2008年01月01日

プロバイダーカードに印字される「タイトル」について RN,MD,EMT,etc.

気づけば1月1日。

2007年も終ってしまいましたね。

2007年は私にとって激動の年でした。
AHA-BLSインストラクターになったというのが最大の出来事だったかな。
そしてその年のうちにトレーニングセンター(ECC委員会)から、単独コース開催の許可がもらえて、まさか短期間でここまで自由に動けるようになるなんて思ってもみませんでした。

「えっ、そんな簡単なの?」と思われるのも不本意なので、いちおう書いておきます。「まあ、それなりに努力はしましたよ」って(笑)。
休みのたびにインストラクション参加や各種勉強会、PAMをはじめとした英語文献との格闘など、この1年はほとんど自分の休日がないくらいに打ち込んでいました。でも、やればやっただけのことはあるんだなぁと思った次第です。

これまでのように企画されたAHA講習会にいちスタッフとして参加するのではなく、自分でコースを企画・開催・運営をするようになると、いろいろな新しい気づきが出てきます。

いま、正月休みを使って、AHA ECCコース開催のための受講案内や申し込みフォームなどいろいろな書類を作成しているところなのですが、いまちょっと悩んでいるのがプロバイダーカードに印字される「タイトル」についてです。

AHA ECCコースの修了カードは、Course Roster というリード・インストラクター(コース開催の責任者)が記載するAHAの公式書類に基づいて発行されます。私が開催するコースではリードインストラクターである私が記載したとおりの名前・タイトルでカードが発行されてしまうわけですから、タイプミスがないように責任重大。

タイトルというのは、例えば 看護師の救命 花子さん、"Hanako Kyumei, RN" と言ったときの RN の部分です。医師(MD)、看護師(RN)くらいならいいのですが、今後問い合わせがあったらどうしようと考えてしまうのが、准看護士、保健師、助産師、薬剤師、栄養士、歯科衛生士、などなど。

これまでは受講受付などはぜんぶファカルティーさんがやっていたので、あまり気にしなかったのですが、自分で公募して受付や問い合せ対応をしなければならないとなると、当然こういう質問が舞い込んでくる可能性があります。

そこで医療資格のタイトル一覧表を作ろうと思っているのですが、これがなかなか難航。

医師:MD(Medical Doctor)
歯科医師:DMD(Doctor of Dental Medicine) ⇒ DDSの方が一般的らしいです
薬剤師:Ph(pharmacist)
正看護師:RN(registered nurse)
准看護師:PN(practical nurse)
保健師:PHN(public health nurse)
助産師:MW(midwife)
歯科衛生士:DH(dental hygienist)
臨床工学技士:CE(clinical engineer)
理学療法士:PT(physical therapist)
作業療法士:OT(occupational therapist)
臨床検査技師:?(laboratory medical technologist)
栄養士:?(dietician/nutritionist)
視能訓練士
救急救命士:EMT(emergency medical technician)
etc...

よくよく考えてみると、このタイトルというのがいったいなんなのか、よくわかりません。視能訓練士なんてことをいってしまうと、いったいどこまでを含めたらいいのか??

資格社会アメリカでは MD だったり Ph.D だったり、自己紹介のときに肩書きを入れるのがふつうというところからきているのだと思いますが、AHAカードに関しては、特に医療資格という限定があるわけでもありません。PAM(AHA ECCコース運営マニュアル)にも規定されていない「ただの慣習」みたいなものです。

ですので、どんなタイトルを入れるかは、まるきり本人の自由ということになります。

日本ではあまり見かけませんが、医師免許以外に博士号を持っている人は、MD, Ph.Dというように併記する場合もあるようです。保健師や助産師さんは、看護師免許を持っている人がほとんどですから、RN, PHN とか RN, MW となるでしょうし、さらには准看護師を経由して看護師・保健師になってさらに救急救命士資格も取っちゃいました、なんて人の場合は PN, RN, PHN, EMT なんてことになっちゃうかもしれませんし。

医療資格以外に学位を入れることあるようです。博士号を持っているという意味で Ph.D とするのは一般的ですが、例えば看護界では修士学士でもまだまだ貴重なので、これを入れたいという人もいるかも知れません。その場合はなんて略すんだろう? Master of Science in Nursing Majorだから、、、??

経営の世界ではMBA(Master of Business Administration:経営管理学修士号)というタイトルが大手を振るっていることを考えれば、こういうのもアリなのかも知れませんね。

さらに言えば、専門学校卒が大多数の日本では看護学士(Bachelor of Nursing : B.N.)もOK? 

こんな感じで考えていくと、ホントきりがない感じです。

結論としては自己申請でなんでもOKということですね。姓名の順、Hanako Kyumei とするか KYUMEI Hanako とするか、大文字小文字をどうするかなど、自由に書いてもらい、その表記通り Course Roster に入力する形にしました。コース受講申請書には参考として代表的な医療資格タイトルを10くらい例として挙げまして、必要だったら自分で申請書に記入してね、という感じ。さらに薬剤師とかはよく分からないので省略しちゃいました。これ以外は自分で調べてね、ということで。

ちなみに私の持っているプロバイダーカードとBLSインストラクターカードは、"KYUMEI Hanako, RN"といった感じで、姓・名の順にしています。これは私の勝手なこだわり。姓というのがわかるように、姓は大文字で書いているのがミソです。

私が開催するHCPコースでは、AHAカード裏面の Instructor の欄には私個人名が記載されることになりますが、これにはタイトルは入れずに "KYUMEI Hanako" というシンプルな形で申請しています。受講生が医師の場合、日本の医療ヒエラルキーの中ではナース発行のカードというのはいろいろ思うところがあるかなと思ったもので。


去年、私の個人コースを受講した人には、冗談半分で「今年限定のタイトルとして OPP がお薦めです」なんて話をしていました。

OPPってなんの略だか知ってます?

Ocean pacific peace.

オッパッ… これ以上はなにも申しません(笑)
posted by めっつぇんばーむ at 17:11 | Comment(7) | TrackBack(0) | AHA-BLSインストラクター
この記事へのコメント
めっつぇんばーむさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
貴重なお話ありがとうございました。私もこの略語悩んでいました。歯医者さんはDMDとするんですね、、、知りませんでした。DDと思っていました。MEさんはCE何ですね。参考になります。
アメリカは大学を一度でないと医学部に入れないので、医者は全員MDです。日本ではどうかと思いますが、卒業の時に日本も同じ様にして良いと言われました。大学院を出ればPhDだと言う訳ですね。しかしアメリカと日本ではレベルが違いますね。
Posted by Kim at 2008年01月01日 19:47
めっつぇんばーむ様、あけましておめでとうございます。今年もこのブログから色々御教示を賜りたく存じます。正直AHAのサイトで情報収集するよりこのブログから情報を得るほうが楽なものですから。

米国ではふつう
医師M.D.:Medininae Doctor(もともとはラテン語)
歯科医師はD.D.S.:Doctor of Dental Surgeon
とされますが、多少の例外はあります。

また米国のM.D.:臨床医は地位が高く、さらに臨床医がPh.D学位を習得することはムダとの考えた方が強いため、M.DがPh.DをとることはM.D./Ph.D併修コース以外は少数派で、臨床医がPh.Dを取ることはその間臨床を離れたということで軽侮されることがありえます。

よって日本から米国の臨床学術誌に投稿する際には、M.D.,Ph.Dとはせずに単にM.D.としています。

また医学の世界では(日本でも)Ph.Dと言う言葉はM.D.すなわち医師ではない医学研究者を意味することが多いです。

文部科学省からの通達で日本の医師はM.D.、また日本の博士号習得者(論文博士・乙号博士)もPh.Dと称してよいことになっていますが、今後は論文博士・乙号博士は廃止の方針です。新制度の研修医は博士号には興味ないことが多いですね。

カードの称号については、私は一律に記載することはやめて受講者の自由に任せるようにしました。米国とは制度に違いもありますし。
Posted by 市井の内科指導医 at 2008年01月01日 19:58
すみません。

Medininae DoctorはMedicinae Doctorのタイプミスです。
Posted by 市井の一内科指導医 at 2008年01月01日 20:00
IDFUです。

医療資格のタイトルについては、あるAHA−BLSコースで「医師ではないのに『せっかくだからMDって入れて下さい』と言われたことがあってから、カードへの医療資格タイトルは、いっさい入れないことにした」という、ある所属長の話を聞いたことがあります。

その所属独自の判断なのか、それが実際に認められて良いことなのか等、詳しいことは分からないのですが・・・

昨年は、めっつぇんばーむさんや皆様のお考えを拝見させていただいて、いつも勉強になったり、反省すべき点に気づかせていただくなど感謝しております。今年もよろしくお願い致します。
Posted by IDFU at 2008年01月01日 20:16
皆さま、新年早々からコメントくださいまして、どうもありがとうございます。
体力消耗気味でいつまで続くかわかりませんが、今年もアグレッシブにいろいろな話題を取り上げていきたいと思っています。

さてタイトルの略語についてですが、私も調べていてよく分からない点が多々あり、皆さまにご教授を請いたく取り上げたという部分もあるんです。

ご指摘の歯科医師についてですが、私もDDSという表記を見たことがあるのですがJAA系のサイトの中にはDMDとしているところが多いんですよね。DDSの方が一般的なんでしょうか? 医師のタイトルにしてもそうですが、医師免許を表すものと医学に関する学位を表す表記の違いや、アメリカと日本のシステムの違いとかで、いろいろと無理はあるんだろうなと思います。

私も、申し込みフォームのなかで、いくつか例を上げて、こんな感じで好みに応じて付けられるから必要な人は自分から申告してね、という形にしました。それにしてもIDFUさんのおっしゃるように、虚偽の申告ということを考えると悩んじゃいますね。まあ、日本では法的効力はないただの紙切れですから、目くじら立てる必要はない気がしますが、悪用しようと思えばできるのかも。タイトルは一切入れないという判断、最終的にはそんな感じになっちゃうんでしょうね。

私が初めてHCPコースを受けたのが、2003年か2004年だった気がしますが、そのときはナースである自分が医師たちに紛れて同じ教育を受けるということにとても感銘したのを覚えています。それがたとえ教授であろうと誰だろうと、みんな同じ道を歩まなくてはいけないという点に、医療界にありがちな権威主義へのアンチテーゼを感じたものです。そんな初期の頃の精神を考えれば、カードに誇らしげにタイトルを付けるということ自体、ナンセンスなのかもしれません。

なんとなく廃止の方向に向かっていくような予感がします。
Posted by めっつぇんばーむ at 2008年01月04日 02:05
通りすがりです。 とりあえずこの名前を使ってしまったのでそのままにしておきます(^o^)
今年もよろしくお願いいたします。

JAAでは資格を入れないということになったと聞いたことがあります。理由は前出のIDFUさんの書いた通り「医師でないのにMD」を入れてもらおうとする人がいたからということらしいです。先日で幹部の先生がおっしゃっていました。

ちなみに日本ではD.D.S.が一般的です。DMDを使っている方はほとんどいらっしゃらないと思います。細かいことですが、おそらくDoctor of Dental Surgeryが正しい原語と思います。Doctor of Dental Scienceの略と思っている人もいるようですが、こちらは「歯学博士」を意味するので、学位を持っている人ということになります。これは正確にはD.D.Sc.と略すようです。
Posted by 通りすがり at 2008年01月04日 10:34
すっかり常連さんのようになっている通りすがりさん、いつも実のあるコメント、ありがとうございます。

どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

私は皆さんの素性はほとんど存じていませんが、話の内容から察するにこの世界ではかなり上の方にいらっしゃる方が多いような気がしています。しかもほとんどがMDさんでらっしゃいますよね? インストラクターになって1年も経たないような小生意気な私のところに、皆さんからこんな温かい、そして真摯なメッセージをいただけることに感謝しています。それと同時にとっても不思議な気分です。今後も有意義な情報交換をしていけたらと思っています。どうぞ皆さん、引き続きよろしくお願いいたします。

さて、タイトルを入れないというのはJAAとしての方針として決まりそうなんでしょうか?
私なんかはまだ自分で手の指で数えられるくらいしかコース開催していませんので、タイトル、なんて楽しそうに語っていますが、これが何十枚のカードを出すなんていったら嫌気が差してくるのかも。タイトルは入れないというきちんとした方針があると、ホントは楽なんでしょうね。
Posted by めっつぇんばーむ at 2008年01月04日 22:20
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