2008年01月11日

心臓マッサージ30分、2,500円

もしかしたら、不謹慎! とお叱りを受けるかも知れませんが、今回の話題は心肺蘇生のお値段についてです。

心肺蘇生というと、善意の無償の行為というイメージが強いですけど、それを病院で行なえば立派な医療処置、つまりお金が発生する「業務」になります。


さて、心肺蘇生っていったいいくらなんだろう?

考えたことありますか?(医療者以外は考えませんよね、ふつう、、、)

ご存じのように日本では医療処置の価格は、全国一律、法律で決まっています。
例えば、心臓のバイパス術を世界的名医が執刀しても、研修医が執刀しても(あり得ませんが、、、)値段はおんなじです。

医学通信社から出ている 診療点数早見表 という本を見ると、医療点数、つまり診療費の各単価、計算方法がひととおり載っています。

それによると、非開胸式心臓マッサージは30分までが250点、1点は10円として計算しますので、2,500円というのが公式な値段になります。30分を越えると、30分ごとに40点(400円)が加算されていきます。

私が心肺蘇生を教えるときには、2分間のCPRがいかにキツイか、というのを体験してもらって、「ね、だから交代は大切でしょ?」みたいな話をするのですが、30分ひたすら心臓マッサージ(胸骨圧迫)して2,500円という値段、皆さんはどう思いますか?

町中にあるマッサージ屋さんにいくと、20分2,000円とかで、だいたい1分百円というのが相場みたいです。そう考えるとなんだか複雑ですよね。

ちなみに人工呼吸は30分で2,200円です。まあ、これは人工呼吸器を接続した場合を想定しての値段みたいなので、なんとも言えませんが、重労働ともいうべき心臓マッサージへの評価が思ったより低いのにはびっくりでした。

さて、BLSでもうひとつ重要な除細動。この処置代はいくらくらいだと思いますか?

電気的除細動一回あたり何点というようになっているのかなと思いきや、1日あたりという計算になるようです。つまりショックは1回でも10回でも値段は同じ。

ズバリ3500点=3万5千円です。

これも安いんだか高いんだかよくわからないですね。(もちろん命の値段に比べたら安すぎると思いますよ)

診療点数早見表のなかでは、カウンターショックという表記がされていて、それ以上の説明は特に載っていません。きっと手動式の除細動器でもAEDでもどちらでも算定できるんでしょうけど、AEDの場合、医師以外が施行した場合でもいいのかな? と考えるとなんだか不思議です。

町中に設置してあるAEDの場合、医師が使っても市民が使っても、もちろん保険請求なんてできません。でも病院ではAEDは患者家族を含めて誰もがアクセスできる場所においてあります。それをたまたま医療スタッフが使えば保険請求できて、事務員や見舞客が使ったらダメってこと??

誰か医療事務に詳しい方、このあたりのカラクリ、知っている人いませんか?

心臓マッサージ、人工呼吸、電気的除細動の値段一覧表

以上、ぜんぜん意味がない無駄話でした。
私、医療保険についての知識はほとんどありませんので上記のことも眉唾でご覧いただけたら幸いです。きっと付則とか原則のあたりを見ると、保険請求できるための条件としていろいろ書いてあるんだと思います。

医療トリビアとして、「心臓マッサージ30分、2,500円」っていかがでしょう?
何へぇくらいいただけますか?






posted by めっつぇんばーむ at 19:59 | Comment(7) | TrackBack(0) | AHA-BLSインストラクター
この記事へのコメント
 え?点数あったんですか?知りませんでした.
 算定漏れ....
Posted by mimimi at 2008年01月11日 20:28
mimimiさん、こんばんは。
いちおう点数はつけられています。
ただし、入院患者に限る、とか、処置室内で行なった場合に限るとか、いろいろな条件が付けられている可能性は大です。

どのような場合に算定できるのか、私も気になるのですが、医療点数って複雑すぎてお手上げ状態です(笑)
Posted by めっつぇんばーむ at 2008年01月11日 20:41
診療報酬はおかしな所が沢山ありますよね。
胸骨圧迫は安すぎますね、、、、
今はどうか分かりませんが、胃癌の手術と白内障の手術が同じぐらいの値段でした。眼科の先生に怒られそうですが、胃癌の手術は医者3人で数時間かかるんですから、、、、おかしな話です。
Posted by Kim at 2008年01月12日 09:59
この記事面白いです…(^^;)。

めっつぇんばーむさんのこういう視点、私は好きですね…。
Posted by 松本 at 2008年01月13日 00:36
Kimさん、こんばんは。
診療報酬ってほんとわけわからないですよね。
消化管の手術で、自動吻合器やハーモニックなどを普通に使ってたら原価割れするとか、たった5分で終る白内障手術の診療報酬の高さ。あれって超音波手術装置を使うからですかね。あと気になるのは、B・C肝炎患者の手術だと100点、でも感染率が桁違いに低いHIVは4000点。なにがスタンダードプリコーションだって思ってしまいます。それに、しょっちゅう制度が変わるのであまり勉強する気になれないというのがホントのところ。興味はなくはないんですけどね。

松本さん、こんばんは。お褒めの言葉(?)、ありがとうございます。
ひねくれ者なせいか、こんなこと言う人他にいないだろうなってことに
気づいてしまうと書かずにはいられないんです(笑)

いろんな視点は持っていきたいなとは常日頃、思ってはいますが、
皆さんから「へぇ」と言っていただけるとうれしいかぎりです。
Posted by めっつぇんばーむ at 2008年01月13日 03:41
カウンターショックに限らず、医療機関の外で行われる診療行為については、
患者(やその家族)の求めに応じて往診などを依頼された医師が診察し、
医療上必要と認めて診療行為が行われた場合に算定が可能となっております。
よって、医師が通りすがりに善意で心肺停止の患者を蘇生しても、
健康保険における診療報酬は発生しません。
Posted by 通りすがり at 2008年07月06日 01:32
通りすがりさん、コメントありがとうございました。

「依頼された医師」というのがポイントなんですね。ということは、やはり院内AEDをナースが使った場合は保険算定されないんでしょうか?

包括的指示がなされていれば、医師の指示で使ったことになるから算定可能??
Posted by めっつぇんばーむ at 2008年07月09日 10:34
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック