2014年02月28日

疑わしければ、胸を押せ!

BLSがらみで気になったニュース。

楽天2軍キャンプで選手倒れ心臓マッサージ…あわや大惨事で厳重注意



楽天2軍キャンプで選手倒れ心臓マッサージ…あわや大惨事で厳重注意

楽天の柿沢貴裕外野手(19)が今月中旬、沖縄・久米島での2軍キャンプの練習中に倒れ、心臓マッサージを受けていたことが26日、分かった。球団は大久保博元2軍監督(47)、2軍コーチ陣と、トレーナー陣に厳重注意した。

柿沢は今年から内野にも挑戦しており、特守で大久保2軍監督のノックを受けていた。その最中にグラウンドで倒れ、駆けつけたトレーナーから心臓マッサージを受けた。その場で意識は取り戻したが、救急車で病院に運ばれ検査を受けた。結果は脱水症状で、点滴などの処置を受け、1日で退院。現在は練習に復帰している。

球団幹部が久米島に行き事情を確認。大久保2軍監督とコーチ陣にリスクマネジメントの強化を、トレーナー陣に的確な水分補給の必要性を伝え、厳重注意とした。




このニュース、いろいろな着眼点、見方がありますが、私が注目したのは、胸骨圧迫(心臓マッサージ)をしたというところ。

結果的には、心肺停止ではなく、脱水による一過性の意識消失だった模様で、胸骨圧迫は不要でしたが、緊急事態を認識して、なにはともかく行動したという点は評価されるべきかなと思います。

以前、日本国内でのバレーボールの試合で外国人選手が突然卒倒したことがありました。関係者はCPRをせず、ただ担架で運び出す様子が米国ニュースで取り上げられて、「なぜ日本人はCPRをしないのか?」非難されたことがありました。(こちらを参考にどうぞ)

そんな時代からすると、とにかく胸を押すんだ! という反射的な行動ができるようになってきたことがすばらしいなと思うのです。

2008年に発表された米国のHands only CPRのプロモーションビデオを見ると、目の前で人が卒倒したら、まず緊急通報(119番)して、いきなり胸を押しています。

大丈夫ですか? とか、呼吸確認すらしないのです。



それでいいんです、基本は。

「疑わしければ、胸を押せ!」

「つべこべ言わずに胸を押せ!」

です。

ガイドラインやCoSTRの2010年版を見ると、「疑わしければ、胸を押せ!」を後押しするかのように、間違って胸骨圧迫をしてしまった事例、200例あまりを検討した結果、骨折とか問題が起きたのはたった2%に過ぎないから、大丈夫だよと書かれていたりもします。


ということで、このニュースが、バイスタンダーなど、対応義務のない市民救助者にとって、自信や励みになるといいなと思っています。








以上をメインメッセージとして、おまけで別の見方をすると、今回はトレーナーというCPRの訓練を受けている、対応義務のある市民による救助でした。

なぜ、そんな訓練を受けた人が、心停止を見誤ったのでしょうか?

慌てているとか、いろいろ要素はあるとは思うのですが、心肺蘇生法の訓練にも問題があったんじゃないかなという気がします。

記事を見るかぎり今回は、脱水による意識障害だったようです。急に倒れて呼びかけに反応がなかった、そして呼吸がなかったから胸を押し始めた、のでしょう。

市民向けプロトコルでは、反応なし+呼吸なし(or死戦期呼吸)で、CPR開始です。

結局、反応も呼吸もろくすっぽ確認できてなかった。

でも、それはいわゆる救命講習を受けていても無理です。そもそも根本的に訓練の仕方が間違っている気がするんです。

だって、マネキンは反応あるわけないし、息をしているわけもないから、それを見て呼吸確認できるようになれって無茶だと思いません?

いくらマネキンで練習したって、反応確認、呼吸確認は練習できません。見ている振りしているだけで、実際なんにも見ていないというのが関の山。

だから、本当に使える技術を習得させたいのなら、反応がある場合とない場合、息をしている場合としていない場合を弁別させる訓練が必要なんです。

なにをやるかって、簡単。

生きている人間に演技をしてもらって、見分ける練習をする。

それだけです。

それでも、もちろん難しいと思いますよ。間違えることだってあります。それはそれでいい。

でもマネキンで呼吸確認の練習させたって、それってそもそも呼吸確認できるようになること、期待してないよね? と救命インストラクターさんに聞きたい。






なんて、ことをこのニュースを見て考えました。




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