今日は応急手当普及員として、普通救命講習を主催してきました。
かねてからの予定ではありましたが、準備はいつも直前で、当日の朝方までプレゼンテーション用のPowerPointをいじってました。
器材の搬入と準備はめんどうくさいですけど、ビジュアル教材があると司会進行がとっても楽ですね。前回までは自分のトークと、スケッチブックのイラストだけでやってましたので、今回は大違い。
これは先輩インストラクターの救命士Oさんの真似っこなんですが、講習用にオリジナルのパワーポイント・プレゼンテーションを作っておくと、指導内容に漏れがないし、計画的に予定を組んで先に進められてかなりよかったです。
最近ボチボチと病院内のナース向け講習でも導入し始めていて、それを市民向けにアレンジして、今回テストケースとしてやってみました。
最初はAHAのファミリー&フレンズCPRの字幕DVDを使おうとも思ったのですが、受講生の人数とマネキン数、インストラクターの比率が合わず断念(結果的には欠席者がいたのでそれでも出来たのですが)。
あとは比較的年輩の方が多かったので、字幕でのPWWはちょっとしんどいかなと思って今回は見送り。
今度、若めの受講生の時に使ってみるつもりです。
今日の講習は自治省消防庁の基準に合わせた普通救命講習なので、ふだんAHAコースでは教えない背部叩打法(気道異物除去)や、出血への対応、なんて単元も教えてきました。
質問が多いのも市民向け講習のいいところですね。
びっくりするほどたくさんの質問で、こちらもいろいろ考えさせられて勉強になりました。
私もAHAの教育を受けている人間ですから、なるべく質問には即答しないで、受講生に考え、自分で答えを引き出してもらえるような対応を心掛けているのですが、質問があまりに多く、断定的な答え方を多々してしまい反省。
AHAのBLSコースでは、インストラクター・コンピテンシーのうちディスカッションの活用・コントロールのあたりはあまり使う機会がありませんが、こうした機会を通して自分を指導スキルアップをしていきたいと思っています。
今回、遠く他県からお手伝いに来てくださったAHA-BLSインストラクターのおふたり、どうもありがとうございました。
2009年02月09日
2007年11月17日
BLS/救命講習「修了証」の効用
言うまでもないことですが、心肺蘇生(CPR)を行なうのに資格や免許は要りません。一次救命処置とも言われるBLS(Basic Life Support)は医療行為ではありませんので、誰でもできます、というか「ぜひ、やって下さい!」という位置づけのものです。
日赤、消防、AHAなど蘇生普及団体が発行する修了証はあくまで講習を受けましたという修了証、もしくは技術認定であって、なにかを許可するとか、それがなければダメというような「免許」としての意味はありません。
中には、この修了証にこだわる人もいて、インターネット掲示板などで『資格証/修了証という紙切れのために救命講習を受けるのではない! いざというときに動けるようになることが肝心!』というような先達からのお叱りの言葉が飛交うことも見受けられます。
確かに本質をつけばそのとおりなのですが、私は「修了証」というカード一枚の持つ効用も、じつは重要なんじゃないかなと考えています。
修了証を持っていてもいざというときに動けなければ意味がないというのは確かにそうですが、実際、医師免許・看護師免許を持っていても何もできない人は何もできませんから、そこに固執するのはナンセンスです。反対に、心肺蘇生のインストラクターであっても予期せぬ場所でCPAに遭遇したら落ち着いて行動できるかといわれれば相当に疑問ですし。
場合によってはある種の「資格取得目的」であってもそれはそれでいいんじゃないのかな。どんな目的であろうと、とりあえず心肺蘇生コースを受講してみようと思ってくれたのであれば万々歳だと思いません?
そこに、「動機が不純」だと叱責する人がいたとしたら、その方が心肺蘇生の普及にとっては大問題です。
教える方とすれば、カードを出すのが目的ではなく、技術を体得して、できればそれが長い時間維持して欲しいと思い、工夫しながら指導をすすめていきますが、それはインストラクター側の問題。形だけの「資格取得目的」の人が受講生として来たとしたら、いかにその人のモチベーションを上げて、純粋に心肺蘇生に興味・関心・必要性を感じてもらうかはインストラクターにかかっています。
そもそも受講すらしてくれない以上、インストラクターはどうアプローチのしようもないわけですから、個々の目的はともかく、講習に参加してくれるならそれだけで十分だと思うのです。
まあ、実際問題、CPR講習の修了証が「資格」として効果を発揮する場面はほとんどないのが現状ですが、市民にとっては「資格を取った」ということで、自信につながるのであれば多いにけっこう。実際、フライトアテンダントを目指す人なんかは就職試験のアピール材料として日赤の救急法救急員資格取得、なんてことを考えるみたいですね。
私自身の話をしますと、いま、勤務先の病院内でスタッフを対象にAED講習を開いて、院内独自の修了証を発行しています。それを手にした事務職員さんたちからたまに聞かれます。「このカードは院内だけで有効なんですか? 町中では心肺蘇生しちゃいけないんですか?」って。
いや、そういうもんじゃないんですよ、カードの有無に意味はないんです、という説明はするのですが、一般市民としては、日常にはあり得ない高度な医療系の行為をするという不安からか、そうした修了証に寄せる期待というか、修了カードの重みというのが非常に大きいのだなということを感じています。
講習内容については自信を持っていますので、院内での急変ではきっと事務員さんでも積極的に動いてくれるはず、と信じているのですが、それを院内限定と割り切って捉えていないかなという不安は正直あります。(シナリオトレーニングでは院内だけではなく町中想定も必ずやるのですが)
実際に町中で急変に対応しようとすると、「触るな! 動かすな」という野次が絶対に飛んでくるんですよね。それにうち勝つ自信をもってもらうにはどうしたらいいか...?
今のところ、私は自分の身分を明かすようにということを受講生に話しています。「私は最新の蘇生教育を受けています」とか「病院職員で研修を受けています」とか。
でも、もしそこに病院独自発行とは違った公的な心肺蘇生法修了カードを持っていたらどうでしょう? より強固な自信につながらないかな。
そう考えたのが、私が消防の応急手当普及員資格を取ろうと思ったきっかけでした。
私が応急手当普及員資格を持っていたら、院内BLS講習を正式な普通救命講習として申請して、消防の修了カードも出せるようになるのでは? そう考えたわけです。
「これ院内だけで通用するんですよね?」
そんな質問を度々受ける私としては、「いいえ、全国で通用しますよ♪ どこでも自信をもって行動してくださいね」といってあげたい。
この業界をわかっている人からしたらバカバカしいやり取りかも知れませんが、市民にとってはたったこの一言で自信度が違ってくると思うんです。
もちろん質の高い講習をして、本当の意味で自信を持ってもらうというのが本質で、その部分で手を抜いているつもりはありませんが、こうした修了カードの効用は決して見逃せない大きな力を持っていると私は思っています。
日赤、消防、AHAなど蘇生普及団体が発行する修了証はあくまで講習を受けましたという修了証、もしくは技術認定であって、なにかを許可するとか、それがなければダメというような「免許」としての意味はありません。
中には、この修了証にこだわる人もいて、インターネット掲示板などで『資格証/修了証という紙切れのために救命講習を受けるのではない! いざというときに動けるようになることが肝心!』というような先達からのお叱りの言葉が飛交うことも見受けられます。
確かに本質をつけばそのとおりなのですが、私は「修了証」というカード一枚の持つ効用も、じつは重要なんじゃないかなと考えています。
修了証を持っていてもいざというときに動けなければ意味がないというのは確かにそうですが、実際、医師免許・看護師免許を持っていても何もできない人は何もできませんから、そこに固執するのはナンセンスです。反対に、心肺蘇生のインストラクターであっても予期せぬ場所でCPAに遭遇したら落ち着いて行動できるかといわれれば相当に疑問ですし。
場合によってはある種の「資格取得目的」であってもそれはそれでいいんじゃないのかな。どんな目的であろうと、とりあえず心肺蘇生コースを受講してみようと思ってくれたのであれば万々歳だと思いません?
そこに、「動機が不純」だと叱責する人がいたとしたら、その方が心肺蘇生の普及にとっては大問題です。
教える方とすれば、カードを出すのが目的ではなく、技術を体得して、できればそれが長い時間維持して欲しいと思い、工夫しながら指導をすすめていきますが、それはインストラクター側の問題。形だけの「資格取得目的」の人が受講生として来たとしたら、いかにその人のモチベーションを上げて、純粋に心肺蘇生に興味・関心・必要性を感じてもらうかはインストラクターにかかっています。
そもそも受講すらしてくれない以上、インストラクターはどうアプローチのしようもないわけですから、個々の目的はともかく、講習に参加してくれるならそれだけで十分だと思うのです。
まあ、実際問題、CPR講習の修了証が「資格」として効果を発揮する場面はほとんどないのが現状ですが、市民にとっては「資格を取った」ということで、自信につながるのであれば多いにけっこう。実際、フライトアテンダントを目指す人なんかは就職試験のアピール材料として日赤の救急法救急員資格取得、なんてことを考えるみたいですね。
私自身の話をしますと、いま、勤務先の病院内でスタッフを対象にAED講習を開いて、院内独自の修了証を発行しています。それを手にした事務職員さんたちからたまに聞かれます。「このカードは院内だけで有効なんですか? 町中では心肺蘇生しちゃいけないんですか?」って。
いや、そういうもんじゃないんですよ、カードの有無に意味はないんです、という説明はするのですが、一般市民としては、日常にはあり得ない高度な医療系の行為をするという不安からか、そうした修了証に寄せる期待というか、修了カードの重みというのが非常に大きいのだなということを感じています。
講習内容については自信を持っていますので、院内での急変ではきっと事務員さんでも積極的に動いてくれるはず、と信じているのですが、それを院内限定と割り切って捉えていないかなという不安は正直あります。(シナリオトレーニングでは院内だけではなく町中想定も必ずやるのですが)
実際に町中で急変に対応しようとすると、「触るな! 動かすな」という野次が絶対に飛んでくるんですよね。それにうち勝つ自信をもってもらうにはどうしたらいいか...?
今のところ、私は自分の身分を明かすようにということを受講生に話しています。「私は最新の蘇生教育を受けています」とか「病院職員で研修を受けています」とか。
でも、もしそこに病院独自発行とは違った公的な心肺蘇生法修了カードを持っていたらどうでしょう? より強固な自信につながらないかな。
そう考えたのが、私が消防の応急手当普及員資格を取ろうと思ったきっかけでした。
私が応急手当普及員資格を持っていたら、院内BLS講習を正式な普通救命講習として申請して、消防の修了カードも出せるようになるのでは? そう考えたわけです。
「これ院内だけで通用するんですよね?」
そんな質問を度々受ける私としては、「いいえ、全国で通用しますよ♪ どこでも自信をもって行動してくださいね」といってあげたい。
この業界をわかっている人からしたらバカバカしいやり取りかも知れませんが、市民にとってはたったこの一言で自信度が違ってくると思うんです。
もちろん質の高い講習をして、本当の意味で自信を持ってもらうというのが本質で、その部分で手を抜いているつもりはありませんが、こうした修了カードの効用は決して見逃せない大きな力を持っていると私は思っています。
2007年11月16日
応急手当普及員は個人で普通救命講習が開催できるか?(修了証と費用 地域差の問題)
ちょっと時間があいてしまいましたが、応急手当普及員資格取得について取り上げてみようと思います。
心肺蘇生とか救急法に関しては、おそらく唯一の国家資格/認定ということになるんじゃないかと思います。(まあ、消防上級救命講習まで教えられる応急手当指導員という資格もありますけど)
普及員の認定を受けるためには総務省消防庁が通達として出したカリキュラムに則って24時間の講習を受ける必要があります。これが応急手当普及員講習。普通は1日8時間計算で3日間かけて行なわれます。
その内容はというと、、、、
もしかしたら救命講習と同様、自治体(消防本部)によってバラバラな可能性がありますので、あくまで私が受講した某消防本部では、という但し書きを入れておきたいと思いますが、こんな感じでした。
1日目…普通救命講習の復習+模擬講習会企画のグループワーク
2日目…自分たちで企画した模擬講習会の発表&講評
3日目…上級救命講習のおさらい+マネキンのメンテナンス方法等
応急手当普及員講習の受講には、いちおう普通救命講習か上級救命講習のどちらかは受講していることが推奨されていますが、内容的には、まったく未受講でも問題ないくらいにCPR手技の実技練習も含まれています。
比率的には、指導方法について学ぶのは全体の1/3程度かなというのが私の印象。
応急手当普及員講習=上級救命講習+αという感じ。
でも実際のところ消防本部によって対応はマチマチで、修了カードは出せないところも多いようです。
普及員個人のカード発行を伴う正式コース開催を認めていない代表格は東京消防庁。東京消防庁管内では、消防職員の立ち会いがないと救命講習の開催ができないそうです。
講習を開くのに消防職員を呼ぶのだった最初から消防に講習を依頼すればいいわけで、普及員はいてもいなくても関係ないと思うんですけど、どうなんでしょう?
東京消防庁は全国の消防組織の中で唯一消防総監が鎮座している日本の消防の顔ともいうべき組織ですが、普及員養成には力を入れているわりには、普及員の個人活動を認めていないという摩訶不思議な現状があります。
私の住む自治体は普及員の単独活動がOK。応急手当普及員が消防本部に申請をしたうえで普通救命講習を開催すれば、担当普及員の個人名が入った消防長の正式な修了証が交付されます。
ただしカードを出すための講習を開くには、公式テキストを受講生に買ってもらう必要があって、これが¥1,000也。
普及員になってみるまで知らなかった事実でした。
お金がかかるだなんて!
私はAHAとしてではなく、個人でボランティアでCPRを教える場合に、応急手当普及員資格を使うつもりでいたのですが、結局金銭授受が生じてしまうという事実がなんだか残念でした。
こちらとしては普及員としての活動は完全にボランティアとしてやるつもりで、あまり興味がない人に「気楽に受けてみてよ」みたいな感じで積極的に広めていきたいと思っていたのですが、1,000円とはいえ有料となると、一気に敷居ができてしまいます。
有料だけどプロ相手にきっちりと教えて国際認定が下りるアメリカ心臓協会のヘルスケアプロバイダー・コースと、そこまではお金をかける気はないけど、ちょっと興味があるという市民向けの気軽な消防の普通救命講習、このふたつを必要に応じて提供できるようになれればいいなと思っていたんですけどね。
HCPコースというBLSの最高峰コースという選択肢が私の中にある以上、やっぱり普通救命講習に求めるのは「気軽さ」、ということになってきます。
自治体(消防本部)によっては、普及員の個人開催を認めていて、しかも無料で修了証発行をしてくれるところもあるだけに、なんとなく悔しいです。まあ、東京と違ってとりあえずは自己開催できるだけマシだと思うようにしているのですが。
まあ、修了カード発行にさえこだわらなければ、いくらでも普及活動はできるのですが、さほど興味がない人に半ば強引(?)に勧めるときには、「消防の正式な修了証がもらえるよ」と一言いうだけでずいぶん相手のモチベーションが違ってくるんじゃないのかなというのが、最近の私の持論。
だからこそ、むりくり仕事を休んで応急手当普及員資格を取りに行ったのですが、ちょっと見込み違いでした。
でも、せっかく取った「消防業務の一部を代行」できる資格ですので、なんとか活かしていきたいと思い、いまその方向性をあれこれ考え直しているところです。
必ず、受講される自治体(消防本部)の普及員活動についてリサーチをしてください。
インターネット上ではこのあたりの情報は非常に見つけづらいです。所轄の消防もしくは普及員協会のような外郭法人に電話をかけて聞く方が確実かと思います。ただし私の経験上、担当者によって言うことが微妙に違うこともありますので、対応してくれた担当者の名前を控えておくこともおすすめします。
法であまりきっちりとは管理されていない制度なので、結局は担当者の自由裁量で、みたいなところが多分に残っているような感じでした。
1.応急手当普及員講習の内容
応急手当普及員の制度自体は総務省消防庁が定めたもので、いちおう全国で通用する資格となっています。認定は各自治体消防本部の消防長になりますが、日本全国どこでも通用するというのが建前。心肺蘇生とか救急法に関しては、おそらく唯一の国家資格/認定ということになるんじゃないかと思います。(まあ、消防上級救命講習まで教えられる応急手当指導員という資格もありますけど)
普及員の認定を受けるためには総務省消防庁が通達として出したカリキュラムに則って24時間の講習を受ける必要があります。これが応急手当普及員講習。普通は1日8時間計算で3日間かけて行なわれます。
その内容はというと、、、、
もしかしたら救命講習と同様、自治体(消防本部)によってバラバラな可能性がありますので、あくまで私が受講した某消防本部では、という但し書きを入れておきたいと思いますが、こんな感じでした。
1日目…普通救命講習の復習+模擬講習会企画のグループワーク
2日目…自分たちで企画した模擬講習会の発表&講評
3日目…上級救命講習のおさらい+マネキンのメンテナンス方法等
応急手当普及員講習の受講には、いちおう普通救命講習か上級救命講習のどちらかは受講していることが推奨されていますが、内容的には、まったく未受講でも問題ないくらいにCPR手技の実技練習も含まれています。
比率的には、指導方法について学ぶのは全体の1/3程度かなというのが私の印象。
応急手当普及員講習=上級救命講習+αという感じ。
2.応急手当普及員資格をとると何ができるか?
応急手当普及員資格を取ると、総務省消防庁が定める「普通救命講習の指導に従事」できるようになります。で、応急手当普及員個人が開催した普通救命講習であっても消防の正式な講習ですので、登録手続きをすれば正式な消防の修了証が発行されることになっています。でも実際のところ消防本部によって対応はマチマチで、修了カードは出せないところも多いようです。
普及員個人のカード発行を伴う正式コース開催を認めていない代表格は東京消防庁。東京消防庁管内では、消防職員の立ち会いがないと救命講習の開催ができないそうです。
講習を開くのに消防職員を呼ぶのだった最初から消防に講習を依頼すればいいわけで、普及員はいてもいなくても関係ないと思うんですけど、どうなんでしょう?
東京消防庁は全国の消防組織の中で唯一消防総監が鎮座している日本の消防の顔ともいうべき組織ですが、普及員養成には力を入れているわりには、普及員の個人活動を認めていないという摩訶不思議な現状があります。
私の住む自治体は普及員の単独活動がOK。応急手当普及員が消防本部に申請をしたうえで普通救命講習を開催すれば、担当普及員の個人名が入った消防長の正式な修了証が交付されます。
ただしカードを出すための講習を開くには、公式テキストを受講生に買ってもらう必要があって、これが¥1,000也。
普及員になってみるまで知らなかった事実でした。
お金がかかるだなんて!
私はAHAとしてではなく、個人でボランティアでCPRを教える場合に、応急手当普及員資格を使うつもりでいたのですが、結局金銭授受が生じてしまうという事実がなんだか残念でした。
こちらとしては普及員としての活動は完全にボランティアとしてやるつもりで、あまり興味がない人に「気楽に受けてみてよ」みたいな感じで積極的に広めていきたいと思っていたのですが、1,000円とはいえ有料となると、一気に敷居ができてしまいます。
有料だけどプロ相手にきっちりと教えて国際認定が下りるアメリカ心臓協会のヘルスケアプロバイダー・コースと、そこまではお金をかける気はないけど、ちょっと興味があるという市民向けの気軽な消防の普通救命講習、このふたつを必要に応じて提供できるようになれればいいなと思っていたんですけどね。
HCPコースというBLSの最高峰コースという選択肢が私の中にある以上、やっぱり普通救命講習に求めるのは「気軽さ」、ということになってきます。
自治体(消防本部)によっては、普及員の個人開催を認めていて、しかも無料で修了証発行をしてくれるところもあるだけに、なんとなく悔しいです。まあ、東京と違ってとりあえずは自己開催できるだけマシだと思うようにしているのですが。
まあ、修了カード発行にさえこだわらなければ、いくらでも普及活動はできるのですが、さほど興味がない人に半ば強引(?)に勧めるときには、「消防の正式な修了証がもらえるよ」と一言いうだけでずいぶん相手のモチベーションが違ってくるんじゃないのかなというのが、最近の私の持論。
だからこそ、むりくり仕事を休んで応急手当普及員資格を取りに行ったのですが、ちょっと見込み違いでした。
でも、せっかく取った「消防業務の一部を代行」できる資格ですので、なんとか活かしていきたいと思い、いまその方向性をあれこれ考え直しているところです。
3.今後、応急手当普及員を目指す人へ
ということで、今後、消防の応急手当普及員資格を取ろうと思っている方へのアドバイスです。応急手当普及員資格で「できること」というのは自治体によってマチマチの可能性が大です。必ず、受講される自治体(消防本部)の普及員活動についてリサーチをしてください。
- 普及員ひとりで普通救命講習が開催できるか?
- 普及員の個人名で修了証が出るのか?
- カード発行に際して受講生の金銭的負担はあるのか?
- 資器材(マネキン等)の貸し出し制度はあるか?
インターネット上ではこのあたりの情報は非常に見つけづらいです。所轄の消防もしくは普及員協会のような外郭法人に電話をかけて聞く方が確実かと思います。ただし私の経験上、担当者によって言うことが微妙に違うこともありますので、対応してくれた担当者の名前を控えておくこともおすすめします。
法であまりきっちりとは管理されていない制度なので、結局は担当者の自由裁量で、みたいなところが多分に残っているような感じでした。
2007年11月05日
「応急手当普及員」資格取得、その後
国家資格である「応急手当普及員」養成講習に参加してきたという話を書きましたが、その後の報告です。
応急手当普及員講習は、自治体(消防本部)単位で行なわれていますが、今回私が受講したのは居住地とは違う自治体主催のコースでした。
具体的な地名を書けないため、まどろっこしくて申しわけありませんが、その自治体を仮にA市としておきます。そして私が住んでいる自治体をB市とします。
A市…私が普及員資格を取った自治体
B市…私の住所がある自治体
A市は、応急手当普及員養成には力を入れている自治体なのですが、そこでは普及員ひとりで普通救命講習を開催することは認めていません。必ず消防職員立ち会いの下、という規則があるそうです。
応急手当普及員っていうのは、消防の手が届かないところにまでBLSを浸透させるために作られた資格なのに、なんで消防職員立ち会いが必須なの??
とっても疑問でした。消防職員を呼んでコース開催してもらうなら、普及員資格なんて必要ないじゃない? そう思いますよね?
それはさておき、私は自分が住んでいる地元でも普通救命講習が開催できるようにするにはどうしたらいいのか、講習のときに聞いてみました。そうしたら、
「資格自体は全国共通だけど、A市の修了証で、B市でコース開催できるかどうかはB市に聞いてみないとわからない」
との返事。
そこで、私はB市に問い合わせてみました。するときちんと手続きを踏めばA市で取得した資格でもB市内で普及員として活動できるとのこと。言われたとおりに申請してみた結果、送られてきたのはB市の正式な応急手当普及員認定証。
てっきり書き換えとか移籍という形になるのかと思いきや、ふたつの自治体から応急手当普及員として認定された結果となったのでした。
ちなみに私の住むB市では、応急手当普及員はひとりで独自に普通救命講習の開催が可能だそうです。
「えっ、消防職員に立ち会ってもらわなくていいんですか!?」と聞いたら、、
「そのための資格ですから、当然です。もちろん地元の消防と協力しながらでもいいですが、消防スタッフの都合もありますからね」と、ひとりで講習するのがあたりまえみたいな雰囲気の回答でした。
応急手当普及員資格、全国統一された資格のはずなのに、対応は地域によってマチマチというお話しでした。
応急手当普及員講習は、自治体(消防本部)単位で行なわれていますが、今回私が受講したのは居住地とは違う自治体主催のコースでした。
具体的な地名を書けないため、まどろっこしくて申しわけありませんが、その自治体を仮にA市としておきます。そして私が住んでいる自治体をB市とします。
A市…私が普及員資格を取った自治体
B市…私の住所がある自治体
A市は、応急手当普及員養成には力を入れている自治体なのですが、そこでは普及員ひとりで普通救命講習を開催することは認めていません。必ず消防職員立ち会いの下、という規則があるそうです。
応急手当普及員っていうのは、消防の手が届かないところにまでBLSを浸透させるために作られた資格なのに、なんで消防職員立ち会いが必須なの??
とっても疑問でした。消防職員を呼んでコース開催してもらうなら、普及員資格なんて必要ないじゃない? そう思いますよね?
それはさておき、私は自分が住んでいる地元でも普通救命講習が開催できるようにするにはどうしたらいいのか、講習のときに聞いてみました。そうしたら、
「資格自体は全国共通だけど、A市の修了証で、B市でコース開催できるかどうかはB市に聞いてみないとわからない」
との返事。
そこで、私はB市に問い合わせてみました。するときちんと手続きを踏めばA市で取得した資格でもB市内で普及員として活動できるとのこと。言われたとおりに申請してみた結果、送られてきたのはB市の正式な応急手当普及員認定証。
てっきり書き換えとか移籍という形になるのかと思いきや、ふたつの自治体から応急手当普及員として認定された結果となったのでした。
ちなみに私の住むB市では、応急手当普及員はひとりで独自に普通救命講習の開催が可能だそうです。
「えっ、消防職員に立ち会ってもらわなくていいんですか!?」と聞いたら、、
「そのための資格ですから、当然です。もちろん地元の消防と協力しながらでもいいですが、消防スタッフの都合もありますからね」と、ひとりで講習するのがあたりまえみたいな雰囲気の回答でした。
応急手当普及員資格、全国統一された資格のはずなのに、対応は地域によってマチマチというお話しでした。
2007年10月27日
消防スタイル ― 応急手当普及員講習
消防の応急手当普及員資格を取るための講習に行ってきました。
「応急手当普及員」とその上位資格である「応急手当指導員」は、おそらく心肺蘇生とか救急法指導に関する唯一の国家資格なんじゃないでしょうか?
総務省消防庁が定める国家資格で、資格証の交付者は各自治体の消防長(東京消防庁の場合は消防総監)になります。
「応急手当普及員」講習の内容と、その周辺事情については、今後何回かに分けてゆっくり書いていきたいのですが、今日はおおざっぱな印象を簡単に。
消防が行なう講習会に参加したのは2回目になります。
上級救命講習と今回の応急手当普及員講習なのですが、それぞれ別の自治体(消防本部)で受講しました。
でもやっぱりどちらも消防がベースの講習会。
特徴というか、癖はよく似ていました。
消防スタイルでは、意識確認(反応確認)のときは、なぜか片手を傷病者の額に当てて、その手の肘は地面付けるという形で教えるんですよね。消防のテキストにはそんなことは文章としては一切載っていないのに、どちらの自治体でもけっこうこだわりをもって、このやり方を教えていました。
最初、上級講習を受けたときは、なんで?? という疑問だけでしたが、今回、応急手当普及員講習で、「傷病者の体温や湿感を確認するため」と教えてもらいました。
額に当てた手の肘を地面に付けるというのは、よく分かりませんが、きっと傷病者の顔に近づいて意識確認をしなさい、という意味なんでしょう。
どうも慣れないやり方でしたが、ここは消防の講習なのでいちおう流儀に従って、、ということで。
それとどうしても気になってしまう消防用語(?)がひとつ。
「それではこれから展示します」
これ、インストラクターが受講生に向けて言う言葉なのですが、意味、わかりますか?
言い換えると、
「これからデモンストレーションをします」
ってことなんです。
展示っていうと、陳列してある物品っていうイメージしません?
歴史のある消防救命講習のことですから、きっとデモンストレーションなんて言葉が日本語になるまえから、そういう言い方をしていたのだと思います。それにしても、例えば「実演します」とかの方が自然だと思うのですが、まあ、一種の業界用語なのでしょう。
消防スタイルでは、ビデオ教材のようなものは一切使いません。
使うのは、蘇生の流れや心肺蘇生のポイントが描かれた大きなポスターのようなものくらい。
あとは、インストラクターが喋って、実演をして説明をしていきます。
どうやって話をしたら、受講生に理解してもらえるか、このあたりの準備・練習・実行はインストラクターにとっては力がつくよなぁと思いました。
受講生のことを考えると、同じカリキュラムを受けても得るものにばらつきがあるという結果になるので問題といえば問題。
インストラクターさんがすばらしい指導力を持った人なら良いのだけど、インストラクター次第では悪くもなる。
最近、インストラクションとはなにか? というテーマがマイブームだったりします。そういった意味で、応急手当普及員講習は勉強になりました。
「消防スタイルでは、ビデオ教材のようなものは一切使いません。」
この部分は確かに不適切であったと反省しています。消防が行なう講習は、大綱は総務省消防庁が文書として公示していますが、実際の指導方法などは各自治体消防本部に任されており、使用教材を含めて統一されたものはありません。
私が体験したふたつの自治体の指導方法を見て、「消防スタイル」とくくってしまいましたが、自治体によっては独自にビデオ教材を用いたり、他普及団体の教材をそのまま採用しているところもあるようです。
不正確な書き方をしてしまったことをお詫びいたします。
「応急手当普及員」とその上位資格である「応急手当指導員」は、おそらく心肺蘇生とか救急法指導に関する唯一の国家資格なんじゃないでしょうか?
総務省消防庁が定める国家資格で、資格証の交付者は各自治体の消防長(東京消防庁の場合は消防総監)になります。
「応急手当普及員」講習の内容と、その周辺事情については、今後何回かに分けてゆっくり書いていきたいのですが、今日はおおざっぱな印象を簡単に。
◆ ◆ ◆ ◆
消防が行なう講習会に参加したのは2回目になります。
上級救命講習と今回の応急手当普及員講習なのですが、それぞれ別の自治体(消防本部)で受講しました。
でもやっぱりどちらも消防がベースの講習会。
特徴というか、癖はよく似ていました。
消防スタイルでは、意識確認(反応確認)のときは、なぜか片手を傷病者の額に当てて、その手の肘は地面付けるという形で教えるんですよね。消防のテキストにはそんなことは文章としては一切載っていないのに、どちらの自治体でもけっこうこだわりをもって、このやり方を教えていました。
最初、上級講習を受けたときは、なんで?? という疑問だけでしたが、今回、応急手当普及員講習で、「傷病者の体温や湿感を確認するため」と教えてもらいました。
額に当てた手の肘を地面に付けるというのは、よく分かりませんが、きっと傷病者の顔に近づいて意識確認をしなさい、という意味なんでしょう。
どうも慣れないやり方でしたが、ここは消防の講習なのでいちおう流儀に従って、、ということで。
それとどうしても気になってしまう消防用語(?)がひとつ。
「それではこれから展示します」
これ、インストラクターが受講生に向けて言う言葉なのですが、意味、わかりますか?
言い換えると、
「これからデモンストレーションをします」
ってことなんです。
展示っていうと、陳列してある物品っていうイメージしません?
歴史のある消防救命講習のことですから、きっとデモンストレーションなんて言葉が日本語になるまえから、そういう言い方をしていたのだと思います。それにしても、例えば「実演します」とかの方が自然だと思うのですが、まあ、一種の業界用語なのでしょう。
消防スタイルでは、ビデオ教材のようなものは一切使いません。
使うのは、蘇生の流れや心肺蘇生のポイントが描かれた大きなポスターのようなものくらい。
あとは、インストラクターが喋って、実演をして説明をしていきます。
どうやって話をしたら、受講生に理解してもらえるか、このあたりの準備・練習・実行はインストラクターにとっては力がつくよなぁと思いました。
受講生のことを考えると、同じカリキュラムを受けても得るものにばらつきがあるという結果になるので問題といえば問題。
インストラクターさんがすばらしい指導力を持った人なら良いのだけど、インストラクター次第では悪くもなる。
最近、インストラクションとはなにか? というテーマがマイブームだったりします。そういった意味で、応急手当普及員講習は勉強になりました。
追記(2007年11月3日):
消防スタイルという言葉に関して、皆さんからの意見として不適切という指摘をいくつか頂きました。「消防スタイルでは、ビデオ教材のようなものは一切使いません。」
この部分は確かに不適切であったと反省しています。消防が行なう講習は、大綱は総務省消防庁が文書として公示していますが、実際の指導方法などは各自治体消防本部に任されており、使用教材を含めて統一されたものはありません。
私が体験したふたつの自治体の指導方法を見て、「消防スタイル」とくくってしまいましたが、自治体によっては独自にビデオ教材を用いたり、他普及団体の教材をそのまま採用しているところもあるようです。
不正確な書き方をしてしまったことをお詫びいたします。
2007年08月29日
(消防)上級救命講習を受講してきました
自治体の消防本部が主催している市民向け"上級救命講習"というのを受講してきました。
自分がBLSインストラクターとして活動していく上で勉強になることがあるかなと思っての参加だったのですが、なかなかハードな一日でした。
インストラクター3名で受講生は40人。
AHA育ちの自分には信じられない比率です。
それでもなんとかやっちゃうもんなんですよね。
日本でいちばん普及している救命講習がこの消防のものです。つまり反対にいえば消防のこのスタイルこそが、日本で標準のBLS講習。
リード・インストラクターによってやり方はぜんぜん違うのかもしれませんが、私が受講したコースのCPR部分はこんな感じ。
まずはデモンストレーションを交えた全体説明が1時間半くらい。ここで救命の連鎖の話から成人のCPR+AED、小児と乳児のCPR、成人の気道異物除去の説明があります。
その後、パートナー相手に意識確認から胸骨圧迫・人工呼吸の真似事を練習。その後です、ようやくマネキンに触れるのは。
マネキン対受講生比率は1:4。
人形相手に30:2を3サイクル練習して、最後はAEDを含めた全体の流れを1回だけ練習。
つまり人形に触れたのは回数で言えば2回だけ。まあ、2回といっても最後の全体を通した練習ではいつまでたってもAEDが到着してくれず、救急車の到着も遅く、12分間もひとりでCPRを続けるという恐ろしいシナリオになってます。結果的にはそれなりの練習量は稼げていそうな気もするのですが、疲労困憊を感じるのは必至。果たして効率がいいことなのかどうか。。。受講生は自信を持って帰れるのかなぁ。
インストラクターはブースの間を巡回していて、指導が必要な受講生には声を掛けてますが、問題なさそうなところは素通り。仮にうまくできていたとしても、本当にそれでいいのか受講生は不安に感じると思います。できている点を評価して誉めるということの大切さを感じました。
インストラクター数名で数十人の受講生を教えることができるこの方法は確かに数を稼ぐための効率はいいと思います。AHAにはないメリットを感じつつも、受講生の満足度・自信はどうなのかなという点は正直気になります。ただ少なくとも言えるのは、もしものときはどうにかしようというモチベーションが上がるきっかけとなるのは間違いないと思います。受けないよりは受けた方がいい。
ただもしかしたらマイナス効果になるような指導員の一言は多々気になりました。
「そんなに(胸骨圧迫が)弱いと助けられませんよ〜」
決して威圧的な言い方ではないのですが、10分以上のCPRで疲労困憊したところにはキツイセリフでした。ビリーブートキャンプのような効果を狙っているのでしょうか(笑)
一般市民の受講生を相手にしているということで、指導員さんの説明の仕方は大いに参考になりました。ビジュアル教材を一切使わずに言葉だけで説明していくのはすごいですよね。
受講費1500円で、テキストの他に、キーホルダータイプのキューマスク(フェイスシールド)とラテックス手袋、三角巾が付いてきました。さすが行政ならではの採算度外視ぶり。
せっかく払っている税金ですから、市民ならぜひ一度は受講してほしいものですね。それで興味を持ってもらって、さらにもっと実践的な教育で実力と自信をつけてもらえば...
Always
Be
Calm
(いつも落ちついて)
なんだって。
消防上級救命講習の教科書に書かれてました。

行政によってテキストは違うので、私のところだけなのかもしれませんが、こんな言葉があるんですね。
出典がどこなのかご存じの方、いますか?
救急のABCといえば、ふつうはAirway、Breating、Circulationですよね。最近ではD:Defibrillatorも含めてABCDと言われることが多いですけど。
消防の上級救命講習の案内には、乳児・小児のCPRも含まれると書かれていたので期待して行ったのですが、結果はガッカリでした。マネキンが1体だけあって、インストラクターがデモンストレーションをするだけ。昼休みに興味がある人は触ってみてねと言ってましたが、ほとんど手を出す人はいませんでした。
乳児のCPRとか気道異物除去なんて、小さい子どもがいる家庭では必須でそれこそ需要が高いと思うんですけどね。母親学級などできちんと教えるようなものなんでしょうか? この辺の詳しい事情はわかりませんが、子どもの心肺蘇生の普及が気になるところです。
自分がBLSインストラクターとして活動していく上で勉強になることがあるかなと思っての参加だったのですが、なかなかハードな一日でした。
インストラクター3名で受講生は40人。
AHA育ちの自分には信じられない比率です。
それでもなんとかやっちゃうもんなんですよね。
日本でいちばん普及している救命講習がこの消防のものです。つまり反対にいえば消防のこのスタイルこそが、日本で標準のBLS講習。
リード・インストラクターによってやり方はぜんぜん違うのかもしれませんが、私が受講したコースのCPR部分はこんな感じ。
まずはデモンストレーションを交えた全体説明が1時間半くらい。ここで救命の連鎖の話から成人のCPR+AED、小児と乳児のCPR、成人の気道異物除去の説明があります。
その後、パートナー相手に意識確認から胸骨圧迫・人工呼吸の真似事を練習。その後です、ようやくマネキンに触れるのは。
マネキン対受講生比率は1:4。
人形相手に30:2を3サイクル練習して、最後はAEDを含めた全体の流れを1回だけ練習。
つまり人形に触れたのは回数で言えば2回だけ。まあ、2回といっても最後の全体を通した練習ではいつまでたってもAEDが到着してくれず、救急車の到着も遅く、12分間もひとりでCPRを続けるという恐ろしいシナリオになってます。結果的にはそれなりの練習量は稼げていそうな気もするのですが、疲労困憊を感じるのは必至。果たして効率がいいことなのかどうか。。。受講生は自信を持って帰れるのかなぁ。
インストラクターはブースの間を巡回していて、指導が必要な受講生には声を掛けてますが、問題なさそうなところは素通り。仮にうまくできていたとしても、本当にそれでいいのか受講生は不安に感じると思います。できている点を評価して誉めるということの大切さを感じました。
インストラクター数名で数十人の受講生を教えることができるこの方法は確かに数を稼ぐための効率はいいと思います。AHAにはないメリットを感じつつも、受講生の満足度・自信はどうなのかなという点は正直気になります。ただ少なくとも言えるのは、もしものときはどうにかしようというモチベーションが上がるきっかけとなるのは間違いないと思います。受けないよりは受けた方がいい。
ただもしかしたらマイナス効果になるような指導員の一言は多々気になりました。
「そんなに(胸骨圧迫が)弱いと助けられませんよ〜」
決して威圧的な言い方ではないのですが、10分以上のCPRで疲労困憊したところにはキツイセリフでした。ビリーブートキャンプのような効果を狙っているのでしょうか(笑)
一般市民の受講生を相手にしているということで、指導員さんの説明の仕方は大いに参考になりました。ビジュアル教材を一切使わずに言葉だけで説明していくのはすごいですよね。
受講費1500円で、テキストの他に、キーホルダータイプのキューマスク(フェイスシールド)とラテックス手袋、三角巾が付いてきました。さすが行政ならではの採算度外視ぶり。
せっかく払っている税金ですから、市民ならぜひ一度は受講してほしいものですね。それで興味を持ってもらって、さらにもっと実践的な教育で実力と自信をつけてもらえば...
◆ 救急現場のABCって...
最後の皆さんに聞きたいのですが、「救急現場のABC」って知ってますか?Always
Be
Calm
(いつも落ちついて)
なんだって。
消防上級救命講習の教科書に書かれてました。

行政によってテキストは違うので、私のところだけなのかもしれませんが、こんな言葉があるんですね。
出典がどこなのかご存じの方、いますか?
救急のABCといえば、ふつうはAirway、Breating、Circulationですよね。最近ではD:Defibrillatorも含めてABCDと言われることが多いですけど。
◆ 小児・乳児の心肺蘇生
それともうひとつ追加。乳児のCPRについてです。いま日本では成人のCPRはいろんな団体で学べますが、小児、特に乳児のCPRを学ぶ機会は非常に少ない気がします。消防の上級救命講習の案内には、乳児・小児のCPRも含まれると書かれていたので期待して行ったのですが、結果はガッカリでした。マネキンが1体だけあって、インストラクターがデモンストレーションをするだけ。昼休みに興味がある人は触ってみてねと言ってましたが、ほとんど手を出す人はいませんでした。
乳児のCPRとか気道異物除去なんて、小さい子どもがいる家庭では必須でそれこそ需要が高いと思うんですけどね。母親学級などできちんと教えるようなものなんでしょうか? この辺の詳しい事情はわかりませんが、子どもの心肺蘇生の普及が気になるところです。