日本には、俗に「AHAインストラクター責務」と呼ばれるものに縛られている人たちがたくさんいます。
実はこれは「某協会所属インストラクター責務」の間違いで、ホントはAHAの規則でもなんでもないのですが、AHAの内規であるPAMを読んだことのない人たちはAHAの国際基準ではそうなっていると信じているようです。(⇒ 『AHAインストラクター責務に関する誤解』)
さて、その俗に言う「AHAインストラクター責務」(あくまでもカッコ付きですからね)の中身を読んでいくと、「AHAインストラクター」というのは非常に窮屈なものに描かれています。
・AHAインストラクターはBLS,ACLSの普及活動においてAHA BLS,ACLSコースで教えることを優先する。(中略)AHAコース以外で教える時に自分がAHAのインストラクターであると名乗ったり公示してはいけない。
・AHA BLS,ACLSコースで用いる試験問題、及びAHA BLS,ACLSコース運営のノウハウをNon-AHAコースに流用しない。
・インストラクターはAHAの教材を用い、AHAの治療方法、教育方法から逸脱してはならない。
・AHAインストラクターであることを名刺に印刷したり、他の広告媒体に用いてはならない。AHAの登録商標も用いてはならない。
各項目それぞれはひどく間違ったことが書かれているわけではないのですが、これらを総合して拡大解釈するといろいろおかしな話になってくるようです。
・自己紹介で自分がAHAインストラクターであると名乗ってはいけない(身分を明かしちゃいけない?)
・AHA以外のコースで心肺蘇生を教えてはいけない
落ち着いて読めば日本語のままでもそんな解釈にはならないハズなのですが、こうしたことがまことしやかに囁かれていて先輩から後輩に受け継がれているところもあるようです(トレーニングサイトによるのかも)。
ということで、せっかく晴れあるAHA-BLSインストラクター資格を取っても職場の誰にもそのことを言えず、ひっそりと所属トレーニングサイト内の活動だけを地道に行なっている人も少なくないとか。
身分を隠さなくちゃいけないなんて、まるで隠密行動をしている忍者か!? と突っ込みを入れたくなってしまうのですが、AHAの資格を取ったがゆえにAHAの中でしか活動できなくなってしまうというのは非常にバカバカしい話です。
せっかく公認インストラクターになったのなら、そのことをジャンジャン宣伝して、必要があれば勤務先の病院などでAED講習などをドンドン行なうべきです。それが世界のフラグシップであるAHAインストラクターの責務というべきものでしょう。
AHAで培った成人教育に則ったBLS教育手法を地元施設へ還元して、身近なところから啓蒙活動、BLS普及を行なうべきです。
もちろん著作権の問題はありますから、勝手にAHAのDVDを「上映」したり、テキストを私的な目的以外で使うのは問題視されます。しかし、AHAで学んだスキルをAHA以外で発揮してはいけないと言われる筋合いはありませんし、ECCの理念からしても、AHAインストラクターが社会で身をひそめていることは損失です。
これまでAHAのインストラクターであることを公言するようなホームページやブログが少なかったのも、そんな「AHAインストラクター責務」の誤解があったからなのかもしれません。
世界で誇れるAHAインストラクターであるなら、もっと声高に立場を明かして個人として活躍してほしい、そんな風に私は思います。
そういった意味で、私はこういう方を応援していきたいと思っています。
「RicoのBLSブログ♪」
http://blsrico.blog118.fc2.com/
2007年09月07日
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責務については、、、、私の知る限りそれほど縛られていないと思いますが、、、、どうなんでしょうか?
名刺に印刷してはいけないと言うのは確かにしていませんね。しかし、ホームページにはインストラクターの名前が載っているサイトがたくさんあります。
AHAコース以外で教えてはいけないと言うのは、誰か言っているのでしょうか???そんな事はないと思いますよ。以前は他のコースで教えてはいけないと言う事ではないと書かれていたと思いますが、私の記憶違いですかね。
それからDVDですが、他のコースで上映するのは全然OKですよ。私の県のある普通救命講習ではHeartsaverAEDのDVD使っているみたいです。どんどん使ってテキストなどを買ってもらえれば、AHAとしては嬉しいみたいですよ。もちろんこれはAHAの正式な講習ではないという事を言っておく必要がありますが(日本ではそこまで誰も気にしないと思いますが)。
私も新入職員のBLS講習では半日時間をもらえるので、Heartsaver AEDやりました。本当は8000円ぐらいかかるんですよ、、、と言ってちょっと私に義理でも感じてもらえれば、、、と思ってます(^.^)。
私のブログの名前が・・・・(*・・*)
応援ありがとうございます^^
私はサイト長にも許可頂いて公開しておりますので
安心してどんどん発信してゆきます^^
(サイトがどこかは伏せますので、よろしくお願い致します)
私もBLSの知識を有効に活用して、世の中にどんどん市民に優しいBLSを伝えてゆきたいと思っています。
AHAの規約でも某協会の規約でも、他で教えてはダメとか書かれてません。でもそう思っている人たちがいるらしいんです。当事者の人たちに了承をとっていないので細かい情報ソースは書けませんが、病院内で院内独自のBLSコースがあるけど、AHAインストラクターは責務を遵守するためにそれらには参加はしていないというんです。「インストラクターはAHAの教材を用い、AHAの治療方法、教育方法から逸脱してはならない」というあたりを拡大解釈して、AHA以外のテキストで教える別組織の講習には関われないと考えているのかなぁと思うのですが。
DVDの上映はOKなんですか!? 日本の普通の著作権法ベースで考えてNGと思ってましたが、PAMの規約を読み直してみます。OKだとしたらうれしいです。実は私も院内コースに取り入れたいと思っていたので。
Ricoさん、事前にご連絡なしにいきなり紹介させてもらってごめんなさい。最近、私自身もRicoさんからいろいろな刺激を頂いていることもあって、勢いで載せてしまいました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
それからテキストとしてAHAのを買わせると言うのももっと大丈夫なはずです(逆に喜ばれます)。
そういう教材の収入によってガイドラインが作られているのだと私は理解しています(よって、色んなグッズも買っています。インストラクターのシャツは5つ持っています。妻にこんな物なんでこんなに必要なのかと怒られますが(^.^))。
著作権って色々うるさいですが、教育関係に関しては結構緩いと思いますよ(ある仕事で少し関わったんです)。それから、DVDのリージョンコードがアメリカのみの1ではなく、日本でも見られる2とかも入れられており、制限がかかっていないので、AHAも世界中で見て欲しいと言っているのではないでしょうか?インストラクターじゃなくても普通に買えますし。
しかし、可能な限り、AHAコースとして開くのが良いのでしょうね。
何か分かったら是非教えて下さい。
すごいです。
今の日本でAHAコースというと高い有料コースで専門家もしくはマニア向けみたいな印象があるのがいつも非常に残念に思っていました。AHAはそんなお金ばかり取るような団体じゃなくて、ボランティアベースでFamily & Friendsを開いたりもしてるんだよ、と言いたいのですが、残念ながら英語の壁の問題でFamily & Friendsは無理と思ってました。
ホントに日本の蘇生率の底上げを考えるのだったら、日本のITOとしてはFamily & Friendsをまっさきに日本語化すべきじゃないかとは常々思っています。
それにしてもFamily & FriendsのDVDでは胸骨圧迫のペースメーカーに、ズンチャズンチャというドラム(?)のリズムが使われているのは、なんとなく笑えません? とってもアメリカンな感じがしました。