2008年05月11日

ACLSインストラクターコース受講

自分の限界を感じて、「BLSインストラクター一本で行こう!」と心に決めていた私ですが、周りに後押しされつつ、ついにACLSインストラクターへの道を踏み出してしまいました。

ただでさえ内容盛りだくさんで難解なAHA-ACLSコース。

そのインストラクターともなれば、プロバイダーレベルの知識・技術は最低限の常識にすぎず、さらに広く深い周辺知識に加えて、なにより難しいのはそのインストラクションです。

BLSのインストラクションとは、ぜんぜんとは言いませんが、こんなに違うものかと思いました。

直線的に流れを追っていけばよいAHAのBLSインストラクションに対して、ACLSはアルゴリズムが枝分かれするように、そのインストラクションも流れの舵取りをしていく必要があります。

シンプル化されているとはいえ複数の要素が絡み合い、まるで迷路に迷い込んでいくみたいな印象です。

AHA-ACLSインストラクターコースの目的は、AHAの提唱するACLSの構造を理解し、その医学的なサイエンスと教育学的なサイエンスの狭間での身の置き方を学ぶコースなのかなと感じました。



まあ、結果的にAHA-ACLSインストラクターコース、かなりおもしろかったですよ♪

なにがおもしろかったかというと、BLSを通してその入口を学びはじめたインストラクション・デザインと成人教育への理解が格段にひろがった気がします。

ACLSと似た教育プログラムにICLSがありますが、この違いが明確にわかるようになりました。

これまでは単にACLSの入門編がICLSなんて単純な理解をしていましたが、今は似て非なるものと思っています。

この違いをたとえて言うなら、東京ディズニーランドと他のテーマパークの違いと言いましょうか。

AHA ECCプログラムには一本筋が通ったコンセプトがあります。

BLS、ACLS、PALSと横断しながらもそれを徹底的に貫いているところが、すごいと思いました。

コース設定上、実際の臨床には即していない場面もありますが、AHA ECCプログラムのコンセプトとルールを理解すれば、納得。これを誰よりも正しく理解して迷路にハマリがちな受講生をゴールに誘導していくのがインストラクターの役割なのだなと思いました。

蘇生周辺知識のサイエンスを100%理解していたとしても、きっとAHAのACLSインストラクターは務まらないはずです。

むしろAHAインストラクターとして重要なのは、医学知識や経験ではなく、AHAのコンセプトとインストラクショナルデザインを熟知するところにあるのだと思いました。


いままでもAHAの教育システムや世界戦略についてあれこれ書いてきましたが、ACLSインストラクターコースを受講して、新たな視点が開けてきた気がします。

今後、実際の指導経験を通して、もっとそれが深まっていくのが楽しみです。



なんだかわかりにくい話でごめんなさい。

今度もう少し具体的にACLSプロバイダーコース構造の話を書きたいと思います。
posted by めっつぇんばーむ at 17:50 | Comment(6) | TrackBack(0) | AHA-BLSインストラクター
この記事へのコメント
インストコースお疲れさまでした。踏み出してしまったなどと言わず、がんばりましょう!
確かに、BLSとは違ってPWWではないので、とんでもない方向へ受講生の方が行ってしまわないように、、、難しいです。Bのインストラクションも変わってくるでしょうし、、、
Posted by Kim at 2008年05月11日 20:30
インストコースお疲れさまでした。
私も今日、少しACLSコースを見学させていただきましたが、私にはちんぷんかんぷんでした(汗)
Posted by なお at 2008年05月11日 22:50
めっつぇんばーむさん、ご無沙汰しています。
救急マニアックです。

AHA-ACLSインストラクターコース、お疲れ様でした。
自分もタスクでの参加を予定しておりましたが、病院の都合で急遽キャンセルしてしまいました。せっかくお会いできると思ったのに・・・。

自分も今後、2回目のAHA-ACLSインストラクターモニターを受講する予定ですが、ACLSのインストラクションは本当に難しいです。DVDを見せながら練習させたり、ディスカッションがあったり、レッスンマップに従いながらではあるものの、インストラクターがメインで受講生に教える場面があったりと・・・。本当に様々な知識とスキル、インストラクション技術が求められます。

自分は今後、何回後のモニターで合格となるのか分かりませんが、モニター受講目的でコースに参加していても、インストラクターとしてコースに参加していても、AHA-ACLSプロバイダーコースのインストラクションを把握する上では貴重な経験になると思います。

どれ程自宅でレッスンマップを見ながら勉強しても、イメージトレーニングしても実際にコースに参加して教えなければ分からないことがたくさんありますよね。
自分もAHA-ACLSインストラクターになることにかなりの不安を感じていますが、開き直って場数を踏むためにACLSコースに数多く参加していきたいと思います。

お互い、頑張りましょう。いつの日か同じコースで自信を持ってインストラクションできることを願って・・・。
Posted by 救急マニアック at 2008年05月12日 13:38
ACLSのインストラクションには、BLSとそっくりなところと全く次元の異なったところがありますね。

受講生さんのチームダイナミクスを十分に引き出せたときには、こちらはすっかり応援団と化せますし、そうでなかったときにはかなりしんどい舵取りが必要にもなります。

実習中のインストラクターの役割を「応援」ととらえると、随分見方が変わってくると思います。

そうだ、3人くらい集まったら、ACLSインスト実践練習会をしようかなぁ。希望者いる?
Posted by BlueMoon at 2008年05月12日 15:16
インストコースお疲れさまでした。
すごいですねー!!
ACLSのプロバイダーコースを受けるだけでも結構しんどいのに、インストを受けられていたなんて。
これからのご活躍にエールをお送りします。

因みにうちの県ではドクター以外は、原則インスト出来ないらしいです。何故か?指導するのが難しいとの理由・・・
なんだか遣る瀬無くなってしまいますね。
BLSも同様・・・
Posted by バニー at 2008年05月13日 09:31
Kimさん、いつも真っ先のコメントありがとうございます。
シミュレーション教育が特集されていた"救急医学"誌の中で、実践成人教育とシミュレーショントレーニングを学ぶ一番の方法はAHA-BLSインストラクターになることという記載があって、多いに頷いていた私ですが、Bインストはあくまで入門編であって、本当の応用はここにあったんだなぁと大きく視野が開けた気分でいます。まあ、それに気付けただけでもAHAインストラクターコースを受講した意味があったかな。ACLSインストラクターとして立つという新しい目標ができました。道のりは険しそうですが、4年前、はじめてAHAコースを受講したときの気持ちを思い出しながらステップアップしていきたいと思います。

なおさん、チンプンカンプン、私もそうでした。でもBLSのことをずっと考えていると自然と足はACLSへと向かっていく、そんな不思議な感じでした。なおさんも焦らず踏み出したBLSインストラクターとしての道を突き進んでください。いつしか結果としてACLSに足を踏み入れている思いますよ。

救急マニアックさん、救急マニアックさんに刺激を受けて、私もACLSインスト路線を歩きはじめてしまいました(^^) 日本では医師以外のACLSインストラクターはまだまだ数えるくらいしかいないようです。そんな先駆者としてACLSコース展開の新しい分野を開拓できたらいいですね。先輩としてどうぞご指導のほどをお願いいたします。

BlueMoonさん、アドバイスありがとうございました。キーワードは「応援」ですね。覚えておきます! インストラクション実戦経験がほとんどないため、まだピンとこない部分はありますが、きっといつの日か、あ、このことだったんだと思える日がくると信じて。

>3人くらい集まったら、ACLSインスト実践練習会をしようかなぁ。希望者いる?

3人くらいならいそうですね(^^) ぜひよろしくお願いします。

バニーさん、メッセージありがとうございました。
不安はあったし今でもあるけど、考えているだけじゃなにも始まらない、
ということで踏み出しちゃいました(笑)

BLSインストラクターへの道もそうでしたが、「自分なんてまだまだ」と踏みとどまっていたら、間違いなく今の自分はありませんでした。なりゆきとチャンスに乗っかることで開ける世界というのをこの1-2年、これまでになく強く感じています。だからこそ今回もACLSインストラクターへ、というわけです。

医師以外はACLSインストラクターになれないという話、ありますよね。
このあたりは以前もここで議論が白熱したことがありました。

http://aha-bls-instructor.seesaa.net/article/81123931.html#comment

個人的な意見はそれぞれでいろいろあるにしても、事実としてAHAは非医師がACLSインストラクターになることを制限してはいません。(医師以外のACLSインストラクターだけでコース開催をする場合は、医師であるAインストと電話連絡できるようにしておきなさいという規定はありますけど。逆に言えばこういうケースがザラになるってことでもありますよね)

外傷標準化プログラムの世界では、JATECやJPTECについで、JNTECが新設されました。外傷治療にナースの視点を取り入れたコースです。先日もこのブログのコメント欄で話題になりましたが、今の救急蘇生プログラム(ACLS/BLS)には"看護の視点"はほとんど含まれていません。

AHAガイドラインには蘇生中の家族の立ち会いについて記述がありますが、このあたりの部分をクローズアップするのはきっと医療従事者の中では看護師、でしょうね。そういった点で、ACLSインストラクターとしてナースが活躍することは意味があるかなと思っています。

看護師としてACLSインストラクターとして活動する以上、医師と同じ方向性を目指すのではなく、看護師としての存在意義を確立するのが自分たちに課された課題なのだと思っています。
Posted by めっつぇんばーむ at 2008年05月15日 00:35
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