2008年03月10日

格下げされたコースディレクター資格

このまえはリード・インストラクター Lead Instructor という称号は廃止になったという話を書きました。本当は併せてコースディレクター Course Director についても書こうと思ったのですが、尻切れトンボになってしまいましたので、改めまして。。。

2008年3月から有効になった改訂版 PAM 2008(AHAのコース運営マニュアル) ですが、AHAの資格階層に関しては、かなり大きな変化が盛り込まれています。

特にコースディレクターに関しては注意が必要な部分かも知れません。

もともとAHA資格としては、インストラクターとトレーニングセンター・ファカルティのふたつしかないというのは PAM 2004 の時代から変わっていません。

ACLS/PALSインストラクターに関してのみ、リードインストラクターとかコースディレクターという名称というか役割名があったのですが、PAM 2008ではリードインストラクター格は完全に廃止になりました。

今現在の話をしますと、ACLS/PALSインストラクターに関しては、コースディレクターという位置づけが残っていて、これらのコースを開催するときにはコースディレクターが必要であると明記されています。

ただし落とし穴は、このコースディレクターの権限が変わっているという点。

これまではコースディレクターは必ずしも、講習会場にいる必要はありませんでした。

現場の責任者はリードインストラクターであって、いざというときのスーパーバイザーとしてコースディレクターとは電話が繋がればOKということになっていました。

ところがですね、PAM 2008によればコースディレクターは、講習会場に最初から最後まで臨席して器材と講習の質の管理しなければならないと書かれています。

[Provider Course Director]
Each advanced life support provider course must have a Course
Director physically present on-site throughout the course.
(PAM 2008, p.47)

言ってみれば、事務所のデスクにあぐらをかいていれば良かったスーパーバイザーの立場から、現場監督に格下げされたような感じ(!?)

逆にいえば、これまでリードインストラクターと呼ばれていた人たちの名称が、"コースディレクター"という名称に格上げされたってことなんでしょうかね。

以前にトレーニングセンター・ファカルティ(TCF)の比率が、インストラクター8-12人に対してひとりの割合というびっくりなことが書かれている点を書きましたが、全体を通して感じる新PAMの方向性は、権威性の降格化とでも言いましょうか。

かつてリードインストラクターだった人たちは、コースディレクターという名称に格上げされて、これまでコースディレクターだった人たちは、トレーニングセンター・ファカルティになるべきという意図が見え隠れしています。

まあ、実際の運営は世界各国のトレーニングセンターの判断に任されていますが、AHA本部の方針としては、ストイックに資格階層ピラミッドを死守するのではなく、インストラクター増員を目指して、インストラクター育成できる要員を増やせ、ということなのでしょう。


今回のAHAの運営規則改定に伴って、日本国内でも現行のやり方にはいろいろと問題が出てきそうです。

ACLSコースディレクターさん、ちゃんとコースの最初から最後まで臨席していますか?
リードインストラクター資格は廃止になってますから、(旧)リード任せじゃマズイですよ。

BLSコースで、インストラクター候補生がいる場合、ちゃんとBLSトレーニングセンター・ファカルティが臨席していますか? 団体の内部規則として勝手に決めたBLSリードインストラクターやBLSコースディレクター資格では"モニター"はできません。候補生さんにインストラクターカードを発行するにはAHA資格としてのTCFが必要。

幾分はITCとしての裁量が認められるかも知れませんが、今後の方向性としてきちんと組織改革を行なうことが必要でしょうね。
posted by めっつぇんばーむ at 21:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | PAMを読み解く
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