AHAのECCプログラム機関誌である"Currents"の最新号が発刊になりましたね。
http://www.americanheart.org/presenter.jhtml?identifier=3050066
皆さんはご覧になったでしょうか?
トップページにデカデカと"Chest-Compression-Only CPR for Lay Rescuers?"という記事が掲載されていたのは非常に興味深かったです。
前号のCurrentsでも、日本から発表された SOS-KANTO の胸骨圧迫のみのCPRに関して速報のような形でアメリカ心臓協会の見解を示していましたが、今回はその詳細ともいうべききちんとした記事になっていました。
文章全体の雰囲気は、前回に比べるとずいぶんと人工呼吸省略の方向性に傾いてきたなという印象でした。
以前は扇動的なマスコミに惑わされるなよ、的な牽制のイメージが強かったのですが、今回の記事からは、市民に関しては人工呼吸を廃止する方向性でエビデンス固めに入ってきた雰囲気が感じられます。
そのためにはガイドライン2005のプロトコルでの胸骨圧迫のみのCPRのデータが必要であるという点、またクリアしなければならない検討課題がいくつか具体的に示されていました。
ガイドライン2010の発表までには間に合うのかな。
そろそろガイドライン2010の骨子に関する情報が聞かれるようになってきています。最後の最後までどうなるのか気が抜けないポイントなのかもしれません。
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現在すでにAHAのコースでは一般市民向けコース(ハートセイバー各種、ファミリー&フレンズ各種)では全て脈拍チェックはなくなっています。
一般市民向けとしては、これで、充分だと感じます。
残る3つの上級コース、HCP,ACLS,PALSでは未だに脈を診ていますが、これは、「おれたちゃ医療従事者なんだから、脈くらい取れるようになろうぜ!」という意気込みなんだろうと理解して指導しています。
米国AHA研修地にて。
人工呼吸が出来なければ、とりあえず押せとも教えられました。
G2010で50回になるようなこともちらっと耳にしましたけれど、ふらふらになりそう・・・(*・・*)
BLSに関することだけをまとめたブログを作ってみました。
私の一次救急への想いについて書き残してきたことを編集して載せてゆこうと思います。
リンクさせて頂いてよろしいですか?
一般市民の皆様、もしくは、脈拍を触れることになれていない方々に対して、
compression only CPRを推奨していく動きには、私も、賛成です。
> 「おれたちゃ医療従事者なんだから、脈くらい取れるようになろうぜ!」
これについては・・・うーん、きっと、それだけじゃなくて、もっといろんな
考えがあるんじゃないかな?というのが私見です。
ご存じの通り、ガイドラインは、いわゆるエキスパートにばかり目を向けて
いるものではなく、むしろ、言ってみれば、蘇生を行う者の能力を低く見積
もって、様々な標準的な治療についてのsuggestionを与えているんじゃ
ないかと思います。
一方で、そういう割り切りをしていると、とくに評価において、ちょっと乱暴な
側面が顔を出してきます。例えば、「正常な呼吸が無く、反応がなかったら、
とりあえず、押してしまえ」というのは、見逃しを少なくするという意味では
大変有効ですが、本当は、胸骨圧迫が必要でない方に、術を施してしまう
リスクをはらんでいるわけです。
BlueMoonさんも、胸骨圧迫によって、蘇生後、大変苦労しておられる方
を見たことがあるのではないかな?と愚考いたします。心破裂とか、
頻度のそれほど高くないものでなくても、例えば、多発肋骨骨折により、
強い痛みが残り、自発呼吸が困難になったり、肺疾患を合併してしまっ
たり、あるいは、フレイルチェストにより、長期の内固定を要したり、
あるいは、外科的処置が必要になったり・・・
“First, Do No Harm”
脈を触れる能力がある方には、術を施すに当たって、もてる能力を使って、
しっかり適応を判断すべきであるという考えに立っているのだと思います。
実際のところ、正常な呼吸が無く、反応が無くても、しっかり脈が
触れているケースは、少なくないのですから。
もちろん、そういう判断ができるようになるよう、能力を高めようぜ!って
思いもあるのでしょうね。
いかがですか(^-^)?
リンクのお申し出、ありがとうございました。
これからは市民の方がどんどんインストラクターになっていく
時代だと思っています。これからはじまるRicoさんの足跡に
付いていくがたくさんいるはず。
Ricoさんのブログはきっと貴重な情報源になると思います。
応援しています。
BlueMoonさん、 鈴木@泉州さん、コメントありがとうございました。
脈拍触知ですが、数あるBLSプログラムの中で、脈拍触知を標準として完全に残しているのはAHAのヘルスケアプロバイダーコースだけじゃないでしょうか?
医療従事者であっても正しく脈拍触知ができる人は決して多くはないという研究データがでているなかで、あえて標準として残すのはある意味英断だと思いますし、そこにAHAとしてのポリシーが現れているのだと思います。
真実はわかりませんが、やはり専門職を対象とした側面に目を向けているのは間違いないと思っていましたが、鈴木@泉州さんのご意見、たいへん参考になりました。
ガイドライン2005になって、ある意味、蘇生の質が落ちた部分はあると思います。小児の人工呼吸の回数などは簡便さを優先させて変更になったようですが、小児の専門家が行なう蘇生もそれでいいのかというと、どうなんでしょう? そうやって質より量(手出しできる人の数)を増やすことがガイドライン変更の基本的な流れですが、それに抗うようにいくつかのポリシーを貫いているのがAHAなのかなとも思います。
経験が少ない人たちにとっては標準化は朗報ですが、その道のプロからすると憂いを感じるところなおかもしれません。
その道のプロは、その道のやり方でやればいいんです。以前消化器外科学会の栄養の勉強会で、有名な先生が言っていました。感染のガイドラインではカットダウンはクラス3(ほぼ禁忌)になっていますが、我々は外科医なんだから、やったらいいんですと。その通りです!
AHAも2000年版のACLSテキストで「考える料理人になれ」という事を言っています。料理本を見て、そのまま料理してもダメで、ガイドラインは料理本を提供するのみである。アルゴリズムに盲目的に従っても患者は助けられない、、、と。2005のコースでも必ずそれを話していますよ。
「ガイドラインはしょせんガイドラインですよ。」には、全く同意です。
問題は、伝え方だと思いますね。例えば、「脈触知は、害あって利なし」
ではないわけです。それこそ、ガイドラインに盲目的に従うのではなく、
この「利」の部分にも目を向けて欲しいと思います。
「学習」「指導」は、考えれば考えるほど、奥が深く、おもしろいもの
です。我々は、いかに伝えるかを考えがちですが、そうではなく、
いかに伝わるか、いかに伝わったかということこそ、すべての助けを求める
傷病者のために!」というエンドポイントに直結します。
指導(この言葉も余り好きではないのですが)の際には、どのような表現
をするか、いつも悩みます。
ちなみに、私個人は、BLSのコースでは、受講者のバックグラウンドに応
じて脈触知を指導したりしなかったりします。まあ、当たり前といえば当
たり前ですが。
エキスパートかどうかではなく、やはり、医療従事者には、可能な限り、脈
触知を行える能力を身につけていただきたいと思いますね。これは、コースで
数時間練習したからどうなるものでもありません。コースでは、技術を伝える
ことはもちろんですが、概念、根拠を伝え、今後の学習につながるようなき
っかけを与えるという大きな意義もあると思います。
ごめんなさい、私は、自分の経験からしか語れませんが、やはり、脈を
触知することが大きな情報を与えてくれると思いますし、先に述べたように、
脈を触知しないことによるデメリットも多いと考えています。
このデメリットを考えながらも、それ以上のデメリットを避けるために、
一般市民には脈触知を指導しない(本件について触れもしない)。これも
正しいアプローチだと思います。
医療従事者の方には、そういう意味合いが「伝わる」といいですね。
クチばかり達者なもので、若輩者のくせに生意気なことを多々書いてしまいますが、それをきっかけに皆さんからのコメントで学ぶ点が多いです。今後もどうぞ温かい目で見守ってくださるとうれしいです。