モニタというのは、実際の受講生相手に指導を行なって、その様子をファカルティ faculty もしくはリード・インストラクターという上級責任者にチェックしてもらう最終試験みたいなもの。ホンモノの受講生を相手にするわけですから、緊張します。責任を感じます。だって受講生はそれなりのお金を出してホンモノのインストラクターに教えてもらうつもりできているわけですから。
基本的にはリード・インストラクターがずっと見ていてくれるので、なにかマズイ点や受講生に対して失礼なことがあれば即座に適切な指導を代行してくれるので、受講生に不利益はないことになってます。
私は、ふだん病院内で病院スタッフ(事務員、看護師等)に成人のBLSを教えていますので、BLS指導のポイントはあるい程度はわかっているつもりでいましたが、受講生が支払っている金額だけのものを返さないと、と考えるととても難しかったです。
それってほとんど「接遇」の問題だと思うのですが、いかに受講生に満足度を感じてもらうか、心地よく技術を身につけてもらうか、その点がAHA教育のキモであり、難しいところだと感じました。
私が担当した受講生の方は看護師さんで、ガイドライン2000バージョンのBLS for Healthcare Providersコースを受けたことがある方。技術的にはほぼ完璧で特に修正するところがないという感じの人でした。
なのでインストラクターとしてやることは、できているところはきっちりと誉めて、自信をつけて帰ってもらうということになるのですが、コースの設定上、胸骨圧迫と換気は何回も何回も繰り返すものだから、後半になるのと、なにも言うことがなくなって来ちゃうんです。おなじことを同じ言葉でなんども褒めちぎっても白々しいだけだし、かといって黙っているのは良くないし。。。
相手にいかに心地よく感じてもらうか、難しい課題です。
◆ AHA-BLSインストラクターが教えることができる範囲
これまで私が知っていたAHAの一次救命処置(BLS:Basic Life Support)コースはハートセイバーAED(HeartSaver AED)と、BLSヘルスケアプロバイダー(BLS for Healthcare Providers)だけでしたが、実はAHAにはもっともっとたくさんのBLSカリキュラムがあるらしいです。BLSヘルスケアプロバイダーが最高峰になりますが、その下に位置するハートセイバーコースには実にいろいろなバリエーションがあります。日本で行なわれているのはハートセイバーAEDだけですが、AED操作は含まないハートセイバーCPRコースとか、蘇生技術の他に出血コントロールや包帯法などを含んだハートセイバー・ファーストエイド HaertSaver First Aid なんていうのもあります。
◆ ハートセイバー・ファーストエイド(HS-FA)
AHAは救命処置(心肺蘇生)のことしかやらないんだと思っていたら、ちゃんと応急処置のプログラムもあったんですね。知りませんでした。ちなみにアメリカでは、このハートセイバー・ファーストエイドがいちばん受講生が多い人気(?)のコースなんだとか。私自身、アウトドアスポーツをするものですから、ハートセイバー・ファーストエイドにとても興味があるのですが、残念ながらインストラクターコースの中では、止血や副子固定などのスキルをトレーニングする単元がありませんでした。なのに、そんな私が明日からでもハートセイバー・ファーストエイドを指導できるという現実、いったいどうしましょう?(笑)
現実的に今現在、日本でハートセイバー・ファーストエイドを開講しているのは、USインストラクターが主催している福井BLSさんだけのようです。
これまで日本のAHA公認コース展開は、医療従事者向けがほとんどで、たまにライフセイバー向けに Haert Saver AEDコースがチラホラと開講されていたくらいでした。
一般市民向け、それも陸系のアウトドア領域向けとも言うべきハートセイバー・ファーストエイドは日本ではまったく注目されていませんでしたが、この先、私が趣味の仲間に勧めるとしたらきっと『ハートセイバー・ファーストエイド&CPR』だろうなと思うんです。(現時点、山の中に担いでいくほどAEDは小さくありませんので)
この先、AHA-BLSインストラクターとして経験を積んで、ゆくゆくは日本のアウトドア業界にハートセイバー・ファーストエイドを広めたい! それが今の私の密かな野望です(^^)
【追記】
AHAのハートセイバー・ファーストエイド(HS-FA)コースを日本で受講された方のブログを見つけました。⇒ 『 Make a PASSO 』