2008年02月12日

AHAインストラクターの組織階層 ファカルティ増員の図式

今回はAHAインストラクターの資格・ステイタス・身分・称号について整理してみようと思います。

皆さん、AHAの組織階級って、複雑だなぁ、なんて思っていませんか?

インストラクター
リード・インストラクター
コースディレクター
インストラクター・トレーナー
ITOファカルティ(トレーニングセンター・ファカルティ)

さらには、

地域ファカルティ
トレーニングサイト長
スーパーバイザー

などなど...

でもですね、
よくよく調べてみると実は日本の末端現場でのAHAの資格階層っていうのは、ふたつしかないんです。

それはなにかというと、

・インストラクター
・トレーニングセンター・ファカルティ(TCF)

これだけです。

下の図はPAM2008からの引用ですが、ご覧のとおり。

AHAインストラクター資格の組織階層

このブログを見てくださっている方の大半は、インストラクターだと思います。インストラクターカード、持ってますよね? インストラクターはトレーニングセンター(ITC/ITO)が認定しますのでカードの発行元は各トレーニングセンターになります。

もうひとつあまり見かけることのないトレーニングセンターファカルティ(Training Center Faculty)と表書きされたカードというのもあって、これはアメリカ・ダラスのAHA ECC本部から発行されるものです。

このカードを持っている人は、いま現在、日本には50人くらいでしょうか。

公式なAHA資格というのは、この二種類だけになります。
もちろんBLS/ACLS/PALSに対してそれぞれのステイタスが存在しますが、階層でいったら2段階ということ。

それじゃ、その他のステイタス、リード・インストラクター、コースディレクター、インストラクター・トレーナーなどはいったいなんなのか、という疑問が生じますが、一言でいえば各トレーニングセンター(ITO)毎の内部資格です。厳密に言うとトレーニングセンターというよりは日本法人(NPO法人○○とか)と言った方が正確かもしれません。

トレーニングサイト長とかスーパーバイザーといったまったくNPO法人毎の独自の制度もあれば、リードインストラクターのような、昔あったAHAステイタスの残骸みたいなものもあります。

ACLS/PALSコースディレクターだけはちょっと別格で、AHA的な権限を持った準資格的な側面が残っています。ただしACLS/PALSコースだけで、BLSにはコースディレクターは存在しません。(あるとしたらタダの内部規則です)

AHAインストラクターであるならこのあたりのAHA本則とTC(ITO)内規の違いはしっかり認識しておいた方がいいでしょう。

いまでは、トレーニングサイト間の移籍が日常的になってきています。○○TCでリードインストラクターだったからといって、移籍先で同じ権限を持てるとは限りません。それはAHAの正式なステイタスではないからです。

もっともトレーニングセンター・ファカルティにしても、その名のとおりトレーニングセンター毎のファカルティですから、別のトレーニングセンターに移れば、ただのインストラクターからスタートです。ファカルティのステイタスは受け継がれないってことが PAM には明記されています。

トレーニングセンター・ファカルティ(TCF)というのは、いちおうAHA ECCコース運営に関するトレーニングセンター最高責任者ということで、とっても高嶺の存在に思えますが、どうもTCFの位置づけが変化してきているようです。

新しい PAM 2008 の8ページを見るとけっこうびっくりな記載があります。

Each TC must appoint at least 1 TCF member in each discipline it
teaches. The recommended ratio is at least 1 TCF member per 8 to
12 Instructors (in the same discipline), but this may be adjusted by the TC.


少なくとも8-12人のインストラクターに対してひとりのTCFをおくことを勧める、なんて書かれているんですね。

えっ、ファカルティってこんな身近な存在だったの? って感じ、しません? 昔でいうところのリードインストラクターくらいな印象ですよね。

ちなみに某大手TCでは2006年10月20日現在で1243人のBLSインストラクターが在籍しているという データ があります。これを元に計算するとなんと103名のBLSファカルティーが必要というびっくりなことになってしまいます。(実際のところ10名程度みたいです)

AHA戦略として、インストラクターを養成できるファカルティを増やして、組織の拡大を狙う方向性なんでしょうね。

ちなみにインストラクターを養成できるのはファカルティだけで、ファカルティは2年の間に1回のインストラクターコース開催と4回のプロバイダーコース開催が義務づけられています。

あと、以前は、AHAに規定されたリードインストラクター以上であればインストラクターコースを修了したインストラクター候補生(Instructor candidate)のモニター評価をできましたが、現行のPAMでは、モニターはファカルティの仕事であると明記されるようになりました。(厳密にいうならPALS/ACLSだけはコースディレクターがモニターすることも可能と書かれています)

A current AHA BLS Regional Faculty/TCF member must monitor new
BLS and Heartsaver Instructor candidates. ACLS or PALS Instructor
candidates will be monitored by a Course Director, TCF member, or
Regional Faculty member in the appropriate discipline. (PAM 2008, p.51)


現状としては、某大手TCでは、BLSコースなんかはコースディレクターやリードインストラクターにまかせっきりでファカルティが自らコースに臨席することはあまりないかもしれませんが、いまはそれではマズイということになっています。BLSインスト候補生に正式にインストラクターカードを発給するためには、BLSファカルティがみずからコースに臨席して、モニター評価を行なう必要があります。

そうした手間を避けるためにはやっぱりファカルティを増やしていく必要があるってことなんでしょうね。
posted by めっつぇんばーむ at 00:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | PAMを読み解く
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