、0秒とみなす」

というのはあまりに短絡的だなぁという印象。

現実、人が倒れていても非心停止の方が多いわけですし、そんな一瞬で「反応ナシ」って判断、なかなかできませんよね。「え、マジかよ。。。。」とマジマジとみちゃうと思うんです。なにより、「大丈夫ですか?」と声をかけるだけで1−2秒はかかります。

マネキン相手の練習だけで考えたら、そりゃ反応なくてあたり前だから一瞬で判断できますけど。


ブログで指摘されているようにBLSヘルスケアプロバイダーマニュアルに載っている試験規準に矛盾があるのも事実です。

10秒以内で、反応なし+呼吸なしを確認して通報を完了させろみたいな要求になってますが、現実、これは無理です。

通報に関しては、私は「誰か来てください!」と叫べばOKとしています。「反応なし呼吸なしor死戦期呼吸」を確認して次のアクションに移るまでの時間、ということで普段は指導しています。

つまり、「大丈夫ですか?」から「誰か来てください!」までの時間が5秒から10秒という説明の仕方です。

矛盾は残り、完璧ではありませんが、素直に読むとこの程度が妥当かなと思っているのですが、改めて皆さんどう考えますか? 意見を聞きたいです。

そもそもAHAはヘルスケアプロバイダーレベルでは、呼吸だけを確認するという概念をなくして、反応と呼吸をほぼ同時に確認するというスタンスを取っています。そこをあえて、「呼吸確認は何秒です」と言い切ってしまうのは、あまり適切ではないのでは? と考えています。

確かに受講者からの質問は多いです。これまでそういう教え方をしていたのですから、当然です。

そんなとき私はこう答えていました。

「G2010で反応確認と呼吸確認をほぼ同時にやるということになって、反応なし+呼吸なしを判断して、人を呼ぶまでが10秒以内という基準は示されています。現実、反応確認は顔を見るし、呼吸確認は胸・腹を見るので同時には無理。反応確認を数秒として、呼吸を見る時間はせいぜい5−6秒ってところじゃないでしょうか? ビデオのデモではどうでした?」

ということで、断定的なことは言わず、呼吸確認に何秒かけるという概念がなくなったことを伝えるようにしています。

もっとも、この部分の秒数計測はストップウォッチを使うように指示されている部分ではありませんから、11秒だったからといって、実技試験不合格、というようなものではありません。極端に遅い、速いということがなければいいわけです。

そういった意味ではどうでもいい部分なのですが、インストラクターの間での認識も随分違うようだったので、皆さんどうなのかなと思って取り上げさせて頂きました。

ということで、ご意見、情報がありましたら、皆さん、ぜひお寄せ下さい。




posted by めっつぇんばーむ at 17:48 | Comment(2) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2013年04月09日

AHA-ハートセイバー・ファーストエイド【G2010】

すっかり乗り遅れてしまって、いまさら? な感じはありますが、AHAのハートセイバー・ファーストエイドがついに公式日本語化されましたね。

ハートセイバー・ファーストエイドCPR AED受講者ワークブック     ハートセイバー・ファーストエイドCPR AEDインストラクターマニュアル


次の3点セットで完全日本語化として揃いました。

【受講者テキスト】 ハートセイバー・ファーストエイド CPR AED 受講者ワークブック
【レッスンマップ等】 ハートセイバー・ファーストエイド CPR AED インストラクターマニュアル
【コースDVD】 ハートセイバー・ファーストエイド CPR AED DVD


私がはじめてAHAファーストエイドコースを自分で開催したのは2007年か2008年。以来、恐らく数百人のファーストエイド・プロバイダーを輩出してきましたが、それまでは原則、英語版DVDと英語テキストを使っての開催でした。

現実的には、AMR福井BLS(現FISH)さんが作ってくれた、テキストの日本語訳と日本語字幕入りDVDを使っていたわけですが、まあ、いろいろ不便がありました。

また、私はたまたま福井BLSさんから日本語補助資料の提供をいただけたので、コース開催できててましたが、少なくとも全国規模で広がるようなものではなく、AHAのファーストエイドは極めてマイナーな状態が続いていました。

当時は、「ホントにAHA公式カードが出るんですか??」という、問い合せ、よくありましたもん。

それがガイドライン2010教材から公式に日本語化されましたので、ある意味、2013年はAHAファーストエイド元年と言っていいかもしれません。

全国規模でAHAコースを展開している日本ACLS協会さんも5月からハートセイバー・ファーストエイドコースを展開すると明言していますし、今後、日本の救命教育の中に、ファーストエイドという非心停止対応の概念が広まることを期待しています。特に、医療者に! 市民向けってバカにして、医師・看護師はファーストエイドを軽んじる傾向がありますが、病院を出れば、看護師なんて特に一市民と同じですからね。


ただ、このAHAガイドライン2010版のハートセイバー・ファーストエイド、なかなか癖があるというか、米国の法律に基づいた応急手当プログラムなので、日本国内でそのまま額面どおりに教えたらマズイという内容も含まれています。

そこをインストラクターがどう認識して伝えていくか、それが大きな課題です。

次回、ハートセイバー・ファーストエイド【G2010】コースに潜む落とし穴について取り上げようと思います。





posted by めっつぇんばーむ at 11:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年11月23日

BLSヘルスケアプロバイダーコース、テキスト&受講料の妥当性

オンライン書店アマゾンに掲載されているBLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアルの読者レビューがスゴイことになっています。批判の嵐!

インストラクターとして、日々受講者と対峙する私たちは、こういった疑問や批判の矢面に立つ機会に直面するかもしれません。

自分なりに、どのような答えを用意しておくか考えておくことも大切です。

ということで、いくつか抜粋してご紹介します。(引用元はこちら

一次救急のスキルを身につけたい全ての方にお勧めできる本書ではなるが、他の方も指摘しているように本書の内容や厚さ、また社会的な意義(一次救急は広く一般市民に普及させるべき物)という観点からは、価格的にどうなのかと思うところがある。実際にBLSヘルケアプロバイダー受講料と本書、CPRマスクをセットで購入すると2万円を超える価格になる。このような高価な物を一般の市民救助者になろうという善意の心のある方に、金銭的な負担を課すのは如何なものか、と思うのは私だけではないと思う。これは国策としても考えるべき物だと思う。("もえちゃん"さん、医学部学生)

期待して購入したら透明パッケージ入りの薄っぺらい冊子が到着。これで3500円とはいい商売です。
中身が確認できないから買ってみるまで分からない、なおかつ、講習の参加者は事前学習を求められるという、強迫観念のもと、買わざるを得ない、開封せざるを得ない状況。
病院などの勤め先で参加を指示されて、講習料含めて経費を請求できる人ならいざ知らず、15000円以上の講習会の講習料を支払って参加するのに。「救命措置を身に付けたい!」と望んできた人から、金銭かすめ取るなんてこの本を購入する人はホントにかわいそう。
BLS(一次救命措置)は社会に還元すべき医学知識であり、受講者マニュアルは参加費に含めて事前に配布またはPDFで全世界に公開すべきです。
("μ±£´ "μ±£´"さん)

皆さんだったら、もし講習会場でこんなダイレクトな意見を頂戴することがあったら、どのように答えますか?

値段が高い、というのは私も正直感じます。

でも医学書として考えたら、そんな目くじら立てるほどの感じはしません。

そう、つまりこのお二人の意見は一般書という視点で書かれているのがポイント。

よく読むと「一般の市民救助者になろうという善意の心のある方に」とか「『救命措置を身に付けたい!』と望んできた人から」という表現があるとおり、市民にとっては高いと主張されているわけです。

ここがそもそもの誤解。

BLSヘルスケアプロバイダー講習は善意でCPRを行うような一般市民向けコースではないという点。ここはインストラクターとして明確に伝えるべき点です。

米国の医療従事者は、このライセンスがないと医療機関で働けません。そのための職業ライセンス。そしてBLSヘルスケアプロバイダーコースは職業トレーニング。企業セミナーでそこそこの受講料がかかるのと同じです。消防や赤十字の市民普及コースとはまったく別次元の話なのです。

高い安いの価値判断は主観的なものですから、そこには踏み込みませんが、BLSヘルスケアプロバイダーコースの位置づけを勘違いされている方には、それを明確に伝えるのは私たちコース提供者の努めでしょう。背景を知らないと正しい価値判断もできません。

もう一度いいます。BLSヘルスケアプロバイダーコースは市民向けにCPRを広めるために作られたコースではありません。

市民向け普及というのであれば、ファミリー&フレンズCPRコース。これこそが日本の消防や赤十字の講習に相当するものです。

幸い、今回から公式日本語化されたので、今後はAHA講習は「ぼったくりだ!」的な意見は減るものと期待できます。

そのためにもインストラクターは、このファミリー&フレンズCPRをもっともっと宣伝していく必要があるでしょうね。

それとやっぱり、インストラクターなら、自分が教えられるAHA-BLSコースの種類と受講対象は把握しておかないとマズイと思いますよ。BLSヘルスケアプロバイダーコースとハートセイバーCPR AEDコース、そしてファミリー&フレンズCPR。この3種類のBLSコースの違い、ちゃんと把握していますか? 正規受講しろとは言いませんが、せめてテキストは読んでDVDを見て内容は把握しておくべきでしょう。


おまけ:医療者向けっていうのはなんにしても高いです。例えば免許の発行手数料。医師免許は6万円です。運転免許みたいな数千円レベルではないのです。事務手続き自体はそんなに変わらない気もしますが、まあ、現実そうなっています。そのあたりを考えてもらっても、BLSヘルスケアプロバイダーコースにかかる費用は納得しやすいんじゃないでしょうか? ちなみに看護師免許申請費用は9千円。薬剤師は3万円。





posted by めっつぇんばーむ at 06:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年11月19日

AEDの教えすぎは禁物、「聞く態度」を育てる講習へシフト

約1週間前に取り上げた通り、ガイドライン2010版のAHAハートセイバーAED講習では、AEDの操作法指導が大幅に簡略化されました。

かつては、安全確認を口酸っぱく教え、パッドを貼る位置、胸毛が濃い場合やペースメーカーが入っている場合など、「特殊な状況」も欠かさず説明していましたが、G2010版で教えるのは下記の2点だけです。

1.電源スイッチを入れる
2.音声指示に従う

実技試験の評価表に含まれているのは、AEDが到着したらすぐに電源スイッチを入れたかどうかだけです。そこでテストは終了。安全確認をしたかどうか、パッドの位置が適切かどうかは問われないのです。

ガイドライン2010ハートセイバーAEDの指導法変更


ガイドライン2010時代になっても、日本の消防や赤十字の市民向けプログラムでは、引き続き安全確認や胸毛やペースメーカーといった特殊な例の説明を必ず入れているはず。

さて、レベルが高いと思われているAHA講習がこんなにまで簡略化されてしまって、私たちはどう理解したらいいのでしょう? 特に市民からの質問の矢面に立つインストラクターには切実な問題。

結論から言いますと、これは否定的なニュアンスを持った簡略化ではなく、原点回帰ならびに改善です。

どうしてかというと、逆にこれまでの教え方がAEDの性質を考えた時に適切ではなかったのです。

AEDは操作法を暗記して使うような器械なのか?

違いますよね。AEDは練習せず誰でも使えます。そういう設計になっていますし、法律的にも誰が使ってもOK。だから駅や公共の場で誰でも手が届くところに置いてあるわけです。

ですから、AED操作で一番大事なことは、音声指示をよく聞いて、従うこと。

機種によってメッセージと細かい操作手順は違うわけですから、講習会で特定機種の使い方を丸暗記して習熟したところで、それはAED操作習得の本質ではありません。

どんな機種でも使えるようにするためには、「音声指示をよく聞いてそれに従う」という態度を涵養することが、AED講習の本来のあり方なのです。

教えすぎると、手順を覚えてしまい、肝心の「聞く」という態度がスポイルされてしまいます。

だから、丁寧に教えれば教えるほど、かえって逆効果。

そんな反省を踏まえて、G2010のAHA市民向け講習では、本来のAED講習のあり方に原点回帰したわけです。

AHAの一般市民向けファミリー&フレンズCPR講習のビデオの中でも言い切っています。

「AEDはとても簡単です。練習の必要がありません」と。



AHAのハートセイバーAEDコースといえば、ガイドライン2000時代に日本の市民向けAED講習220分のカリキュラムを作るときに、たたき台(というより模倣)にしたことでよく知られています。

つまり日本のAED講習はAHAのハートセイバーAEDから始まっているのですが、その日本を先行しているプログラムでのこの大幅な方向転換。

日本はどう追いついていくんでしょうね。

恐らくAHAのこの方向転換の事実、BLSインストラクターの中でも気づいている人は少ないはず。(ヘルスケアプロバイダーコースでは従来通りのママですから)

常に救命講習の先端を行くAHAインストラクターはぜひ、このAED講習のあり方の変化についてきちんと自分の中で咀嚼している必要があるでしょう。




posted by めっつぇんばーむ at 06:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年11月13日

AED指導が割愛されたAHAハートセイバーCPR AED【G2010】の謎

熱心なAHAインストラクターの皆さんはすでにチェック済みと思いますが、これ、AHAのハートセイバーCPR AEDコース【G2010版】のスキルチェックシート、つまり実技試験の評価表の一部です。

ハートセイバーCPR AEDコース・スキルチェックシートG2010


ガイドライン2005から2010になって、対応義務のある市民向け講習であるハートセイバーAEDはどう変わったんだろうと思って上から見ていくと、市民向けでは、やっぱり反応なしの段階で通報なのね、呼吸確認法が変わってる、CABだ! ってな具合に読み進んで行かれるのですが、意外な所で引っかかります。

それはAEDの項目。

G2010ではAEDに関しては大きなプロトコルの修正はなく、せいぜい乳児へのAEDをどうするかという程度だったはずなのですが、ハートセイバーコースの中でAED指導は大きくさまがわりしました。

それがこのチェックシートから読み取れるでしょうか?

そう、AEDに関する実技試験項目は、

12.Turns on the AED immediately after it arrives.


という一項目だけ。

AEDが届いたら電源スイッチさえ入れればそれでOK。AED操作の実技評価は修了なのです。G2005では、正しいパッドを選んで正しい位置に貼る、解析やショックの前には離れるように言うとかありましたが、それらが一切割愛されました。

「みんな離れて!」と言わなくても、実技試験は合格なのです。

厳密に言うと、胸骨圧迫の深さをチェックできる機構を備えたマネキンを使っていない場合は、AEDのスイッチを入れた段階で、「お疲れさまでした! 試験終了です。合格です!」となる塩梅。

AHAインストラクターでもにわかには信じられない人、多いんじゃないでしょうか?

でも事実です。

さらにいうとDVDの中でもテキストでも、「胸毛が濃い場合、濡れている場合、ペースメーカーが入っている場合、貼付薬がある場合」の説明は一切ありません。

どうしちゃったのAHA? そんな声も聞こえてきそうなこのハートセイバーAEDコースの大改定。

インストラクターの皆さんはどう理解するでしょうか?

そして、ハートセイバーAEDコースを開催するとき、皆さんの指導の実際はどのようにするでしょうか?

ちょっと考えてみてください。

私なりの理解・解釈はまた日を改めて書こうと思います。


追記:→ 「AEDの教えすぎは禁物、「聞く態度」を育てる講習へシフト




posted by めっつぇんばーむ at 21:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年08月25日

ファミリー&フレンズCPRコースDVD【日本語版】予約開始!

思いのほか早く、ファミリー&フレンズCPRのコースDVD【日本語版】が発売になるようです。

9月5日発売開始で、すでにディストリビューターでは予約受付を開始しています。

ファミリー&フレンズCPRファシリテーターガイド&DVD

気になるお値段は、DVDにファシリテーターガイド(運営マニュアル)が付いて、3,570円(税込み)。

予想に反して安くてびっくりしました。

これだったら、誰でも気軽に買えるし、草の根的にCPR講習を開催できますね!

となると、やっぱり気になるのは、受講者マニュアルの値段。1冊735円で5冊単位の販売。

以前にも書きましたが、米国ではこれ、5冊一組で7ドル50セントなんですよ。つまり1冊あたり1ドル50セント。

アメリカ国内販売と日本販売では6倍の開き!

これがDVDになると米国売価$30で、日本は3,570円で、ほぼ等価。

何なんでしょうね? このアンバランスさ。

日本でDVDは売れるでしょうけど、米国と違って受講者マニュアルは売れないと思います。

まあ、講習開催の上でなにより大事なのはDVDですから、まあ、一般ファシリテーターにとってはそれほど困る事態ではないのですが、AHAの販売戦略はどうなっているのか、謎です。


さて、ファミリー&フレンズCPRのコースDVDの入手先ですが、今はAHA日本国内代理店の シェパードバイオメディス がオンライン販売の予約を受け付けています。

どっちを推奨する、とはあえて言いませんが、私はバイオメディスで予約しています。

条件を比べてみると、次のような違いがあります。

シェパード:1万円以上の買い物で送料無料:それ以外は1回500円
バイオメディス:4千円以上の買い物で送料無料:それ以外は1回500円

ファミリー&フレンズCPRのDVDだけの注文なら4,000円以下なので、どちらで買っても送料500円がかかるという点では同じですが、8月31日までの注文だとバイオメディスでは5パーセント引きのクーポンが使えます。

注文品の商品到着に関してはシェパードの方が1-2日程度早い可能性が高いです。

注文の時の参考にしてください。


【参考記事】
AHAファミリー&フレンズCPR〜市民向け蘇生講習の革命
バイオメディスでもAHA日本語教材が買えます




posted by めっつぇんばーむ at 10:58 | Comment(5) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年08月07日

バイオメディスでもAHA日本語教材が買えます

日本語版ACLSインストラクターマニュアルとコースDVDの予約販売が開始になりましたね。

AHA日本語教材の代理店といえば、シェパードが有名ですが、今ガイドライン教材からは、あらたにバイオメディスという会社が参入してきています。(厳密にはACLSリソースマニュアルからです)

http://www.biomedis.co.jp/shopping/

バイオメディスはG2005時代には、AHA教材の翻訳を一手に引き受けていた会社。今は翻訳は別の会社に変更になって、AHA ECC日本語公式ページの運営を行っている外資系企業です。

6月にリリースされたのファミリー&フレンズCPRとガイドライン2010原著を、このバイオメディスで購入してみましたが、なかなかいい感じでした。

・4000円以上の購入で送料無料
・クレジットカード決済

このあたりでシェパードより軍配が上がるかなという気がします。シェパードさんは1万円以上で送料無料、決済は銀行振込でしたよね。(←今はクレジットカード使えるようになってるみたいです)


8月20日までは5%オフのクーポンが使えるのも見逃せません。


なお、予約販売の商品到着日に関しては、過去の実績から言うと関東の人はシェパードのほうが数日程度早く届く可能性が高いです。

シェパードは販売日の2日前程度に発送しているようで、首都圏では発売日の前日に届いたというケースが多いようです。この点バイオメディスでは、発売日に発送をしているようで、届くのはその翌日か翌々日になる模様。


以上、参考になりましたら。



余談ですが、一般書店に流通するものは、AHA正規代理店のひとつ、シナジーが取り扱っています。シナジーは直販は行なわず、書店(アマゾンなども含めて)販売のみという契約になっているようです。

こちらは一般書の流通経路に乗って販売されますので、公式リリース日より早く店頭に並ぶ所もあれば、アマゾンのように大幅に遅れる事もあり、一定しません。

早い確実な入手を望むなら、直販店のシェパードか、バイオメディスへ、という選択が正解です。


posted by めっつぇんばーむ at 23:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年07月21日

AHA-BLSテキスト、ひっそり誤訳修正されてました

前回、このブログでお伝えした BLSヘルスケアプロバイダーマニュアル【G2010】の翻訳間違い問題 ですが、なんのアナウンスもなくひっそりと修正されていることが判明しました。(わかったのは前回記事のすぐ後なのですが、ブログ更新のタイミングが遅れました。スイマセン)

結論からいいますと、いま書店に並んでいる BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアル では、「補助呼吸」という訳語部分の多くは「人工呼吸」に改められました。

補助呼吸→人工呼吸に修正された

補助呼吸という単語は「呼吸なし、脈あり」の場合に行なう5-6秒に1回(成人)の人工呼吸をさす言葉としてのみ使われています。

実はこの点、今年の2月に私がAHAに申し出て、AHAも非を認めて修正に至ったものですが、私へのAHAからの公式回答は6月。この時点では、本の修正予定は未定と書かれていましたが、調べてみると、実は2012年3月にはすでに修正された改訂版が刷られて流通していた模様。

BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアルの奥付(翻訳間違い修正前の初版)
↑初版(2011年9月)は、人工呼吸を「補助呼吸」を不適切に訳出している

BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアルの奥付(誤訳修正済み)
↑第二版?(2012年3月)のものは、G2005を踏襲して人工呼吸という訳語に修正済み


結論から言えば、AHAの広報窓口と出版関係担当がまったく別で、お互いに情報を共有していなかったということなのですが、それにしても困っちゃいますよね。

このテキストの訳語修正のこと、インストラクターの皆さん、ご存知でしたか?

ヘルスケアプロバイダー受講者マニュアルの監訳を担当した日本ACLS協会関係者は当然知っていたと思いますが、本来すべてのAHAインストラクターに事前通知されなければならないことと思いますが、いかがでしょう?

私も受講者の方から教えてもらって、その修正を知った次第で、面目が立たないというかなんと言うか、、、

訳語修正に関しては、いちおう AHA ECC公式日本語ページでPDFで情報公開 されていますが、そこに追加して、現在出版されているものは修正済みである点、またどの版以前が誤記なのか示していただきたいものです。


posted by めっつぇんばーむ at 11:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年06月21日

ヘルスケアプロバイダーマニュアル誤訳訂正「補助呼吸」→「人工呼吸」

G2010版BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアルの日本語訳がおかしいんじゃないかという指摘を以前に書いたかと思いますが、その問い合わせの返答がAHAから届きました。

で、やっぱり誤訳、ということで晴れて訂正。

今週中には、AHA ECC公式日本語サイト で公示されるそうです。

その誤訳とはなにかというと、いわゆる人工呼吸を示す"give breaths"というフレーズを「補助呼吸」と訳出していた点。

それでいて「呼吸なし、脈あり」の時の特殊な人工呼吸"rescue breathing"のことも「補助呼吸」と訳していて、英語ではきっちりと区別されている両者が日本語版では同一視されてしまうという問題。

AHAとして公式に間違いを認めた形になりますが、テキストが改定されるのか、それとも正誤表がつけられるだけで終わるのかはわかりません。

取り急ぎ、速報としまして。




posted by めっつぇんばーむ at 02:35 | Comment(3) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年06月09日

AHAガイドライン2010、ACLS、ファミリー&フレンズ日本語版予約開始

先日、Twiiter で新しいAHA教材日本語版の予約が開始になったことをお伝えしましたが、アマゾン(出版元はシナジー)でも予約が始まりました。

発売日はオンライン直販店のシェパードと同じ6月27日です。



ガイドライン2010は私も密かに監修に関わらせてもらってます。私が注釈入れたり、修正した部分がどう反映されているのか楽しみ♪ ちなみに英語版原本は2010年のシカゴAHA-Ressの時、会場で買ってきましたが(っていうよりもらった)、確か$25だったような、、、日本語版は3倍!



これでACLSの受講者さん、大助かりです。これまで英語版で勉強してきてください、って言われてたわけですから。医師ならいざ知らず、普通のナースに英語で二次救命を勉強しろなんてかなり無理難題。(最近は看護大卒が増えてきてそうでもない!?)

G2010のACLSプロバイダーコースでは、筆記試験問題が、25問から50問に増えて、古い教材やガイドラインのハイライトやECCハンドブックで勉強するだけでは、とうてい追いつけません。

これでようやくフルサイズで予習ができるようになりました。今後は筆記試験に通らなければ、受講者の自己責任?(笑)

残念ながら、インストラクターマニュアルやDVD教材の日本語版は8月頃だそうです。つまり、しばらくの間、講習は英語のDVDの時期が続きます。万全を期すためには受講生的には9月以降くらいを狙うと、完全日本語で最大の恩恵があずかれるかも。



ガイドライン2010教材リリースの中で最大に価値があるのが、このファミリー&フレンズCPRの初日本語化でしょう。

ファシリテーター・ガイドと付属のコースDVDの日本語版リリース時期がアナウンスされていないのが気になりますが、受講者マニュアルが出る以上、必ず出るはず。そこに期待しています。

ファミリー&フレンズCPR講習の価値はそのDVDにあります。

正直、このマニュアルの出来栄えはそれほどでも、、、、アメリカでは1冊あたり$1-50で、下手すると自治体などで配っている無料の小冊子程度の感じです。それが日本語版では1冊700円。700円だけの価値があるかなというと正直疑問。

5冊単位での販売ということで、一般受講者が買うことを期待しているわけではなく、トレーニングセンター単位とかインストラクターが購入して、受講者に配るというスタイルを想定しているものと思われます。

安くて1万3千円、高いと2万6千円の受講料を取って開催しているBLSヘルスケアプロバイダーコース。その前とか後ろで1時間程度時間をとって、市民向けボランティア講習を併催するというスタイルが一般的になるといいですね。

ファミリー&フレンズCPRに関しては一つ前のブログ記事 『AHAファミリー&フレンズCPR〜市民向け蘇生講習の革命』 で詳しく解説していますので、どうぞそちらもご覧ください。




posted by めっつぇんばーむ at 13:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年05月31日

AHAファミリー&フレンズCPR〜市民向け蘇生講習の革命

6月27日発売開始! 新しいAHA日本語教材リリースの情報が入りました。

ACLSプロバイダーマニュアル G2010
AHAガイドライン2010
ファミリー&フレンズCPR G2010

今回の目玉は、なんといっても「ファミリー&フレンズCPR」(FF-CPR)でしょう。

ファミリー&フレンズCPR受講者マニュアル日本語版G2010


ff-cpr-1.jpg  ff-cpr-2.jpg


ご存じない方も多いかもしれませんが、FF-CPRはアメリカ心臓協会の"一般"市民向け心肺蘇生法プログラムです。

AHAの市民向けというとハートセイバーAEDが知られていますが、HS-AEDは一般市民向け、ではありません。正しくは、「応召義務のある」市民向けで、ホントの意味での一般市民向け講習Family & Friends CPRは、これまで日本には導入されていませんでした。

つまり今回のファミリー&フレンズCPRは、日本では初上陸、なのです。

しかもG2010になって、AHA史上の大革命。なんと、AHAインストラクター資格がなくても、FF-CPRのDVDを使って誰でも講習会を開催できるようになりました!

これまでは、BLSインストラクターかハートセイバーインストラクターが、トレーニングセンターと提携したAHA公認コースとしてしか開催が認められていませんでしたが、G2010からは大幅路線変更。

ファシリテーターガイド(現時点英語版のみ$29-90。やがて日本語化予定)を購入すれば、DVDが付属していて、誰でもファミリー&フレンズCPRコースを開催できます。


◆アメリカ心臓協会のファミリー&フレンズCPRとは

日本ではAHA講習というとBLSヘルスケアプロバイダーコースとかACLSとか、受講料が何万円もかかる医師・看護師向けの専門講習のイメージが強いかもしれませんが、米国のAHAはそんなお高くとまった団体ではありません。

プロにはプロ向けの本格的な教育を、そして救命の連鎖の裾野を広げるために、市民には無料もしくは最低限の実費で良質のプログラムを提供しています。

その代表がこのファミリー&フレンズCPR。(他に「子どもファーストエイド編」もあります)

無料講習といってもその内容は世界に認められたAHAクォリティ。ビデオ教材のできばえや、インストラクショナル・デザインに裏打ちされた内容。すばらしいです。

ファミリー&フレンズCPR動画の一場面  ファミリー&フレンズCPR-DVDの一場面


日本では、受講料と講習時間、専門的過ぎる内容から、一般市民がAHAクォリティの恩恵にあずかるチャンスは皆無でしたが、ファミリー&フレンズCPRが公式日本語化されることで、消防や日赤が中心だった市民向け蘇生教育の世界に一石を投じることになりそうです。


◆FF-CPRの内容

他のAHA講習プログラムと同じで、ビデオ教材を使って、画面を見ながら練習するスタイルです。

3つのモジュールに分かれていて、成人、小児(1歳〜思春期)、乳児(1歳未満)。

私は日ごろ成人編のみを使うことが多いですが、3つ全部やってもいいし、小児や乳児だけを教えることも可能です。

各モジュールの構成は、お父さんが倒れた、赤ちゃんがぐったりしているという救助場面の再現ビデオ(?)から始まって、受講者のモチベーションへの働きかけが工夫されています。

ファミリー&フレンズCPR動画の一場面  ファミリー&フレンズCPR動画の一場面


説明はきわめてシンプル。しかし、胸骨圧迫の仕組みや、胸や腹を押すことで窒息解除ができる仕組みなど、コンピュータグラフィックスを駆使した説明がとてもわかりやすいです。

実技練習は、AHAがG2005で開発したPWW(practice while watching)という"見ながら練習"。これはBLS-HCPなどで日本でもすっかりお馴染みのやり方。

日本のトラディショナルな講習スタイルしか知らない市民の方には、かなり新鮮に映るかも。

長々と説明せずに、モチベーションを揚げて、さっさと練習をさせるという成人学習理論に基づいた構成はG2005ゆずり。なぜかHCP-G2010では捨ててしまったスタイルですが、FF-CPRではしっかり残っています。

映像教材でモチベーションをあげて、すぐに"見ながら練習"。実際にやってみるとサクサク気持ちよく進んでいきます。公式な所要時間は25分。それでいて、練習量や後に残る実感はずっしりとあるから不思議。

今回のガイドライン改訂では、CPRに着手してもらうこと、実際に出来ることを無理なくやってもらうという実行性(implementation)が最大のテーマになっていますが、FF-CPRもその流れに乗り、成人編では、人工呼吸は教えないハンズオンリーCPR Hands Only CPR となっています。

小児編では、呼吸原性心停止ないしはショック性心停止ということで、口対口人工呼吸練習が盛り込まれています。乳児編もしかり。自分の口で赤ちゃんの口と鼻を覆い、呼気を吹き込む練習が入ります。


◆AHA-BLSインストラクターに与えるインパクト

このファミリー&フレンズCPR完全日本語化はAHA-BLSインストラクターにとっても朗報です。AHAインストラクターはビデオ教材があってなんぼのもの。勤務先病院とか地元ボランティアで心肺蘇生法を教えようと思ってもHCPやハートセイバーのビデオを流用して教えていいのかとか、悩みは多かったはず。

その点、FF-CPRは必ずしもトレーニングセンターとの提携しなくても開催できますし、堂々とAHAインストラクターとして名乗って開催してもいいでしょうし。

BLSインストラクターが有料の職業人向けAHAコース以外で、堂々とインストラクター活動ができるようになるというのは、遅ればせながら日本では画期的なことです。

これまで日本のITCやトレーニングサイトは、万単位の受講料を取る営利団体とも思われかねないような活動しかできていませんでしたが、このFF-CPRが日本語化されれば、ほんとの意味で地域貢献ができるようになります。

心肺蘇生法を勉強したいと市民が思ったときに、AHAトレーニングサイト、と真っ先にイメージしてくれるようになったらうれしいですよね。現時点、市民の間でAHAなんて認知度ゼロですから(笑)

ファミリー&フレンズCPRファシリテーターガイド

◆日本の市民向け講習に与えるインパクト

G2010のFF-CPRのすごいところは、AHAインストラクター以外でも開催できるようになった点。

つまり、消防の普通救命講習の教材としてFF-CPRのDVDを使うことも可能ですし、職場のちょっとした勉強会とか、地域ボランティアのネタとしても、誰でも使えるのです。

もともとAHA講習は、インストラクターの質の良し悪しに拠らず、一定品質の講習が提供できることを目指してビデオ教材を開発、工夫を重ねてきました。

このFF-CPRのビデオは、画面の中でインストラクターが解説をし、デモンストレーションをし、見ながら練習(PWW:practice while watching)で受講者はビデオを見ながら自己練習を行ないます。

つまり、インストラクターの指導や介在がなくても講習展開できるように工夫されているのです。

これがFF-CPRを誰でも開催できる仕組みです。

厳密にいうと、AHAインストラクターがFF-CPR講習を開催する場合は「インストラクション」で、nonインストラクターが開催する場合は、「ファシリテーション」という表現を使って区別されています。まあ、そんなのはどうでもいいのですが、いちおう建前として書いておきます。


心肺蘇生法講習を主催したことある人は、よくご存知と思いますが、みんなの前で説明したり、練習の流れを作って人を誘導して、というのが難しいです。

それをビデオ教材を使うことで、流れは勝手に出来て、説明も必要なことは全部伝えてくれる、ということで超楽チンになります。マネキンを用意して人を集めてビデオを見せて自己練習してもらう場を作る、それだけなんです。

知識やスキルがある人は、オプションとして説明や練習を加えたりすることで、大きく発展させられます。余計なことが含まれず、シンプルにプレーンな内容なだけに工夫次第でホントに使い道があります。

特に小児や乳児の蘇生法って教えたことがある人が少なくて、他の指導員資格を持っている人でも自信がないという人が多いと思います。そんなところでもこのDVDが大きな効果を上げるんじゃないかなと思います。

ただ、残念なことにAHA版ガイドライン2010準拠のFF-CPRは、小児の部分では日本版ガイドラインとの差異が若干あります。

また成人にしても、正式なカリキュラム中には人工呼吸とAED練習が含まれていないため、普通救命講習として開催するのは、+αの工夫が必要だったりします。それでも、これまでは1万8千円近くを払わなければ見ることができなかった、蘇生科学の権威AHAの教材に市民が誰でも触れることができる恩恵はあまりあると思います。

これを刺激に、日本の救命講習のスタイルも少しは変わってくるといいのになと期待しています。




posted by めっつぇんばーむ at 22:31 | Comment(6) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2012年05月05日

「救急蘇生法の指針医療従事者用 2010」がリリースされてました

気づけば、いつの間にか「救急蘇生法の指針医療従事者用 2010」が出てました。

救急蘇生法の指針医療従事者用 2010


日本蘇生協議会版蘇生ガイドライン2010に基づいた実際の医療者向け運用法をまとめたのが本書。

国際会議で決まった蘇生の国際コンセンサス(CoSTR 2010)に、各国の事情を加味して、各国が作るのがガイドライン。そのガイドラインに基づいて、実際にどうやったらいいのか、どう教えたらいいのかをまとめたのが、日本では「救急蘇生法の指針」。

これの市民向け版はちょっと前に出版されて、それに準拠して総務省消防庁とか日本赤十字社がガイドライン2010講習プログラムを作っています。

その指針の医療者版がついに刊行、というわけです。

BLS、成人のALS、小児のALS、さらには新生児蘇生や蘇生技術普及の方策まで、一通り国際コンセンサスの見出しは網羅されていて、ICLSやNCPRを教える人には原典といえる資料です。

ガイドラインはあくまでガイドラインで、あーでもないこーでもないという記述が目立ってどっちつかずな部分がある中、この指針ではいちおう、ズバッと方針が示されている、、、はず。

まだ、パラパラ程度にしか読んでいませんが、小児二次救命処置のアセスメント手法などは、AHAのPALSプロバイダーマニュアルが1万5千円と異様に高いことを考えると、日本における資料として秀逸かも。

それにしても日本版ガイドライン準拠なのに、小児二次救命での意識レベルは米国式にAVPUスケールなのは、ふーん、という感じでした。
posted by めっつぇんばーむ at 01:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年12月09日

BLSインストラクターマニュアル【日本語版】の見どころ

できたてホヤホヤの日本語版のBLS-HCP教材、皆さんはもう手に入れたでしょうか?

今日は、BLSヘルスケアプロバイダーインストラクターマニュアル【日本語版】の見どころをいくつかご紹介しようと思います。

hcp-g2010-text-inst.jpg
BLSヘルスケアプロバイダーインストラクターマニュアル
AHAガイドライン2010準拠
  6,825円


まずいちばん注目すべきは32ページの「新しいインストラクターの採用と指導」という部分でしょうね。

簡単にいうと、
「プロバイダーコース終了後にインストラクターの勧誘をしなさい、16歳以上だったら誰でもなれるから」
といった趣旨のことが書かれています。


AHAは、プロバイダーコースを無事終了した後インストラクターになることを希望するすべての受講者に対して、少し時間をとって以下の情報を伝えることをインストラクターに奨励している。

AHAインストラクターコースでは、蘇生コースで他者に効率的に指示を出せるようになるための方法を指導する。AHAでは、ハートセイバーインストラクターおよびBLSインストラクターコースの最低年齢制限を16歳としている。


医療従事者相手に教えるAHAのBLSインストラクターになるのは難しいというイメージが流布していますが、AHAが求めているインストラクターの絶対条件は16歳以上であることと、BLSヘルスケアプロバイダーコースを修了していること、コアインストラクターコースを修了していることの3つだけ。

後はやる気と熱意ということだけが言及されています。

この点は、これまでもBLSファカルティガイド(英文)に書かれていた内容とほとんど変わっていませんが、インストラクターなら誰もが絶対に読むはずのBLSインストラクターマニュアルにあえて記載するようになったのは興味深いところです。

(そういえばファーストエイドステイタスについての言及がないのが気になるところ。要件が変更されたのでしょうか? 不詳です)


あと、リニューアルコースに関する記述も面白いです。4ページです。

2013年4月1日以降にヘルスケアプロバイダー資格を更新する人は、コースを受講しなくても実技試験と筆記試験に合格すればカードを発行してもよい、という内容のことが書かれています。

実際のところ、アメリカではそうなんですよね。スキルと実力があっても、資格更新をしなければ職務停止になる米国の医療従事者にとっては、有効期限内のカードを持っているという事実が大切。

そんなアメリカの実情が、マニュアルにも文章として載るようになりました。


いろいろ突っ込みどころはある新しいAHAのマテリアル日本語版。今日はこの辺で。

posted by めっつぇんばーむ at 00:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年11月30日

G2010-BLSヘルスケアプロバイダーマニュアル、アマゾンでも予約開始!

12月8日発売開始の BLSヘルスケアプロバイダーコース受講者マニュアル【G2010日本語版】の予約がアマゾンでも開始になりました。

シェパードの通販でしか買えなかったらどうしようと思いましたが、今回も変わらずシナジー社と二本立ての販売ルートの模様。

「シナジー社は書店販売専門に徹する」というのが今回のちょっとした契約変更点らしいです。(メーカー直販の廃止だけで、アマゾンやセブンアンドワイ等、ネット書店経由の販売は継続ですから、とりあえずよかったです)

hcp-g2010-text_.jpg
BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアル
AHAガイドライン2010準拠
  3,675円


hcp-g2010-text-inst.jpg
BLSヘルスケアプロバイダーインストラクターマニュアル
AHAガイドライン2010準拠
  6,825円



インストラクターマニュアル【日本語版】も合わせて予約開始になっています。

値段はどちらで買っても同じですが、シェパードでは、以前と変わらなければ1回に送料が500円かかるので、送料無料のアマゾンの方がお得かも。

前回書いたDVDも同時発売というのは、誤報でした。スイマセン。

インストラクターマニュアルまで日本語になっても、肝心のDVDがないと、意味ないですよねぇ。


公式発売の8日に先駆けて、内容をチラ見する機会がありましたが、以前このブログでも話題に上った at least は「以上」ではなく「少なくとも」と正しく訳されていました。翻訳会社とAHAに言った甲斐があった、かな。

気になっていた rescue breathing は、補助呼吸と訳出。ただし、人工呼吸全般に補助呼吸という語を当てはめているため、非心停止時の5-6秒(成人)に1回の換気も、CPR中の30:2の換気も同じく補助呼吸と訳されているために、日本語版では両者の区別が完全になくなってしまいました。まあ、指導上、そう困ることはないかなとは思いますが、ちょっと気になるところ。

あと、childとpediatricも区別なく小児と訳されているのも以前と変わらず。受講者さんが混乱するところなんですよね。





posted by めっつぇんばーむ at 15:29 | Comment(6) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年11月22日

待望のAHA-BLS日本語教材、12月8日発売!

ついに出ます!

BLSヘルスケアプロバイダーコース【G2010】の日本語教材。


AHAガイドライン2010版BLSヘルスケアプロバイダーコース受講者テキスト(プロバイダーマニュアル)


リリースは12月8日

スチューデントワークブック(受講者マニュアル)、コースDVD、そしてインストラクターマニュアル、そろっての発売とのこと。

このお知らせは本日、米国AHAのアジア支局長からメールで配信されました。

日本の出版社サイドの情報ではありませんので、価格や販売ルート等、具体的な内容はまだ不明。

また情報が入ったら、お知らせします。


追記:
AHA代理店のシェパードで予約が開始になっていました。BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアル G2010が3,675円、BLSヘルスケアプロバイダーインストラクターマニュアル G2010が6,825円。

DVDのアナウンスはまだの模様。

この調子だと、前回と違って、DVDだけの単体発売になりそう。すでに英語版のインストラクターマニュアルを持っている人は二重買いにならずに済みそうですね。

今回の日本語版出版が遅れた理由のひとつが、翻訳会社を以前と変更したことがあります。出版の代理店も変更という噂も。シナジーさんやレールダルさんからも出るのか出ないのか、、、気になるところです。

シェパードさんだと、一般書店への販売ルートがないようなのでちょっと心配。





posted by めっつぇんばーむ at 19:57 | Comment(2) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年10月31日

G2010-AHA-BLSではポケットマスク人工呼吸の出来は問われない

新しいガイドライン2010のBLSヘルスケアプロバイダーコースを開催するようになって気づいた点ですが、実技試験で、ポケットマスクでの人工呼吸の出来/不出来は問われていないんですね。

最初、一人法CPRで5サイクルやってもらうのですが、問われているのは、

1.反応確認から呼吸確認までを5秒以上10秒以内で行っているか
2.緊急通報しているか
3.脈の確認を10秒以内で行っているか
4.(1)胸骨圧迫の手の位置
4.(2)胸骨圧迫の速さ
4.(3)胸骨圧迫の深さ
4.(4)胸骨圧迫後の胸壁の戻り
4.(5)中断時間は10秒以内か

というだけで、人工呼吸に関しては完全に不問。

その後、二人法CPRに入ったところでバッグマスクで有効な換気が行えるか、というのは評価項目に入ってますが、一人法では、たとえポケマで一回も胸が上がらなくても実技試験は合格、となります。

ここから読み取れるのは、AHAは医療従事者に一人法CPRでの人工呼吸は期待していないということ。

結局、Hands only CPR、ということなのかもしれません。


今回のガイドライン2010のヘルスケアプロバイダーコースで強調されているのは、「心停止を認識したら10秒以内に胸骨圧迫を開始する」こと。

で、いちど胸骨圧迫を始めたら、AED操作の時以外は中断時間は10秒以内。

結局、一人で蘇生をしている場面だったら、ポケットマスクを組み立てる時間はないんですよね。ポケットから、キーホルダーのフェイスシールドを取り出して広げる時間すらないかもしれない。

まあ、そういうことなんだと思います。

長年教えてきたことで、完全に捨て去ることはできなかったし、CPRの基本でもあるから呼気吹き込みの人工呼吸も練習させてるけど、現実、それが使われる可能性が低いことは分かっている、というか。

人工呼吸の出来具合は問わないものの、逆に、胸骨圧迫の中断時間はきっちり問題にしている。つまり、胸が上がる人工呼吸ができなくても、そこにこだわるより、さくっとあきらめて胸骨圧迫に戻る姿勢を後押ししているともいえます。


こんなように、ガイドラインやテキストからだけでは読み取れないAHAの意図や戦略が、スキルチェックシートやDVDの言い回しなどから垣間見れます。

インストラクターは過去にとらわれずに、新しいコース設計とCPR教育の未来像の解析に努めるべきですね。


ちらっと聞いたところによると、某大手のトレーニングサイトによっては、ポケットマスクで胸の上がる人工呼吸ができない人は、不合格にしているとか。

それって、マズイですよね。AHAは求めていないことだし、スキルチェックシートのチェックは全部埋まっているのに、不合格になっちゃうって。

まあ、普通は練習の段階で、きっちりできるようにしておくはずなので、試験本番で胸が上がらないということはありません。

それでもポケットマスクの人工呼吸ができない、なんていうのは、インストラクターの指導のまずさの問題。ふつはそんなことはないはず。


ポケマ人工呼吸にこだわるのは、過去の勝手な思いから抜けきれないんでしょうね。それと、世界で通じる国際ライセンスを発行しているというAHAインストラクターとしての自覚の欠如。

インストラクターコースDVDでも、スキルチェックシートにない項目で合否判定をしちゃいけないってはっきり教わってるはずなんですけど。

まあ、G2010時代になっても、いろいろと歴史は繰り返されるようです。




posted by めっつぇんばーむ at 01:13 | Comment(8) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年10月17日

AHA-BLS-HCPインストラクターマニュアル英語版2,800円也

ガイドライン2010の新しいBLSインストラクターマニュアル(英語版)が、今 Amazon.co.jp で販売されています。

インストラクターCDとBLS-HCPインストラクターマニュアル本体だけの単体売りで2,800円。

現在在庫が13冊あるようですが、これが掃けたらまたしばらくは入荷しないと思うので、英語版ですが、必要な方がいたらお早めにどうぞ。

受講者用の BLS for Healthcare Providers Student Workbook は、前回入荷した分はあっという間に売れて、その後、入荷未定状態が続いてます。

私も結局買いそびれ。

日本のAHA正規代理店と違って、アマゾンはアメリカの定価×為替レートで販売してくれているので、格安で手に入るのが魅力。でも1回あたりの入荷が20冊程度で、コンスタントに入ってこないという不安定さが難点。

紀伊国屋書店でも洋書として扱っていることがあって、それなりに安く手に入りますが、注文の度に現地から船便でくるので入手まで1-2ヶ月かかるんですよね。これまでハートセイバーファーストエイドのテキストは紀伊国屋で数十冊単位でまとめて買ってました。レールダルで買うより3割以上安くつくので。


今後、まだPALSとかで英語テキストの需要も続くでしょうから、関係者の方は覚えておくといいですよ。なにも World Point とかレールダル、シェパードとかの正規代理店からじゃなくても買う手段はあるんですよ、というお話でした。
posted by めっつぇんばーむ at 02:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年10月10日

『AHAガイドライン2010と歯科医院での緊急対処法』

今日、本屋で見つけて買ってきた本です。

AHAガイドライン2010と歯科医院での緊急対処法
『AHAガイドライン2010と歯科医院での緊急対処法』
瀬尾憲司 著/医歯薬出版 (2011/09)


ガイドライン2010の解説本としては、初、じゃないでしょうか?

しかもそれが歯科領域で書かれたとはかなり意外でした。

歯科の本なのでアナフィラキシーとか、AHAのBLS/ACLSでは扱わない範囲のことも書かれていますが、AHAガイドライン2010−BLSの解説本としてもかなり秀逸。

誰もが素朴に思う"根拠"の部分が、原著論文を引き合いに出して解説されているのがGood!

BLSヘルスケアプロバイダーマニュアルG2010には書かれていないインストラクターとして知っておきたい情報がコンパクトにまとまっています。

実を言えば、CoSTR 2010とか、AHAガイドライン2010の原著を見れば書いてあることばかりなのですが、現時点、日本語での情報が限られるもので、価値は高いと思います。

胸骨圧迫の手の位置を「乳首と乳首の間」と説明するのがダメになった理由とか、過換気がいけない理由とか、根拠をもって説明できるようになります。


それにしても、これほどの本が歯科に特化して出たのがホント不思議。

それとAHAガイドライン2010で書かれているのも、不思議。

これまで日本の雑誌等でガイドライン2010特集が組まれるときは、必ずといっていいほど、日本版ガイドラインがメインで、AHAはおまけ扱いでしたから。当時、日本版ガイドラインはドラフト版しか出てなかったにも関わらず、、、

これに続いて、蘇生ガイドライン2010解説本はどんどん出てくるんでしょうね。

本家本元のAHA公式テキストがいまだに日本語化されていないというのに、、、なんだか皮肉です。

posted by めっつぇんばーむ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年10月02日

G2010正式版BLSヘルスケアプロバイダーコース雑感

どっかのITCは、しれっとやってるようですが、建前上、日本人向けコースとしては、新しいG2010正式のBLSヘルスケアプロバイダーコースはまだ開催できないことになっています。

というのは今回、なぜか筆記試験の翻訳が禁止されましたので、英語で試験を受けてもらわなくてはいけない。

ということで、広く公募開催できるという段階ではありません。

なので、日本国内ではG2005の教材に変更を加えつつG2010の内容を教えるInterim Course(暫定コース)が正式なものとなっています。

まあ、それがアメリカ本国AHAからの通達でしたので、日本医療教授システム学会も日本循環器学会もまじめにしたがっていたのですが、ここまで日本語のリリースが遅れると、いい加減やきもきしてきます。

裏でどんな密約があったのかはわかりませんが、その他のITCでは独自に筆記試験を翻訳して受講者に日本語版筆記試験としてやらせているようで、大手の力で、それが日本標準と認識されつつあるのが悔しいところ。

さて、そんなG2010正式版のHCP。

遅ればせながら、私も開催の乗り出しました。



私が所属しているアメリカ本国のトレーニングセンターには、筆記試験の翻訳禁止令は及んでいないのですが、いちおう日本国内事情に配慮して、日本語版筆記試験を作成するのではなく、英語版筆記試験を読み解くための「補助資料」を参照してもらう形にしました。



まあ、筆記試験についてはいいとしてコースの内容。

今回のDVDは冗長さがない、というかDVDでしゃべっている内容に無駄がなく的を得たことだけで、かつ大事な点はテロップが入りますから、日本語で説明を加えながら進行する場合でも、比較的やりやすいという印象です。

部分練習も含めすべて5サイクルさせますので、個々では時間がかかりますが、廃止された手技練習(口対口人工呼吸、高度な気道確保、小児のPIT、成人窒息解除)も多いので、全体的には速く終わる感じです。

実技試験も成人の一人法〜二人法 with AEDと乳児の一人法〜二人法ふたつだけ。

PWWの部分の始まりがカウントダウンで明確になったのは評価できる反面、BVM練習などでは、手の置き方などはPWWに含まれずにいきなり換気から始まるので、事前にちょっとした介入をするなど、工夫が必要。

また全体の流れ(PIT)練習もPWWでやることになっていて、公式に日本語吹き替えされればまだしも、現時点、英語のままや日本語字幕でPWWやってもらうのは結構困難。

ファミリー&フレンズもそうですけど、今回のガイドライン改訂では、インストラクター主導の自由練習のセッションが削減されて、画面にあわせて練習する場面が増えています。

ファミリー&フレンズCPRのファシリテーターガイドを見ると、はっきりわかりますが、これはインストラクターがいなくても受講者がビデオを見ながら「独習」できるようにという教材設計理念の表れ。

日本語吹き替えがされれば、ある程度有効に使えるかもしれませんが、英語音声の今はちょっと厳しいかな、と思います。

今は統合練習の時はインストラクター主導でやってもらうほうが現実的な感じでした。



今回、スキルチェックシートの内容も含めて、とにかく受講者に長く胸骨圧迫をさせる設計になっています。

かなりハード。

これはきっとG2010のEITの章にある、

It is reasonable that participants undertaking CPR training be advised of the vigorous physical activity required during the skills portion of
the training program (Class IIa, LOE B).

というのを体言しているんだろうなと思いました。

現実の厳しさを伝えるのもいいけど、それ以前に傷病者発見からCPR開始までの部分を集中的に練習する部分があってもいいのにな、というのが正直なところ。



またBLSにチーム蘇生の概念を入れる努力など、ガイドラインをどう具現化するかという点で興味深い構成です。

総合的にみて、BLSのテクニカルスキルをさくっと習得するためのコースとしては悪くないと思います。中途半端な想定練習的な部分がなくなったので、このテクニカルスキル・トレーニングだけでは不十分という点が明確になったのは評価できます。

今回は、午前中にHCPをやって、午後には、傷病者と救助者に別れてのファーストエイドも含めたシミュレーショントレーニングをやりましたが、このようなスタイルで進めるにはG2005よりシェイプアップされてていい感じ。

10月半ばには、いよいよ日本語版テキストがリリースされるという情報も入りました。

いままでは待ちだったけど、そろそろG2010正式版本格稼動に向けて動き出そうと思います。



ちなみに英語版のG2010 BLS-HCPのテキストを買うなら アマゾン が安いですよ。そのときの為替レートで若干変動しますが、現時点、1,073円、送料無料。ちなみに国内代理店のシェパードは1,750円(international限定の格安版なのに)。

アマゾンでは1回に10数冊程度入荷しては掃けて、というのを繰り返しているみたいで、大量購入には向きませんが、個人レベルでタイミングがあえば格安で手に入ります。



posted by めっつぇんばーむ at 13:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
2011年09月11日

東京消防庁の蘇生ガイドライン2010先行勉強会に行ってきました

東京消防庁主催のガイドライン2010スキルアップ講習にいってきました。

国際コンセンサス CoSTR 2010 策定にも関わっている東京医科大学の太田祥一先生の講演が第一部、東京消防庁のG2010指導法の実際と実技体験が第二部。


さすが天下の東京消防庁、内容充実で気合の入ったプログラムに満足して帰ってきました。



これから、学んだことのポイント、周辺情報、所感を書きたいと思いますが、その前に注意点がひとつ。

ここに書くことは、応急手当指導員/応急手当普及員が規定の救命講習の中で、現時点、受講者に対して話すべき内容ではありません。

新カリキュラムへの移行はまだ先(早ければ秋から冬、と)で、あくまで今回はアクティブに活動している指導員/普及員向けの先行情報。

いま受講者に余計な情報を付加することで、混乱を招くので、くれぐれも受講者にはまだG2010のことは話さないでください、と強調されました。

このページを見ている東京消防庁の応急手当指導員/応急手当普及員さんがいましたら、その点はご理解ください。

もっとも、東京消防庁特有のことはほとんどなく、JRC版ガイドライン2010(PDF:590kB)で公開されている話が中心なので、知っている人は知っている、という話ばかりです。



さて、G2010の東京消防庁式の指導ですが、基本はAHAのG2010市民講習(ハートセイバーCPR AED)と同じです。

・「乳首と乳首の間に手を置く」という指導の廃止
 ・呼吸確認に気道確保はしない
 ・呼吸確認は胸から腹の動きを5秒〜10秒で「見る」
 ・圧迫の深さは少なくとも5センチ
 ・圧迫の早さは少なくとも100回/分


「乳首と乳首の間に手を置く」という指導の廃止

今回特に強調されていたのが、胸骨圧迫の手の位置を決める方法として「乳頭間線」を目安にすることをやめたという点。

「乳首と乳首の間に手を置いて」という指導法をやめるということです。

圧迫の部位自体は変わってません。

G2005の時代から変わらず、テキスト的にいうなら、「胸の真ん中」「胸骨の下半分」。

この部位を探す目安として、これまでは「乳首と乳首の間に手を置いて」と言っていたわけですが、実際にやってみると半数近くの人が下すぎて剣状突起に当たってしまうという論文データがでたため、国際コンセンサス CoSTR 2010で非推奨になりました。

この論文というのが日本発(広島大学)なので、特に強調しているのかなと思いました。(AHAでも成人CPRからは乳頭間線の表記は消えましたが、あえて強調はされていません)

ちなみにCoSTR 2010の当該箇所は下記のとおりです。

One LOE 5 study of adult surgical patients demonstrated that if
the rescuer’s hands are placed on the internipple line, hand
deviation to or beyond the xiphisternum occurs in nearly half
the cases, sometimes into the epigastrium.
(AHA CoSTR 2010 Part 5: Adult Basic Life Support S301より)

出典論文はこちら。

Kusunoki S, Tanigawa K, Kondo T, Kawamoto M, Yuge O. Safety of
the inter-nipple line hand position landmark for chest compression.
Resuscitation. 2009;80:1175-1180.


乳頭間線という指導法をやめたとして、それじゃ、どう指導するか?

ここがいちばん気になるところですが、東京消防庁が提示したやり方は、

1.受講者に自分の胸で場所を確認してもらって位置の目安をつける
2.マネキン練習のときに手の位置の修正をする

です。マネキンの胸で手探りで胸骨の場所を探って、その下半分を見つけるというデモンストレーションの仕方は禁止されました。

根拠のない「お作法」を作りたくないというのがその理由です。


呼吸確認法の変更

呼吸確認法は、「気道確保ナシで胸から腹の動きを見るだけ」ですが、その実際を見せてもらえたのはよかったです。

指導のポイントとしては、手は両膝の上、見るときは真上から見てもわかりにくいので、ななめ横から視線を落としてみるように。時間は10秒以内と言ってましたが、事実上、5秒以上10秒で教える模様。(テキスト表記は10秒以内というだけになるのかなという微妙な言い方でした)

指導員のデモンストレーションでは、「呼吸確認、1、2、3、4、5、6、いつもどおりの呼吸ナシ!」と声に出して言ってました。

きっと指導では6秒カウントでいくのでしょう。

両膝に手を置くことは受講者に強制するようなものではないと思いますが、指導員のデモンストレーションのときは、そうするように強調されていました。

理由は、手持ち無沙汰感から、空いた手で余計なことをしてしまうから。具体的には胸の上に手をおいて触って呼吸を確認する人が出るだろうと言ってました。それを否定する必要もないけど、推奨するものでもない。だから余計なことを考えないように手は膝の上。

ここでも余計な作法が一人歩きしないように、という配慮がされていたようです。

指導員/普及員に対しては、自分が救護活動をする場合は、従来どおりの「気道確保+見て聞いて感じて」でもいいですよ、という点も付け加えていたのは好印象でしたね。


また質疑応答のところで、気道確保をしなくていいんですか? という質問への答えは、「胸骨圧迫を遅らせないためにそうなりました」というのが模範解答のようです。

そんな若干ななめ読み的な答えでいいのかなと思いましたが、今後、市民向け講習では参考にさせてもらおうと思います。

胸骨圧迫の深さと速さ

最後に胸骨圧迫の深さと速さですが、これについては具体的な指導方法の変更についての指針はありませんでした。

とにかくやってもらって、それを指導員が修正していく形での指導になるんだと思います。

最初の太田先生の話の中で、ヨーロッパ版ERCガイドラインの話(120回/分、6センチを越えない)がしっかり出てきたので、指導員/普及員には、早すぎ、深すぎがいいわけではないという点はしっかりインプットされたはず。

「この深さ、速さを下回らないように」という言い方も示していましたので、メトロノームなどで、例えば110回のテンポで練習をさせることはなさそうです。

新ガイドライン2010切り替わりの時期

いつからG2010準拠の講習に切り替わるのかという点に関しては明言はありませんでした。早ければ秋から冬という目安は提示されましたが、消防からはそれ以上いえないそうです。

というのは、ガイドラインはようやく確定版がでたものの、実際の指導の基準となる「救急蘇生の指針」がまだ完成していません。G2010指導が始まるのはその後、ということになります。

「救急蘇生の指針」は内容はほぼ完成していて9月末の委員会で、委員に公開、校正に入ります。それで問題がなければ10月中には印刷に回せる状態になるようですが、別の問題が1点。それは乳児のAED使用に関して。現在日本に出回っているAEDは乳児への使用が想定されていませんから、薬事申請の変更が必要になります。これに関して厚生労働省が動いてくれないと、出版はペンディング、という事情もある模様。

これがG2010講習、国内解禁にならない最終的な理由になりそうです。




以上、東京消防庁のG2010アップデート講習で話されたことの概要です。

今回のアップデート講習の受講対象は応急手当普及員で、去年9月以降に資格更新のための更新講習を受けた人350人が招待されました。つまり資格を取りっぱなしではなく、その後も活動しているアクティブな人がピックアップされた形です。そのせいか参加率はなんと99%だったそうで、、、

今回の講習では、日ごろ講習を支えてくれている皆さんだからこそ特別に先行情報開示しているのだ、という点が強調されていました。

まだ一般普及員にお知らせできるほど練りあがってはいないものの、スタートするときには消防職員とともに周りをリードしてくれることを期待して、ということのようです。

なんと、消防職員にもまだ知らせていない内容なんだそうです。

これって、モチベーション、あがりますよね。

世界の中での日本のガイドラインの位置づけや、まだゆれている部分があることなど、等身大で話をしてくれたので、非常に好感度が高く満足感のある講習会でした。


その他、乳児へのAED使用や、年齢区分の変更、総務省消防庁の新しいカリキュラム編成(「救命入門コース」の新設、e-learning導入)などの話題については、また項を改めて書こうと思います。




posted by めっつぇんばーむ at 08:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010