心肺蘇生普及活動に携わる人たちの間で話題になっている「CPR&AEDパーソナルトレーニングキット」、私も買っちゃいました。
去年あたりにアメリカ本国で発売された CPR Anytime の日本版が、「CPR&AEDパーソナルトレーニングキット」です。
空気で膨らむようになっているコンパクトな上半身の蘇生モデルは mini-Anne といって、アメリカ本国と同じレールダル社のもの。付属のDVD教材は日本オリジナルで、日本の家庭で違和感なく使ってもらえるように工夫されています
ボール紙で出来たハリボテのようなものですが、いちおうAEDもついていて、音声メッセージやスイッチ操作は出来ませんが、模擬的にAEDトレーニングを行なうことも可能。
3,990円という低価格ですが、DVDも含めてとてもよくできていると思います。
つまみの切り替えで、胸骨圧迫が適正に行えたときのクリック音が成人と小児で切り換えられる機能もGood。小児の片手法の練習もしっかり行えます。
このトレーニングキットは、あくまで"家庭練習用"という位置づけです。正式な心肺蘇生講習会等で繰り返し使うためには作られていません。ですので、呼気が入る人工肺の交換パーツなど消耗品の別売はなし。強度的な問題もあろうかと思います。
しかしこの3,990円という安さは、なにかと使い道があるというか、CPR普及には重要な意味がありそうです。
AHA-BLSインストラクターでも応急手当普及員にしても、家族や身の回りの人にサラッとCPRを教えてあげたいって思ったこと、ありません?
せっかく教える資格と能力があるのに、公の講習会という場でしかその才能を発揮できないのは非常にもったいないと思います。これまでも知人友人にわざわざお金を払ってもらって遠くの会場に来てもらうより、自分が行って教えた方が早い場合があったんじゃないでしょうか。
問題は蘇生人形(マネキン)やAEDトレーナーが高価で、本業でやっている人以外は個人所有するのが難しいという点でした。(高いと言っても昔に比べたらずいぶん値段は下がりました。レールダルの「AEDリトル アン トレーニングシステム」ならマネキン+AEDトレーナーで約10万円。法人で買ったときの実売価格は7万円ほどでした。 )
でも、誰でも気軽に買えるこのCPR&AEDパーソナルトレーニングキットさえあれば、いつでもどこでも気軽に個人的にCPRの普及活動が行えます。
もちろんあくまで個人的、という形にしかなりませんし、実際に口対口人工呼吸をやるとしたら、肺をどうするのかという衛生上の問題もありますが、CPR指導員の活動範囲に幅がひろがったことは間違いありません。
消防の応急手当普及員の場合は、地元の消防本部で器材一式のレンタル制度を利用できる場合もありますが、そうでない他団体の人たちは、個人的に器材を借用する方法はなかなかなかったと思います。
そんなわけで、インストラクターが個人で能力を発揮するためのCPR&AEDパーソナルトレーニングキットの効果は大きいと思います。
全国に何万人いるかわかりませんが、各種団体のCPRインストラクターたちが草の根的に身の回りの人たち、特に講習会にわざわざ参加するほどのモチベーションがない人たちに個人的に少しでもCPRに触れる機会を作るようにしたら、日本の救命率アップにかなり貢献できるのはないかなと思った次第です。
参考まで、アメリカではすでに乳児用の家庭練習キット Infant CPR Anytime kit が発売になっています。これも風船式の人形ですが、実際に見たことがありますがかなりリアルな感じ。日本では成人にくらべて相当普及が遅れている乳児のCPRの浸透のためにも早く日本にも入ってくることを願っています。
2007年11月03日
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ぜひ、使った感想をお聞かせ下さい。AEDは音声メッセージやスイッチ操作はできないとのことですが、具体的にはどんな練習方法になるんですか?
うちの家族にもどうかな?…と購入を検討していたところです。
1,時間がない
2,遠方まで行く暇が無い
3,みんなとするのはちょっと恥ずかしい
とかの理由で受講していない人も多いと思います.自宅で自由に時間を作りながら出来るのでお勧めですね.これで自己学習してからもっと勉強したい人は,BLS-HCPなどの受講がお勧めです.
でも,今のところは僕やめっつぇんばぅむさんみたいな関係者が興味を持って買っているくらいで,IDFUさんみたいに使ってみたくて買っている人は少ないのではないでしょうか?
購入法も,宅急便の代引きしか受け付けないって,やめて欲しいです.代引き手数料が高くつきすぎます.振り込みも扱って欲しいと思いました.
マーケティング部門がどんな購買層を狙ったのかはわかりませんが、実際に買うのはmimimiさんや私のような関係者が買うだけというのが現実な気がします。でもそれはそれでいいと思います。私たちにとっても、このキットがあれば、身近な人たちに気軽にCPR訓練を勧めることが出来ますから。大切な人に(?)プレゼントしてもいいですし、これをもって自分が教えに行ってもいいし、家に来た人にその場でサラッと教えてもいいし。
結局のところ、トレーニングサイトなり普及団体の中でしか動けなかった個としてのインストラクターが、それぞれに才能を発揮するためのツールというコンセプトなのでは? と私は捉えています。今後、私の身の回りでもこれを積極的に勧めていきたいと思っています。
> 購入法も,宅急便の代引きしか受け付けないって,やめて欲しいです.
> 代引き手数料が高くつきすぎます.振り込みも扱って欲しいと思いました.
代引きが基本みたいですが、希望すれば銀行振込もOKでしたよ。
法人が対象みたいなことが書かれていますが、私個人で買うときも振込希望して大丈夫でした。三菱東京UFJだったので、振込手数料も0円でいけてよかったです。
IDFUさん、使い勝手については次回、本記事の方で取り上げたいと思います。もうちょっとお待ち下さいね。