しかし別の視点に立つと、日本の病院が職員教育としてAHAコースを導入するメリットも見えてきます。
1.国際標準の技術認証が得られる
2.日本の医療界でも標準の資格を取得できる
3.インストラクター育成が簡単
4.講習開催が簡単
東京オリンピックとかTPP。なにかと国際水準が求められるこのご時世。井の中の蛙ではなく、国際的に評価として権威のあるAHAのプロバイダーカードの意義は、この先、評価が上がっていくんじゃないのかなという予想。
もともと日本で最初にAEDが使えるようになった職種は、コメディカルを差し置いてフライトアテンダントだったわけですが、その時も航空会社に選ばれた技術証明は英文でカードが発行されるAHAやMFAでした。(もっとも当時は日本の救命講習にはAEDは含まれていなかったわけですから当然ですけど)
現在、日本でも医療者向けの体系だったBLSプロブラムは事実上、AHA-BLS以外はありません。
だからこそ、日本循環器学会や日本麻酔科学会で専門医認定を取るためにはAHAのBLSとACLSが要件として求められているわけですね。
残念ながら看護の世界では、AHAに限らずBLSを要件として求めるような文化はないみたいですけど、日本有数の大御所学会が公認するプログラムが病院の中で開催できるというのは看護職員や研修医募集にとっては魅力となるのではないでしょうか?
あとは病院としての患者安全体制のPRとしても、使えますし、実際、そういう宣伝をしている病院もあります。(看護部職員全員BLSプロバイダーです! みたいな)
そして後半2つは視点を変えて、指導者養成という話。
今はどの病院でも院内研修としてBLSをやるのは当たり前になっています。
救急認定看護師あたりが講師となって、職員にBLSを教えているのだと思いますが、実技指導を伴うインストラクション。救急認定看護師ひとりでは全職員を教えるなんて無理です。
だから、院内でBLS指導ができる指導者を養成するわけですが、これがなかなか大変。
以前はBLSヘルスケアプロバイダーコースを終了したら、それで、あたな明日から指導者ね、ってかんじでしたが、まあ、そんな素人が適当にやるもんだからシッチャカメッチャカ。
中身のある研修には程遠いものが多いのが現状です。
このような指導者養成という視点で考えると、AHAインストラクター制度は非常にシステマチックです。
インストラクター用の教材がしっかりしているし、インストラクター養成プログラムも出来上がっている。
そしてなによりAHAコースはDVDベースだから、教えるのがとっても簡単。
ぶっちゃけで言えば、ビデオを見せて真似させるだけですから、インストラクターの技量はほとんどいらないようになってるんです。そういうシステムなんです。
考えてもみてください。
消防の救命講習みたいに、インストラクターが自分の言葉で全部説明して、デモンストレーションをして、最初から最後まで講習を仕切れるように訓練するのって大変だと思いません?
AHA講習ならビデオを流して、そのとおりにさせればいいだけだし、説明はぜんぶDVDのなかで喋ってくれるから、インストラクターはビデオ操作ができればいい。
ということで、オリジナルのBLS講習プログラムを作って、そのための指導者を養成して、、、、という手間と時間、つまり人件費を考えたらAHAインストラクター制度に乗っかっちゃった方が早いし、質は高いし、結果的にはコストも安くつくとも言えます。
目先のことではなく、長期的な視点で考えたら、AHAシステムを導入するほうが安いと気づいて実際にそうしている病院グループもあります。
こんなあたりも参考にしてみてください。