2008年01月19日

インストラクターの除名/資格剥奪処分について

いままでそんなことが本当にあったのかはわかりませんが、「そんなことしたら資格が剥奪されるよ」なんて話を聞くことありませんか?

せっかく苦労して手にしたAHAインストラクター資格が剥奪されるとなったら、これは一大事。

日本で信じられている「AHAインストラクター責務」というのは、ある意味、非常に厳しい内容のものです。(実際は不正確な部分が多いのですが)

それで束縛されているインストラクターたちにとっては、違反したら即資格剥奪みたいな恐怖感から、必要以上に窮屈な思いをして、目立たない行動に徹しているじゃないのかなというのが私の意見。(AHAインストラクターを名乗る人の個人ブログって少ないですよね)


せっかく世界最高レベルのインストラクション・スキルを持っている人たちなんだから、団体の枠を越えてもっと個人で積極的に活動したらいいのに、、、、

まあ、それはさておき、今日のテーマは「AHAインストラクターの除名/資格剥奪処分について」です。


トレーニングセンター(ITO)には、インストラクター個人の資格を剥奪する権利を持っているのか? どんな場合に資格を剥奪されてしまうのか? というギモンが出てきますが、これについて公然と語られたことはおそらくこれまでないと思います。

AHAの制度・システムについてギモンに思ったら、まず調べるべきなのはインターネットで公開されているAHA公式コース運営マニュアルであるPAMです。(トレーニングセンター/ITOの内部資料ではないですよ)

今日は、インストラクターの除名・資格剥奪手続きについて最新版のPAM 2008から調べてみました。

インストラクターの懲戒に関する規定は、PAM 2008 の 28ページ、Instructor Status Revocation というところに規定されています。

この部分を読むと、インストラクターの活動停止処分は二段階に分かれていることがわかります。

まずはトレーニングセンター(ITO)との提携解消(除籍)、次いでインストラクター資格の取り消しです。

このふたつの違いを明確に理解しておくことは重要かと思います。

まず最初のトレーニングセンター(ITO)との提携解消(除籍)ですが、これは前のページ(p.27)に規定されています。

TCs may revoke the alignment privilege of any Instructor who fails to act in accordance with AHA course policy.

トレーニングセンターは、インストラクターとの提携を解除する権利を持っています。これは事実。

ただし、それはAHAのポリシーに反する行動をした人に対して、ということになっています。ここがTCを運営している母組織の規定に反した場合ではない点に注目してください。AHAのポリシーと母組織のローカルルールは違う場合が多いので注意が必要です。(いまはその部分についてはあまり踏み込みません。)

ここでは、トレーニングセンターが独自の裁量で行えるのは、「提携/所属を解除」だけという点を覚えておいてください。○○トレーニングセンター所属という身分がなくなるだけで、AHAインストラクター資格には影響しないということです。

このことをフォローするかのように、次の条項にはこう書かれています。

An Instructor may teach with more than 1 TC

AHAインストラクターというのは複数のTCで活動ができるのですから、別のところでインストラクターとして引き続き活動することができるということです。

じゃあ、本当になにか重大なAHAポリシー違反をして、例えば筆記試験の問題を横流ししていたとかが判明して、ただの除籍では済まない場合はどうなるのか? そうなると PAM の28ページに戻ります。

If a TC revokes an Instructor’s alignment, then the TC shall report its decision to the Regional ECC Committee, which may then determine whether the Instructor is eligible for active status or should have his or her Instructor status revoked.

まず、トレーニングセンター(TC/ITO)は除籍処分をし、そのことをTCの上位機関である Regional ECC Committee に報告しなければいけません。そしてそこでインストラクターが引き続き活動を行うことができるか、それとも資格を剥奪・取り消しをすべきかが決定されます。

つまり、インストラクター資格剥奪という重罰を決定できるのは、Regional ECC Committeeであって、トレーニングセンター(ITO)の裁量権ではないということです。

こうした仕組みがありますので、資格剥奪という事態が起こるとしたら、それは本当に妥当性のある客観的な判断に基づくもの以外はあり得ません。

じゃあ、具体的に資格剥奪の要件となるものとして、PAM は次のような例を挙げています。

. Falsification of class records
. Non-adherence to AHA guidelines and curricula
. Continued instruction inconsistent with AHA standards for the course/program after remediation by the TC, ECC staff, or Regional Faculty.
Using non-AHA examinations
. Inappropriate activities, language, harassment, or conduct during courses or directed toward other Instructors, students, ECC staff, or volunteers.


まあ、ごく常識的なことばかりですね。少なくともトレーニングセンターのローカルルールに反したとしても、資格剥奪にはなりようがありません。それは活動方針が異なるというだけで、AHAインストラクターの資質としてはまったく問題のないことだからです。

もしインストラクターになった時点で、他のITOに移籍しない、なんて誓約書に署名していたとしても、その条項自体、AHA-PAMのポリシーに反することですし、トレーニングセンターの責務に抵触する「違法」なもの。どんな内規があろうと、憲法であるPAMが優先ですから、気にすることはありません。

さて、ここまで書くと、どうしても触れなければいけないのが Regional ECC Committee っていったいなに? という話です。

実はこれについては私もよくわかっていません。

果たしてこの組織が AHA Regional としてのJAPANに存在しているのか??

Regional Faculty資格を持った人たちによる委員会で、トレーニングセンターの枠をこえてAHA Regional としてのJAPAN全体に対する決定権を持つ組織です。

その性格からして、日本にある4つのトレーニングセンターから、それぞれRegional Facultyを選出して組織されているべきものと考えられますが、実際のところどうなんでしょう?

これに関して公式なアナウンスメントをしているのは、日本ACLS協会だけですが、ただその内容をみると、PAMに書かれているものとはちょっと違うように見受けられます。

同協会は地域トレーニングサイトということで、各都道府県毎の「地域」をRegionと捉えてそこで独自にRegional Facultyを設定しているようです。JAAのウェブにあった組織図を見ても、ITOファカルティの下に位置していますし、PAMに書かれている正式なAHA組織図とは明らかに違います。

しかしAHAのプロバイダーカードの裏面をみればわかるように、AHAが規定するRegionのくくりは、日本国内はすべて JAPAN です。各都道府県に配置された Regional Faculty がいるとすれば、それはJAAのローカルルールに基づいた独自の制度であって、AHAのいう Regional Faculty とはまったく別物と考えられます。

PAMの組織図をみてもわかるとおり、Regional ECC Committee はITOの枠外に位置するものです。そうでないと、トレーニングセンターへの査察やモニターは行えませんので。(Regional Facultyは自分が所属するトレーニングセンターの査察は行えないことになっています)

ということで、今回の結論。

1.インストラクターの除名はあり得るが、それはトレーニングセンターとの提携が解除されるというだけで、インストラクター資格には影響しない

2.インストラクター資格の剥奪をする権限をITOは持っていない


この話をする上で Regional Faculty と Regional ECC Committee の存在が重要になってくるのですが、これについてなにかご存じの方いましたら、教えてください!


posted by めっつぇんばーむ at 14:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | PAMを読み解く
この記事へのコメント
PAMは和訳されるらしいので、それに期待しております。
昨日もCICの受講生に対して公言されていました。

ITC間の異動もまだ起こるようですね。
1年後にどのような状況になっているか、怖くもあり楽しみでもあります。
Posted by おぢさん at 2008年01月20日 20:45
おぢさんさま

PAM和訳の話は以前にも聞きましたが、どういう形で世に出るんでしょうね? 一般書店で売るような形はあり得ないと思っています。

せいぜい内部文書としてPDFで出回る程度かなと思うのですが、このプロジェクトJAAが進めているでしょうか? だとしたらその真意は謎です。

ホントにいいのかなぁ。

JAA公式ウェブの"回線工事"は終ったようですが、思ったほどの変化はありませんでしたね。おそらくJCS-ITC絡みと思われるトレーニングサイトの閉鎖に伴ってリンク切れになっていたページが整理されたのはわかりましたが、いろいろと古い情報も未整理のまま残っていますし、、、
Posted by めっつぇんばーむ at 2008年01月24日 23:38
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