不思議と昨日あたりからネット上で話題に上っていた、AHA Instructor Essentials。
2013年8月30日から公式施行される新しいAHAのインストラクターコースの一部です。
今現在、AHAのインストラクター資格を取得するためには、プロバイダー資格に加えて次の3つのステップが必要です。
1.Core Instructor Course修了
2.BLS/PALS/ACLS/HS 各インストラクターコース修了
3.モニター評価合格(教育実習+実地指導試験)
このうち、1−2の部分が完全に刷新され、特に成人学習理論を学ぶ一般教養(?)でもあったコア・インストラクターコースが廃止され、件のAHA Instructor Essentialsというインターネット上で学ぶe-learningにとって変わります。
つまり、Core Instructor資格は2013年8月29日までが有効期限で、その後、BLSやACLSなどのインストラクターコースを受講する場合は、改めてInstructor Essentialsの修了が求められることになります。
さて、このInstructor Essentialsですが、単元毎に分かれています。
・BLS Instructor Essential
・Heartsaver Instructor Essential
・ACLS Instructor Essential
・PALS Instructor Essential
・PEARS Instructor Essential
・ACLS-EP Instructor Essential
中身は二部構成になっていて、まずはAHAインストラクターとしての態度や基本を学ぶいわゆるCore Instructorコースに相当する共通部分と、ついで各コース内容に特有なものに分かれています。
インターネットで onlineaha.org にアクセスすれば、誰でもどこからでも受講できます。自宅のパソコンで学習を進めて、修了すると、家のプリンタから修了証が印刷できる仕組みになっています。
英語のサイトに登録をしてクレジットカード決済、2013年11月までは1コースあたり$25。11月以降は$30です。登録手続き自体はAHAのオンラインサイトへの登録と、クレジットカード決済のための情報入力の2箇所のみでそんな難しいことはありません。
オンライン・ショッピングをしたことがある人なら直感的操作で十分できます。
内容自体は、英語ですが、しゃべっている内容を字幕で表示させることもできるので、辞書を使うなりすれば、時間はかかるものの独習は難しくありません。ぶっちゃけ、設問のところも手当たり次第クリックしていけば必ず修了できます。(それを言っちゃお終めぇよ的発言、スイマセン)
このインストラクター・エッセンシャルのオンライン受講は、誰でも勝手にできるものですが、いちおう公式テキスト(Instructor Candidate Workbook各種)が存在して、それを所属予定のトレーニングセンター責任者から受け取ってから受講するもの、ということになっています。
つまり、まずは所属するトレーニングセンター(日本に9つあります)を決めて、インストラクターコース申し込みをし、Instructor Candidate Workbookを受け取ってInstructor Essentialsを各自オンライン受講。
その修了証を持って、クラスルームスタイルで開催されるBLS/ACLS/PALSインストラクターコースに出席し、履修&筆記試験合格。その後、実際に開催されるプロバイダーコースにインストラクター候補者として参加し、指導経験を積み、モニター評価に合格すると晴れてインストラクターカード交付、そんな流れになります。
やはり皆さん気になるのが、英語でのオンラインコース。
これをハードルと考えるか、インストラクターになるのが簡単になったと考えるか?
現実、インストラクターコース全体に掛ける時間は短縮されそうです。
内容も従来のコアインストラクターコースに比べて相当簡略化されていて、もともとは8時間程度は掛かったのが、2−3時間で終わらせることができます。
難しい単語は出てこないし、英語字幕もでるので英語もそんな苦労はしないはず。
American Heart Associationという米国組織に所属するわけですから、この程度の英語で足踏みするくらいの人は、最初からインストラクターにならない方がいいという意見もあります。
今でこそ、インストラクター向け教材まで、ほぼすべて日本語化されましたが、それってある意味、異常なことかなという気もしています。
もともとAHA講習は米国国内向けのもので、それを無理矢理日本で開催しているわけですから、AHA講習自体が日本の法律や現状にそぐわないのは当たり前の話。
そんなものを完全に日本語で受講できてしまうこと自体が不自然なのです。ゆえに誤解を生んでいるのも事実です。特にG2010になって市民救助者の小児のCPRなんかは日本と米国で大きく違ってしまいましたし、そうした本来日本の常識であるはずの日本版ガイドラインを知らずに教えているBLSインストラクターはたくさんいます。
そんな日米文化や法律の違いを、受講者に勘違いさせずに伝えるためには、インストラクター自身が、AHA講習は借り物にすぎないという点を認識しておく必要があります。そのためにもある程度、英語の情報ソースに触れる意識は必要ですし、英語で学ぶという体験から、やっぱり日本のものじゃない、という自覚を持った人に育ってほしいとも思います。
さて8月29日が有効期限の現行のインストラクターコース。
日本の各トレーニングセンターがどう扱っていくのかはわかりません。
今のところ、日本語化されてないゆえの特例措置のようなものは、公式通知としてはAHAからは届いていません。
今後、インストラクターを目指している方は、情報にご注意下さい。
2013年06月27日
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