2016年04月24日

AHAインストラクターはプロの職業資格…って、認識してますか?

AHAのインストラクターになりたい、という相談を受けることがよくありますが、まずお伝えするのは次の点です。

「AHAインストラクターは、ボランティアをするための資格じゃありません」

AHAインストラクターは、職業資格です。

対価をとって、技術習得を伝え、プロバイダー資格を発行するというビジネス資格です。


ハートセイバー、BLS、ACLS、PALS、PEARSの受講対象は職業人。

職業人が職務に必要な資格をとるために受けに来るのが、American Heart Associationのプログラムなわけで、その資格を発行するのが、ボランティアなわけはありません。

同じインストラクター資格であっても、赤十字や消防の指導員資格や、PUSHプロジェクトのインストラクターとは意味合いがまったく違います。


このことをきちんと認識していますか?

という点をまず確認させてもらっています。


市民啓蒙活動をしたいというのなら、AHAインストラクターより、別の方向を目指したほうがいいです。


勤務先の病院内でAHA講習を開催したいと思っているなら、勤務先病院で「商売」を展開するということが職務上許されますか? という点を吟味する必要があります。


そもそもAHAインストラクターは職業資格ですから、公立病院職員や消防職員がAHAインストラクターになること自体が問題視される場合もあります。


この点、AHAと同じ救命講習をビジネス展開している団体、Medic First Aidでは、インストラクター向けのアドバイスとして、公立学校の教員のような公務員は、副業禁止規定を確認するようにと注意喚起しています。



日本のAHAインストラクターのほとんどは、医療従事者で、本業の傍らで兼業としてやっている人が多いかと思いますが、米国本来の資格の意味からすると、日本でAHAインストラクター資格を正しく活用できている人はほとんどいないものと思われます。

インストラクター資格を取るために、それなり費用も時間もかかります。

今がちょうどその時期ですが、ガイドライン改訂に伴ってインストラクターマニュアルやDVDを買いなおさなくてはいけませんし、英語版と日本語版、どっちも買うことになりますので、資格維持費もそれなりにかかります。

そういう実経費をペイして、さらにプロとしての対価を得ているか、ということは考えたほうがいいと思います。




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2016年02月14日

兼業インストラクターと税金の話

今年もまたこの季節がやって来ました。

インストラクターの皆さん、確定申告、してますか?

AHAインストラクターは立派な職業資格。講師料なのか、交通費なのか、謝金なのか、名目はそれぞれかと思いますが、受けっているギャラに対しては税金がかかります。

AHAインストラクターの場合は、医師、看護師、救急救命士など、本業を持っている人が、休日を使って教えているということが多いと思います。

所得税は本業の給料の中から源泉徴収されて、年末調整で一部が返ってくるという形で所得税を納めているかと思いますが、instructor feeのような副収入がある人は、その分も含めて確定申告を行う必要があります。

数ヶ月に1回程度のインストラクションしかしない人であれば、実質的には確定申告をしなくて済む方も多いかも知れません。しかし、少なくとも確定申告が必要な場合と不要な場合の線引くらいはきちんと知っていたほうがいいと思います。

雑所得で確定申告が必要なのは、所得金額が20万円を越える場合です。

20万円という金額を聞いていかがでしょうか?

仮に1回2万円の講師料(参考:JCS-ITCの規定20,000円/日)をもらっていた場合、1ヶ月に1回の指導で24万円。

確定申告が必要、ということになりますが、注意してほしいのが、20万円というのが収入額ではなく、所得金額であるという点。

所得というのは、収入額から必要経費を差し引いた額のことです。

つまり、講師料の中に交通費が込みとなっていれば、その交通費は差し引くことができますし、さらにはインストラクションに必要な経費ということで、インストラクターマニュアルやテキスト代、参考書籍代、自分自身が勉強のために受ける講習の受講料、資格更新にかかる手数料などを差し引くことができます。

さらには、講習の後に行う反省会という名の懇親会の飲み代も会議費として計上できます。

このように計算していけば、たいていの方は確定申告が不要な20万円以下の所得にまとまるんじゃないでしょうか?

ただ、勝手な見込みで20万円以下だろうと決めつけるのではなく、きちんと出納は帳簿につけておくことをお勧めします。


これが独立系のインストラクターになると、収入はガクンと跳ね上がりますが、その分、会場費や人件費、機材代や消耗品代など支出なども増えますので、確定申告を巡る経理の仕事量もガクンと跳ね上がります。

意外と知られていないのは、雑所得の経費として計上できるものとして、通信費(電話代、インターネット通信料など)や事務所の家賃・電気代なども含めることができるということ。

月に1回くらい、アシスタント・インストラクターとしてしか活動しないような人にはちょっと無理があるかもしれませんが、独立系インストラクターであれば自宅を事務所兼ということで、家賃の6割程度は必要経費に計上しても不自然ではありませんし、インターネット通信料などは、ホームページやメール管理のためということで、使い方によっては全額を経費にしてもいいかもしれません。

独立インストラクターを長く続けていると、インストラクション以外にも講演や執筆の依頼が入ってくるようになってきますが、その準備のための書籍代や取材費なども、同じ経費に含めることができます。


職場に無断で兼業している人とか、公務員の場合は、確定申告なんかをしようものなら、副業がバレる、という人もいるかもしれませんが、公務員であってもきちんと手順を踏めば、執筆活動や講師などと同じで教育活動ということで認められます。

これを機に、職場非公認+脱税の影に怯えながらコソコソするインストラクター生活を脱却すべく、行動を起こすことをお勧めします。






posted by めっつぇんばーむ at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2015年08月03日

独立インストラクターになる! 機材購入のヒント

AHAインストラクターとして独立を考えている方から、マネキンなどの機材の購入について相談を受けました。せっかくなので、皆さんにも情報のおすそ分け。


まずはHCPコースを軌道に乗せることを考える


将来的にやりたいことはいろいろあるかもしれませんが、まずはどのコースをどれくらいの規模で開催することを軌道に乗せるか、という視点で考えるべきです。

会社を起こすのであれば数百万円の資本金を、という話かもしれませんが、個人としてやっていくのであれば、まずは稼働させて、そこで資金を作りつつ拡充していくという路線が妥当です。

そういった意味でコンスタントに受講者が集まって、比較的収益率を乗せやすいのがBLSヘルスケアプロバイダーコースです。

まずは、BLS-HCPコースを軌道に乗せることを考えるといいと思います。

インストラクターひとりで、マネキンが1体なら最大3人の受講生を取れます。2体あれば6人ですが、この1:3という比率、非常にやりにくいです。練習や試験は二人一組で行いますので、ひとり浮いてしまい、順番待ちが発生します。

これが私は嫌いなので、1:2までに留めています。

ひとりで教えるなら、2体のマネキンで受講者4名というのがおすすめ。

現実的には私はひとりに1体のマネキンで4名まで、というのがデフォルトですが、あまり小規模だと会場費や諸経費の捻出が厳しく、機材を買い足していく原資も作れませんので、初期としてはマネキン2体で受講者4人というラインがお勧めです。


初期に購入すべきマネキンの種類と数


さて、BLSマネキンもいろんなメーカーのがありますが、私はレールダルのリトルアンとベビーアンを使っています。

AHAインストラクターとしては特定メーカーのものを推奨することはしない、ということになっていますので、この先はオススメというよりは、私の経験をお伝えするというスタンスですので、その点ご理解ください。


レールダルのBLSマネキンは、成人・小児・乳児マネキンが1体ずつセットになったリトルファミリーパッケージというのがあり、これが手っ取り早い感じがしますが、すこし考えたほうがいいです。

というのは、BLS-HCPコースでは小児マネキンは必須ではないからです。(インストラクターマニュアルをご覧ください。チョーキングチャーリーも必須ではありません)

ですから、BLS-HCPを最低限開催するために経費を切り詰めるなら、単体の成人マネキン2体と乳児マネキン2体を買うという選択肢もあります。

また購入の上で、後々問題になるのが購入時におまけ(?)でついてくるキャリーバックについて。

ファミリーパッケージのキャリーバックは大きいので、取り回しがなにかと不便。

またリトルアン4体入りのキャリーバッグも、ふつうの宅配便では受け付けてもらえないサイズなので、配送の時に不便を感じることもあります。

なので、リトルアンに関しては、私は1体ごとのキャリーバックが一番使い勝手がいいかなと思っています。配送するときには2つのキャリーバックをヒモでくくったり、大きなビニール袋で包めば、160サイズひとつとして宅配便で送れます。

反対にキャリーバッグとして使い勝手がいいのは乳児の4体入りのバック。

最初から機材拡充の方向性があるなら、少々アンバランスですが、乳児に関しては4体入りを買ってしまってもいいかもしれません。

ちなみに私が初期投資として買った機材は、

・リトルアン 2体
・ベビーアン 4体
・AEDトレーナー1台
・BVM成人 2
・BVM乳児 2
・ポケットマスク 2

でした。

受講者対マネキン比1:1でHCPコースが開催できる機材ということでしたが、乳児はおまけのキャリーバックが欲しかったから、というのがこの理由です。

今は、少しずつ買い足していって、

・リトルアン 5体
・ベビーアン 5体
・リトルジュニア 5体
・AEDトレーナー5台
・BVM成人 8
・BVM乳児 8
・ポケットマスク 8

という機材を個人所有しています。


AEDトレーナーの選び方


さて、次にAEDトレーナー(練習機)についてですが、これが意外と高い!

各メーカー、練習機なのに8万円〜10万円くらいします。

しかし、今では安い練習専用機が2万円くらいで出ていますので、それで十分です。

実機として存在しないからダメという意見を聞くこともありますが、そもそも公募で不特定多数に開催するような講習であれば、実機の存在しない仮想機の方がむしろいいんじゃないかと思います。

例えば、どこかの施設に出向いて職員研修を行うなら、その施設で実際に導入している機種で練習するのがいちばん現実的ですが、不特定多数の講習であれば、どんなAEDに遭遇するかわからないわけですから、実機の有る無しは関係ないですし、むしろ汎用性を重視した癖のない機種がいいだろうということです。

また、実機に合わせようとすると、例えばパッドを貼った後にリモコン操作が必要な機種があったり、パッド間を実際に電気的に通電させるためにマネキンのボディにアルミ箔のテープを貼らなくてはいけない機種があったり、なにかと癖があるのも要チェックポイント。

現実の機種としては少なくなってきましたが、パッドを貼った後にコネクタを刺すタイプの練習機の方が指導する側としては使いやすいです。



バッグマスクの買い方


最後にバッグマスクについて。

昔は医療機器ということで、入手が困難だったのですが、いまではAmazon.co.jpでも気軽に買えるようになっています。

先ほど、Amazonを見てみましたが、成人用も乳児用も8千円くらいでありました。

私は、16ドルと割安なので米国から直輸入で買ってますが、医療器具なので通関で引っかかって届かないこともあるので、やるならリスクを承知のうえで。送料を含めると倍くらいにはなりますが、それでも無事に届けば日本で買うよりは安いです。

バッグマスクには、一般的に成人用、小児用、乳児用がありますが、実際のHCP講習を開催している様子をみていると、赤ちゃんマネキンに対して乳児用のBVMを使っているケースはあまり見ないような気がします。

一回り大きな小児用を使っているケースが多いかなという印象。

買うときにはフェイスマスクの大きさが乳児にマッチしているか確認することをお勧めします。

もっともマスク部分だけは乳児用ポケットマスクに交換するという手もありますし、マスク部分だけの単体販売もあります。

あと、バッグマスクはリユース(滅菌)できるタイプのものと、ディスポーザブル(単回使用)のものがありますが、全国のAHA講習で使われているのは総じてディスポ品です。高い分解洗浄できるタイプ(3−4万円?)をわざわざ買う必要はありません。


その他


その他、おまけの情報として、マネキンを買うなら、メーカーのホームページから買うよりは、病院に出入りの医療機器のディーラーさんにお願いしたほうがお得です。たぶん1割から2割引きくらいにはなるはず。

あと、リトルアンの交換肺は日本で買うとバカ高いので、米国のWordPointなどで扱っているサードパーティー品(別メーカーの互換品)がオススメ。正規版とまったく遜色なく使えます。

レールダル正規品の交換肺でも、日本に比べると安く買えますが、ここ数年、日本への輸出が禁止されてしまったようです。でも、先ほどのサードパーティー品なら問題なく日本に発送してくれます。



以上、独立インストラクターとしての初期投資に関して、気づいた点を書き留めてみました。

参考になりましたら幸いです。




posted by めっつぇんばーむ at 11:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2015年07月11日

AHA講習受講料の話・・・アメリカ心臓協会の収益ではない

これまで過去何度も書いていることですが、AHA講習受講料に定価はありません。

また、受講料はアメリカ心臓協会(AHA)に上納されるものではなく、AHAとトレーニングセンター契約をしている日本の団体(学会やNPO法人、病院、一般社団法人、株式会社など)の収益となります。

ですから、世間の人たちが思っている「AHA講習は高い! アメリカ心臓協会、ボロ儲け」みたいに思われているのは完全なる誤解です。

受講料を設定し、受領しているのは、日本に9つあるトレーニングセンター格を持った団体です。

・日本小児集中治療研究会(JSPICC-ITC)
・日本ACLS 協会(JAA-ITC)
・日本循環器学会(JCS-ITC)
・日本医療教授システム学会(JSISH-ITC)
・福井県済生会病院(FSH-ITC)
・国際救命救急協会(IEMA-ITC)
・日本BLS協会(JBA-ITC)
・日本救急医療教育機構(JIEME-ITC)
・ACLS Japan

概ねこれらの団体ごとに受講料が違うと考えていいと思います。

公募のBLSヘルスケアプロバイダーコースにしても、1万2千円から2万6千円と開きがあるのが現状です。また、病院内限定講習ともなれば、トレーニングセンターによっては数千円で開催されています。

高いか安いかというのは消費者の主観ですから、ここでは言及しませんが、アメリカ心臓協会が儲けているわけではないという事実は、AHA公認インストラクターとして声高に主張させていただきたいと思います。

受講料は、その一部たりともアメリカ心臓協会に上納されることはありません。

この事実を知らないインストラクターも多いらしいことは嘆かわしいことです。

誰かが受講することでAHAの収益になる部分があるとすれば、それは受講者が書店で購入する公式テキストの印税分だけです。

それともうひとつは、プロバイダーカード(修了証)の台紙の値段から代理店手数料を差し引いいた微々たる額だけです。

参考まで、プロバイダーカードの台紙の金額は下記のとおりです。

・PALSプロバイダーカード 24枚 108ドル 1枚あたり4.5ドル ≒ 約540円
・ACLSプロバイダーカード 24枚 108ドル 1枚あたり4.5ドル ≒ 約540円
・ヘルスケアプロバイダーカード 24枚 48ドル 1枚あたり2ドル ≒ 約240円

これはあくまでも販売代理店での定価ですから、ここからアメリカ心臓協会に入る収益はホントに微々たるものです。

なんどもいいますが、AHA講習が高いと言われる現状を作ったのは、日本の提携団体であって、AHA自体はパテント料などを取るわけでもなく、事実上無料で日本での講習開催を認めているという事実を知っておいてください。



posted by めっつぇんばーむ at 23:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2015年01月08日

AHA-BLSコースを病院に導入するメリット

前回は、日本の病院にはAHA-BLSヘルスケアプロバイダーコースはそぐわないという話を書きました。

しかし別の視点に立つと、日本の病院が職員教育としてAHAコースを導入するメリットも見えてきます。


1.国際標準の技術認証が得られる
2.日本の医療界でも標準の資格を取得できる
3.インストラクター育成が簡単
4.講習開催が簡単


東京オリンピックとかTPP。なにかと国際水準が求められるこのご時世。井の中の蛙ではなく、国際的に評価として権威のあるAHAのプロバイダーカードの意義は、この先、評価が上がっていくんじゃないのかなという予想。

もともと日本で最初にAEDが使えるようになった職種は、コメディカルを差し置いてフライトアテンダントだったわけですが、その時も航空会社に選ばれた技術証明は英文でカードが発行されるAHAやMFAでした。(もっとも当時は日本の救命講習にはAEDは含まれていなかったわけですから当然ですけど)

現在、日本でも医療者向けの体系だったBLSプロブラムは事実上、AHA-BLS以外はありません。

だからこそ、日本循環器学会や日本麻酔科学会で専門医認定を取るためにはAHAのBLSとACLSが要件として求められているわけですね。

残念ながら看護の世界では、AHAに限らずBLSを要件として求めるような文化はないみたいですけど、日本有数の大御所学会が公認するプログラムが病院の中で開催できるというのは看護職員や研修医募集にとっては魅力となるのではないでしょうか?

あとは病院としての患者安全体制のPRとしても、使えますし、実際、そういう宣伝をしている病院もあります。(看護部職員全員BLSプロバイダーです! みたいな)



そして後半2つは視点を変えて、指導者養成という話。

今はどの病院でも院内研修としてBLSをやるのは当たり前になっています。

救急認定看護師あたりが講師となって、職員にBLSを教えているのだと思いますが、実技指導を伴うインストラクション。救急認定看護師ひとりでは全職員を教えるなんて無理です。

だから、院内でBLS指導ができる指導者を養成するわけですが、これがなかなか大変。

以前はBLSヘルスケアプロバイダーコースを終了したら、それで、あたな明日から指導者ね、ってかんじでしたが、まあ、そんな素人が適当にやるもんだからシッチャカメッチャカ。

中身のある研修には程遠いものが多いのが現状です。

このような指導者養成という視点で考えると、AHAインストラクター制度は非常にシステマチックです。

インストラクター用の教材がしっかりしているし、インストラクター養成プログラムも出来上がっている。

そしてなによりAHAコースはDVDベースだから、教えるのがとっても簡単。

ぶっちゃけで言えば、ビデオを見せて真似させるだけですから、インストラクターの技量はほとんどいらないようになってるんです。そういうシステムなんです。

考えてもみてください。

消防の救命講習みたいに、インストラクターが自分の言葉で全部説明して、デモンストレーションをして、最初から最後まで講習を仕切れるように訓練するのって大変だと思いません?

AHA講習ならビデオを流して、そのとおりにさせればいいだけだし、説明はぜんぶDVDのなかで喋ってくれるから、インストラクターはビデオ操作ができればいい。

ということで、オリジナルのBLS講習プログラムを作って、そのための指導者を養成して、、、、という手間と時間、つまり人件費を考えたらAHAインストラクター制度に乗っかっちゃった方が早いし、質は高いし、結果的にはコストも安くつくとも言えます。


目先のことではなく、長期的な視点で考えたら、AHAシステムを導入するほうが安いと気づいて実際にそうしている病院グループもあります。


こんなあたりも参考にしてみてください。




posted by めっつぇんばーむ at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2015年01月05日

院内研修としてAHA-BLSコースを導入は非現実的。まずはそこを認めよう

AHAのBLSヘルスケアプロバイダーコース。

おそらく日本で唯一といっていいくらいのデファクト・スタンダードな医療者向けBLS講習です。

日本救急医学会のBLSコースなんてものも最近できましたけど、開催しているところは事実上ゼロに近い状態ですから、医療者が本格的にBLSを学ぼうと思ったらAHAのBLSに頼っているのが日本の医療界の現状です。

そんなAHA-BLSだからこそ、病院内で医師・看護師の標準教育に使えばいいと思いがちですが、全国を見回しても、そんなことしている病院はほとんどありません。

不思議に思うかもしれませんが、それが現実。


つまり、日本の病院ではAHA-BLSは馴染まないのです。


なぜか?

理由はいろいろあります。


1.講習時間が長い
2.乳児の蘇生までは要らないんだけど、、、
3.受講料が高い


まずは、なんといっても 時間 でしょうね。

病院内の研修って、たいていは業務終了後の18時くらいかですよね。
そこからヘルスケアプロバイダーコースが始まると考えたらどうですか?

私は受講生一人に1体のマネキンを使ってますから、4時間程度で終わりますけど、それでも終了は22時。

医師・看護師が全員受ける研修としては無理ですよね。(私は希望者向けにこの時間枠でやってましたが)

かと言って休みの日に出てきてやってもらうというのも非現時的だし。

この点で、BLS-HCPコースは決定的にダメなんです。

病院としては、「一般的なBLSは習得していてほしいけど、赤ちゃんの蘇生まではいらない。それは小児科だけでいいよ」と思うかもしれません。しかし「コース」であるAHA-BLS-HCPからは、乳児や小児のパートは省略はできません。これも日本の病院側からすると融通の効かなさなんですよね。

あとは受講料の問題。

今でこそ、値段に幅がありますが、いちおう日本標準価格で言ったら1万8千円ですよね。

この費用を誰が出すの? という話。

院内研修として標準化するなら、職員が受講に要する4〜6時間分の賃金を出しつつ、受講料の1万8千円を負担しなくちゃいけないってことになります。

経営者がそこまでやるには相当のメリットがないとやりませんよね。

つまり、ふつうにやったら病院内の標準教育プログラムとしてAHAコースを採用するというのは、どう考えてもありえない話なんです。


自分の勤務先病院でAHA講習をやりたいと考えている方は、まずこのへんの現実をわきまえておくのが第一歩。

この障害に打ち勝つだけのメリットを打ち出さなければ、院内開催は難しいということです。




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2015年01月02日

院内トレーニングサイトをつくろう 【前提条件編】

前回、「サイト長になろう!」という話を書きました。

世間一般では、AHAインストラクターになるということは、サイト単位の共同作業で講習開催する一要員になる、という意味でしかないかもしれませんが、自分ひとりで講習開催できるスキルがない以上、それはいつまでたっても半人前。

私はそう考えていますので、最初から、ひとりで講習開催できることにフォーカスした支援を行っています。

逆に言うと、自分で講習開催する意志がない人は、インストラクターコースに受け入れません。

つまり、下記のような条件を満たしていることを求めています。

1.受講者を集めることができること
2.会場確保ができること
3.(将来的に)講習機材を確保できる目処があること
4.兼業制限がないこと、もしくはクリアできること

病院勤務の看護師で、自分の勤務している病院内で職員向けにAHA講習を開催したいという場合でしたら、上記の1と2のハードルは低くなります。病院でBLSマネキンなどを所有していれば理想ですね。(もっとも乳児マネキンはないことが多いですが)

しかし意外とハードルが高いのが4番目。これがキモと言えます。

公立病院の看護師は公務員。基本的に兼業禁止ですし、その他の一般病院でも兼業禁止という就業規則がある場合がほとんど。

この部分をどうクリアするかが最大の焦点です。

さらにいうと、AHA講習はプロのためのプロの講習ですから、インストラクターには対価が支払われるべきですし、カード発行手数料やマネキン肺の消耗品など、どうしても費用が発生します。

つまり、AHA講習開催には金銭授受が発生します。

そのことを含めて、病院の中で会議室を貸してくれるのか、また病院内で堂々と受講者を募ることができるのか、という点が問題となります。

病院の施設、機材を使って商売をすることは許されない、と言われてしまうケースをよく聞きます。

つまり、上記4に関連して、AHA講習の位置づけと院内インストラクターの位置づけをクリアにしておかないと、話が最初から進んでいかないのです。

法律で兼業が制限される公務員であっても、現実、AHAインストラクターとして堂々と講師料を受け取っている人もいますので、決して無理な話ではありません。詳しくはまた別項で書きたいと思います。


他にも病院内には様々な抵抗勢力があります。

・AHA講習を看護師個人が開催するなんてありえない、という誤解
・後輩のくせに生意気よ、的なやっかみ
・認定看護師でもないに、私をさしおいて調子に乗ってるわね、的意見
・院内開催は好ましいけど、受講料とか地域との格差が生まれるのはマズイ
・BLS? 院内研修をやってるから十分でしょ
・AHAがなんだか知らないけど、ヘンなものを持ち込まないでちょうだい
・あなたひとりで何ができるの?
・受講した人としない人で差がつくのは良くない

こう考えていくと、個人の熱意だけでは潰されるのは目に見えています。

大事なことはインストラクターとしての経験や権限ではなく、それ以前に病院組織に対する交渉だったり、根回しだったり、将来的なビジョンをどう打ち立てるか、という、営業能力・プレゼン能力です。

そしてそれは、一朝一夕のものではなく、普段から病院組織に貢献しているかどうかという点も大きく関わってきます。

例えば院内でBLS研修が行われている場合、その指導担当でもない人がいきなりAHA講習をやります、といっても理解されないのは、当然ですよね。

そういう下積み、基盤を作ってあってこその話です。


また看護部は決断力がありませんから、診療部へ話をつけておくことも大切。

特にキーパーソンとなる診療部の部長クラスの医師を仲間にしておくことは肝要です。


病院で機材もあるから、ぜひ院内で! と簡単に考える人は多いですが、実際のところ、自分の勤務先病院内で講習開催出来ているケースが少ないのは、インストラクターの権限の問題だけではなく、病院組織の内部問題であることが多いのです。

戦略的に自分の病院内での立ち位置を見て、院内AHA講習開催を目指すなら、まずは病院内で今できることを始めてください。



すでにインストラクター資格をお持ちで、院内開催を目指してる方は、いくら外部のトレーニングセンターでがんばっていても、同時に自分の足元を固めないと、残念ながらそれは方向違い、ではないでしょうか。





posted by めっつぇんばーむ at 09:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2015年01月01日

あなたもサイト長になりませんか?

独立コース開催とか個人活動とか、日頃私は言ってますが、日本の皆様にはどうもピンとこないみたいですね。

本来のAHAインストラクター制度は個人開催が基本で、、、、なんていくら言ったところで、日本の名だたるトレーニングサイトの集団行動・分業制の様子を見たら、そりゃ、理解できないですよね。

そこで言い方を変えることにしました。

あなたもサイト長になりませんか?

私が言っているインストラクター権限というのはそういうことなんです。

ちなみに私もサイト長です。

好きなときに、誰にも縛られないでAHA公式講習を開催できるし、受講料の金額設定も自由。

もっとも、いま現在、私が所轄するトレーニングサイトの構成員は私一人なんですけどね(笑)

まあ、それは冗談半分で、私はこれまで日本全国に10個弱のトレーニングサイトを作ってきました。

地域・コミュニティの必要性から、現地にキーパーソンとなるインストラクターを立てて、その人が独立するまで支援していくというやり方です。

当初は私が暫定サイト長をしていましたが、人材が育ったので、今は他のインストラクターにサイト長権限を移譲しています。

要はいわゆる「コースディレクター」として、自分でコース進行もマネージメントもできるようになれば、=サイト長ということで任せています。

トレーニングサイトというと、傘下のインストラクターがたくさんいる大所帯をイメージしがちですが、小規模であってもトレーニングサイトはトレーニングサイト。

AHAコースはひとりで開催できるもの。それが基本です。

私はBLSコースに関しては受講者:マネキン比を1:1に限定していますので、ひとりで同時に受け入れられる受講者は4名。そんなミニコースを標準にしています。

ACLSもインストラクターは私一人で受講者は4名に限定して、2日ではなく1日で終わらせるOne Dayコースを。

PEARSは最大6人まで受けていますが、やはりインストラクターは私一人が基本。

そんなミニマムで、自己完結的にコース開催できるのがインストラクターとしての基本スキルです。

そこにサイトの必要に応じて、インストラクターや機材を増やしていけば、それなりの規模にもなります。

いきなり大人数の講習を目指すのではなく、こじんまりと徐々に広げていくスタイル。


特にBLSなんて、インストラクター一人で受講者2名を教えるというのが、病院内での活動展開を考えると現実的ですし、インストラクターの成長としてもいいと思うんですよね。ミニコースで経験を積みつつ、受講料を積立していって独立採算的に機材を増やしてく。


古典的な大手トレーニングサイトのサイト長に、「自分の勤務先病院でAHA講習を開催したい」と相談したら、3年は修行が必要だね、と言われたって話を聞いたことがありますが、受講者2人ないしは4人のミニコースなら、その気になれば半年もあれば十分形になります。

そんなやり方でトレーニングサイト設立支援を行ってきてはや数年。

悪いやり方ではないと思いますので、マネする人がもっと増えてほしいなと思っています。

必要でしたら、ノウハウをもうちょっと詳しく説明できますので、コンタクト、お待ちしています。






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2014年12月29日

インストラクターとして何をしたいの? ITC移籍という道

私が特にリベラルな活動をしているせいか、AHAインストラクターのトレーニングセンター移籍の相談をよく受けます。

ご存知、今日本には9つの国際トレーニングセンター(ITC)が存在しています。(AHA ECC公式日本語ページを参照してくださいね)

AHAインストラクターは資格としては世界共通ですから、プライマリーTC登録がどこでも、別のトレーニングセンターの活動を兼任できることになっている(PAM参照)のですが、現実的にはプライマリーとして所属している団体のローカルルールに強く縛られることが多いようです。

そこで、窮屈さを感じて、より自分のしたいことができるトレーニングセンターへ、というケースが多いようです。


多いのは次のようなケースです。

自分の勤務先病院で職員向けAHA講習を開催したい!

これ、医師や看護師インストラクターのインストラクターになりたい動機ナンバーワンじゃないでしょうか?

しかし、これが実現できるインストラクターはほとんどいません。

というのは、個人での活動開催を認めているトレーニングセンターがほとんどないからです。


最初からそのことに気づいていればいいのですが、いざインストラクターになってからそんな現実に直面すると悲しいですよね。

だからインストラクターになる前に、所属トレーニングセンターを吟味しろってことなんですけど、まあ、幸いAHAインストラクターは移籍は自由なので、まずは地元の取っ掛かりのある所でインストラクターになって、ある程度経験を積むというのも悪くはないと思います。

特に地方で周囲に封建的なトレーニングセンター活動拠点しかない場合は、選択肢としてはそこしかありません。無理なく講習会に参加できる環境が重要ですから。そこでがんばって経験を積んで、自分で講習開催できるくらいの実力を付けたところで、裁量権を認めてくれなければ、個人開催を認めるトレーニングセンターにサクッと移籍する。

賢いやり方だと思います。

その頃になると、地元サイトへの恩義とか出てきて、日本人感情的にはなかなか難しいところもあるみたいですけど、結局、自分は何をやりたいのか、ってことですよね。

地域のコミュニティーで同好会的な関係性を楽しみたいのか、目的に向かって戦略的に突き進むのか?

まあ、その人次第です。


余談ですが、逆に言うと、インストラクターの裁量権を認めないトレーニングセンターは、優秀な人材が流出する危機に直面しているとも言えます。だから、「脅す」ようなことをするんですよね。あとはインストラクターになる際に「移籍しません」という誓約書を書かせるとか、、、

蛇足ながら、誓約書を出していたとしても法的根拠はまったくありませんし、AHA国際ルール(PAM)からすると、移籍しちゃダメというのはAHA的に違反行為ですから、ウソの脅しには屈する必要はありません。






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2013年06月12日

受講者を育てる立場から、インストラクターをも同時に育てる立場へ

最近、独立インストラクターというよりは、あちこちに出向いてトレーニングサイト作りの支援だとか、インストラクター育成という仕事が増えてきました。

そこで、今日はインストラクターの成長過程について書いてみようと思います。

トレーニングセンターによって方針はまったく違うと思いますが、うちは個人活動が基本です。いわゆるトレーニングサイトに縛られません。(っていうか、トレーニングサイトがない。。。)

なので、インストラクターの目標は、サイトの中でパーツを担当する駒のひとつになるのではなく、自分一人で講習開催できるようになること。

集中的に訓練を行うときは、一人で二人の受講生を教えるミニコースを何回も行なって経験を積んでいきます。受講希望者が4人いるなら、あえて午前/午後とかに分けて、経験数を積むのです。そうして会場設定から、インストラクション、書類整理まで一人で行えるようになれば、独立開催許可を出します。

徐々に受け入れ受講者人数を増やしていって、AHAルールに基づけば一人で6名の受講者を担当できるようになります。

これがうちの基本スタイル。言ってみればアメリカのスタイルです。AHAのコアインストラクターコースとか、BLSインストラクターコースのDVDではこんなやり方ですよね。

一人で活動するなら、それでいいんです。

でも、独立インストラクターが、例えば勤務先病院の中でAHAコースをやるようになると、はからずもインストラクター希望者が出てきて、後輩インストラクターができて、さながらトレーニングサイトのようになってきます。

こうなると、独立インストラクターは新しい局面を迎えることになります。

自分一人で好きなようにはインストラクションできなくなるからです。後輩インストラクターを指導しながら受講者を合格に導くという高度なスキルを求められるようになります。

つまり先輩インストラクターにとっては、受講者と後輩インストラクターを同時に導いていかなくてはいけないのです。別の言い方をすると、後輩インストラクターを操って間接的に受講者を指導していく。自分で受講者を教えたほうがよっぽど楽なのに、、、これはけっこうなストレスです。

AHAインストラクターは、学びは動機付け、モチベーションがすべてということを知っています。ですから、後輩インストラクターの顔を潰したりせず、やる気を落とさせないように上手に操りつつ、受講者にとって学びの恩恵が最大限に得られるように援助していく、というわけです。

例えば新人インストラクターが間違ったことを教えたとする。それを先輩として口を挟んで修正するのは簡単ですが、そうすると受講者からの新人インストラクターへの信頼が下がることになります。このような場合はこっそりとインストラクターに言って、そのインストラクターの口からさり気なく訂正を促すべきです。

このようにして、受講者もインストラクターも両立して育てていくのが、独立インストラクターの次のステップ。

まあ、実際、この段階になるとBLSに関しては、ディレクターというよりはファカルティの仕事になるわけですが、自分自身がインストラクターとしてどのように成長して行きたいのか、何をしたいのかというビジョンを明確に取り組むことが大切だと思います。


うちの組織の場合、単独インストラクターとして一人トレーニングサイトを作るのは比較的簡単です。

でもインストラクターがたくさん集うようなトレーニングサイトを作るのは、やはり大変です。





posted by めっつぇんばーむ at 22:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2012年11月29日

ナースが作ったトレーニングサイト、松戸ECC-TS

インストラクター仲間のナースが、新しいAHA活動拠点を作りました。

松戸ECCトレーニングサイトAHA活動拠点(JSISH-ITC/AMR)

松戸ECCトレーニングサイト

場所は千葉県松戸市。東京からもそう遠くない場所です。

今は介護士さんのインストラクターもいるそうですが、スタッフはナースが中心。

インストラクターはもちろん、インストラクター育成を行うファカルティ(Faculty)もナース。

この世界、とかく、どこかの偉い先生(医師)が、サイト長だったりすることが多いのですが、基本ナースだけで運営しているというのは非常に珍しいパターンで、実にAHA的!(米国ダラスのAHA本部を動かしている中心人物はナースが多いって知ってました?)

松戸ECCトレーニングサイトでは、BLSに関してはインストラクター育成まで、自前で行えます。プロバイダーコースは、BLSに加えてACLSもナースが主体で行なっていて、PALS/PEARSに関しては、ハワイのAmerican Medical Responce登録なので、開催時は全国からスタッフが手伝いに来るんだろうな。

ナースが運営するAHA活動拠点のメリット。

それは松戸ECCトレーニングサイトのコンセプトでもありますが、ナース目線なこと。

ご存知、AHA-BLSやACLSを受講する最大の職業群はナース。そして患者のそばにいて、急変対応のファーストレスポンダーを務めるのもナース。

でも、これまでの日本のAHAコースは医師中心で進められていたため、どうしても医師目線。ACLSなんて特にその傾向が強いですが、ナースは医師教育のおこぼれに預かる的な感がいなめず、受講自体がストレスだったり、実際に足を運ぶまでに至らないという点が多々あったと思います。

でも、一番必要なのはナースなんだから。

ナースに必要な教育をナースの等身大で受けられる場所。

全国でも少ないんじゃないでしょうか?

そういった意味で松戸ECCトレーニングサイトは希少です。東京からも遠くないし、今後すごく伸びていくんじゃないかなと期待。

近々インストラクターコースを開催して、さらにBLSインストラクターが10名増えるそうです。みんな、ここでBLSコースを受講して、インストラクターになりたい! と思った人たちばかり。


あと、もう一点、蘇生教育には医師が立ち会わないと、という思い、ナースには強いようです。で、結果的には医師主導になって、肝心のナースの視点が抜け落ちるパターン。でもナースだけで、ここまでできるんだよ、やっていいんだよ、というのは、全国のナースインストラクターや現場の指導者にとって大きな励みになるんじゃないでしょうか?

ナースが責任者の地域トレーニングサイト。

皆さんもサイト長を目指しませんか?



参考ブログ記事「サイト長になりませんか?





posted by めっつぇんばーむ at 05:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2012年09月06日

インストラクター活動を職場に公認してもらう方法

AHAのインストラクター活動には、基本的に報酬が出ます。無償の奉仕活動ではありません。

インストラクターのほとんどは病院勤務の医師や看護師だったり、自治体消防本部に勤務する救急救命士だったりするかと思いますが、皆さん、職場に兼業届けのようなものは出してますか?

意外とこのあたり適当にしていて、"内緒"でやってる方が多いんじゃないでしょうか?

せっかく優れた指導スキルがあるのに、それを自分の職場で活かしている人が少ないのは、もしかしたら、このあたりのことが関係しているんじゃないのかなと勘ぐっているのですが、いかがでしょう?

BLSやACLSの指導スキルを、地域のトレーニングサイトでしか生かせないとしたらあまりにもったいない。目の前には臨床があり、高いスキルを必要としている同僚たちがたくさんいるのですから。


ということで、インストラクターとしての活動を職場に公認してもらい、病院外でも病院内でもそのスキルを遺憾なく発揮するためのアドバイスを幾つかまとめてみました。


1.研修報告をこまめに出す

病院の場合だと、院外研修報告みたいな感じでレポートの書式がありませんか? なかったとしても学会に参加した時の事後レポートみたいな感じで、インストラクターコースの受講などをレポートにして病院側にインストラクター資格を取得したことをアピールするのが第一歩。その後も、インストラクションに参加したときは最初のうちは「モニター」という位置づけでしょうから、教育実習という研修参加という意味で、引き続き研修報告レポートを提出。

事あるごとに自分のやっていること、自分のできること、その社会的意義を病院や直属の上司に伝えていくことが大切です。この地道な努力がいつか開花します。

2.招聘状、依頼状を出してもらう

これがけっこう効きます。院外講習の時に、ディレクターやサイト長などから講師派遣依頼のようなものを病院長宛に書いてもらうんです。だいたい病院って外面を気にしますから、外から頼まれるとふたつ返事でOKしてくれることが多いんじゃないかという印象。うちの場合、内容はあまり見てないみたいで、ちゃんと報酬額が書かれているような依頼状でも病院の業務として、つまり出張扱いで行かせてくれます。これはあまりに恐縮なので、最近は学会併設コースとか大きなイベントの時以外は避けています。

あと、できればトレーニングセンターから文書を出してもらって包括的な兼業許可が取れると何かと楽です。私の場合は「地域でBLSを広げるための地域ディレクターとしてのミッションに協力してほしい」というような大きな枠での依頼状を出してもらって、それを元にインストラクターとしての包括的な兼業許可をとっています。これさえ取ってしまえば、自己開催の講習でもいちいち届けを出さなくても基本自由、というわけで、私が好き勝手に活動しているように見えるのはこれのおかげです。

ただいきなりそんな体制にできたわけではなく、インストラクター資格取得から始まって、事あるごとに病院上層部に当てて、自分ができること、やって行きたいことを報告したり提案したり、また事あるごとに招聘状をもらって、さらにその実施についてもレポートしたりと、小さな積み重ねがあっての集大成だと思っています。

こうした働きかけがあったからこそ、病院内外で自由に講習活動が行えるようになりました。

ある意味、これは政治とか営業の世界です。AHAのインストラクターコースでは教えてくれないこと。

せっかく資格をとったのだから、それを活かしていきたいですよね。

それは自分の強みを活かすためには、地道な営業活動やネゴシエーションが大切です。


3.公務員の場合

最後に公務員の扱いについて補足。

ご存知、公務員は法律で副業が禁止されています。こっそりとやって見つかると下手すると懲戒免職。ついこの間も、釣り雑誌に投稿して謝金を受け取っていた警察官が問題になって、訓戒処分、で、自主退職したというニュースがありましたよね。(http://www.sanspo.com/geino/news/20120826/tro12082605050001-n2.html

公務員だったら何が何でもダメかというとそういうわけではなく、執筆とか教育講演とかそういった内容であれば許可される場合もあります。歌人の俵万智も県立高校の職員時代に本を出してますし。

ということで、届け出るときは、副業ではなくあくまで教育活動という点を強調するのがポイント。あと社会的意義なども地道にPRしておくといいですね。

それを考えると依頼状の発行元も問題になるかもしれません。私の場合は日本国内資格のトレーニングセンターが医学系学会が母体なので、学会から依頼がきた、という形になっています。学会活動は教育活動として病院が積極的に理解してくれるというのは大きかったと思います。

AHA-ITCの形態はいまは様々ですが、これが一介のNPO法人や任意団体、株式会社からの依頼状だったら、こうすんなりと話が通ったかというと疑問です。

そういった意味では、所属団体によっても活動の範囲は違ってきそうな気がします。



posted by めっつぇんばーむ at 04:38 | Comment(2) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2012年02月28日

コースディレクターの育て方

これまでいくつかの病院から頼まれて、院内でAHA-BLSコースを自主開催できるようにインストラクターの育成事業に関わってきました。

これまで独立支援をしてきた医療施設は合わせると5施設。

そこでAHA公認BLSコースを自主開催できる権限を持ったインストラクター、俗に言うコースディレクターを輩出してきましたが、このように目的を持ってインストラクター支援を行なう場合のセオリーも自分のなかでだいぶ固まってきた気がします。

そんな話を少しばかり。

病院単位でAHA-BLSを教育に取り入れようと思ったとき、まず大切なのはコースディレクターを一人確保することです。

もともとAHA-BLSインストラクターは、そのライセンスさえあれば誰でも公認コースを開催して自分の名前でプロバイダーカードを発行できる存在ですが、日本ではAHAルールとは別に内規で「コース・ディレクター」というステイタスを設定していることが多いようです。

とにかく自分で修了カードを出せる権限を持ったインストラクターがいないことには始まりません。

インストラクター人数を増やすことより、まずはディレクターです。

ということで、院内でAHAコースを確立させるためには、コースディレクターをどこかから引き抜いてくるか、ゼロから育成するか、という話になります。

ディレクターを育てるのに有効なのは、ミニコースを繰り返すこと。

インストラクター1名で、受講者2名を相手に教えるミニコース、これは鍛えられます。司会進行から実技指導まで、基本全部自分で進めていく。TCFは臨席しますが、最初の数回以外はほとんど手出しをせず、自主的に進んでいくようになります。

ということで、自分でコース開催できるインストラクターになりたい、または育てたいと思ったら、ミニコースをたくさん設定することが近道です。

もちろん、ミニコースだけでは身につけられないスキルもあります。他のインストラクターとの連携や、多ブース管理など。そこはおいおい強化していけばいいことで、まずは少ない人数であっても自分ひとりでコースをマネージメントできる能力、そこから始まると思っています。

誰かの何かの参考になれば幸いです。




posted by めっつぇんばーむ at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2012年02月05日

「サイト長になりませんか?」

勤務先の系列病院に出張BLSで行ってきました。

先方の病院には2名のBLSインストラクターさんがいましたが、トレーニングセンターの所属が違うということで、今回は見学のみ。

私的には所属なんてどうでもいい話なので、お手伝いいただければと思ったのですが、まあ、先方の所属ITCの兼ね合いがあるようで、、、

2名のインストラクターのうち、一人は救急認定看護師さん。いろいろお話しさせていただいたのですが、最後は「病院の中で、ご自身の手でAHA-BLSコース、開催しませんか?」とお誘いして帰ってきました。

やや大げさにいうと、病院内にトレーニングサイトを作って、サイト長に就任しませんか? という提案です。

「えっ、ナースだけでそんなことできるんですか!?」

と驚かれましたが、もちろんできます。医師免許をもった人間が責任者をしなくちゃいけないなんて決まりはありませんし、さらにいえば看護師免許だって不要です。

トレーニングサイトになっちゃえば、病院としても大きなメリットですよね。

世間でいう1万8千円という高い受講料を払わなくても数千円の事務手数料でAHA公認BLSライセンスが出せるようになりますし、なにより病院の売りになる。

研修医や看護師募集のときのセールスポイントになりますし、患者さん向けにも患者安全対策に取り組んでいます、という強力なアピールになるはず。特にいま、病院も競争しなくては生き残れない時代に、AHAトレーニングサイトとしての独自権限を病院として持ってます、というのは大きいでしょう。

逆に言うと、自分でAHA-BLSコースを開催できるインストラクターが病院内にいるのに、それを登用しないというのは考えられないほどもったいない話です。

安いとはいえどうしても発生するカード発行手数料、そこが問題になる場合は確かにありますが、病院としても今回わざわざ私たちを呼んでAHA-BLSコースを開催しているわけですから、今回ほど手間をかけずに自分たちでOKとなれば反対する理由はありません。

問題は、サイト長候補者さんが今所属しているトレーニングセンター側が、別系統のITCでの活動を認めるかという話。

穏便に話が進めばいいですが、これがきっかけでこれまでの地域での人間関係が壊れてしまうのも勿体ない話。

最終的には個人的な人間関係が問題なんですよね。




posted by めっつぇんばーむ at 11:07 | Comment(2) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!
2012年01月02日

日本救急医学会BLSコース、ナース/救命士解禁に向けて

以前、このブログでも紹介させていただきましたが、ICLSでおなじみの日本救急医学会が認定BLSコースなるものを新設しました。

これでAHA-BLSコースは日本からおさらば!? と思いきや、その概要を見てがっかり。

BLSコースの認定基準
1.実技を中心としたコースで、コース時間を90分以上確保する。
2.1グループ6名以下を標準とする。
3.認定コースディレクターがコースディレクターとなり、コースの質を保証する。
4.各ブースに1名以上の認定インストラクターがつき、各ブースの質を保証する。
5.コース内容は、日本版ガイドラインの内容に準拠する。



この認定BLSコース、ICLSの認定コースディレクター、つまり医師免許を持った人しか開催できないんです。

こんなんでマジメに普及させるつもりでいるとしたら、ちゃんちゃらおかしい。

日本版ガイドラインを作ってしまった以上、体面的にBLS制度を作ったはいいけど、その後、テストコース以外開催したって話は聞かないし、開催されることも期待してないんじゃないかと本気で思ってしまいます。


やっぱり各方面からそんな声が大きかったのでしょうか?

本日、認定BLSコースのあり方に関するアンケートが回ってきました。

アンケートの設問を見ると、認定ディレクター(医師)だけではなく、ICLS認定インストラクターなら誰でも認定BLSコースを開催させる方向性も検討されていることが伺えます。

BLSなんて普及させてなんぼのもんで、医師免許保持者でないと質の管理ができないなんてどんな石アタマなんでしょう?

医師なんかより救命士の方がよっぽど経験も長けているでしょうに。

そして、なにより人口が多くマンパワーがあるのは看護師。

救命士と看護師を活用しない限り、AHA-BLSに取って代わる日本救急医学会認定BLSの普及はあり得ません。

皆さんはどう考えるでしょうか?


ICLS認定インストラクター資格をお持ちの方は、下記のアンケートフォームから意見をぜひお願いします。

http://my.formman.com/form/pc/a8p5GA40TOWY5lNb/

みんなで救急医学会認定BLSを使える制度にしていきましょう。

アンケート締め切りは1月13日だそうです。



posted by めっつぇんばーむ at 22:17 | Comment(1) | TrackBack(0) | 独立インストラクターになる!