新しいガイドライン2010のBLSヘルスケアプロバイダーコースを開催するようになって気づいた点ですが、実技試験で、ポケットマスクでの人工呼吸の出来/不出来は問われていないんですね。
最初、一人法CPRで5サイクルやってもらうのですが、問われているのは、
1.反応確認から呼吸確認までを5秒以上10秒以内で行っているか
2.緊急通報しているか
3.脈の確認を10秒以内で行っているか
4.(1)胸骨圧迫の手の位置
4.(2)胸骨圧迫の速さ
4.(3)胸骨圧迫の深さ
4.(4)胸骨圧迫後の胸壁の戻り
4.(5)中断時間は10秒以内か
というだけで、人工呼吸に関しては完全に不問。
その後、二人法CPRに入ったところでバッグマスクで有効な換気が行えるか、というのは評価項目に入ってますが、一人法では、たとえポケマで一回も胸が上がらなくても実技試験は合格、となります。
ここから読み取れるのは、AHAは医療従事者に一人法CPRでの人工呼吸は期待していないということ。
結局、Hands only CPR、ということなのかもしれません。
今回のガイドライン2010のヘルスケアプロバイダーコースで強調されているのは、「心停止を認識したら10秒以内に胸骨圧迫を開始する」こと。
で、いちど胸骨圧迫を始めたら、AED操作の時以外は中断時間は10秒以内。
結局、一人で蘇生をしている場面だったら、ポケットマスクを組み立てる時間はないんですよね。ポケットから、キーホルダーのフェイスシールドを取り出して広げる時間すらないかもしれない。
まあ、そういうことなんだと思います。
長年教えてきたことで、完全に捨て去ることはできなかったし、CPRの基本でもあるから呼気吹き込みの人工呼吸も練習させてるけど、現実、それが使われる可能性が低いことは分かっている、というか。
人工呼吸の出来具合は問わないものの、逆に、胸骨圧迫の中断時間はきっちり問題にしている。つまり、胸が上がる人工呼吸ができなくても、そこにこだわるより、さくっとあきらめて胸骨圧迫に戻る姿勢を後押ししているともいえます。
こんなように、ガイドラインやテキストからだけでは読み取れないAHAの意図や戦略が、スキルチェックシートやDVDの言い回しなどから垣間見れます。
インストラクターは過去にとらわれずに、新しいコース設計とCPR教育の未来像の解析に努めるべきですね。
ちらっと聞いたところによると、某大手のトレーニングサイトによっては、ポケットマスクで胸の上がる人工呼吸ができない人は、不合格にしているとか。
それって、マズイですよね。AHAは求めていないことだし、スキルチェックシートのチェックは全部埋まっているのに、不合格になっちゃうって。
まあ、普通は練習の段階で、きっちりできるようにしておくはずなので、試験本番で胸が上がらないということはありません。
それでもポケットマスクの人工呼吸ができない、なんていうのは、インストラクターの指導のまずさの問題。ふつはそんなことはないはず。
ポケマ人工呼吸にこだわるのは、過去の勝手な思いから抜けきれないんでしょうね。それと、世界で通じる国際ライセンスを発行しているというAHAインストラクターとしての自覚の欠如。
インストラクターコースDVDでも、スキルチェックシートにない項目で合否判定をしちゃいけないってはっきり教わってるはずなんですけど。
まあ、G2010時代になっても、いろいろと歴史は繰り返されるようです。
2011年10月31日
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横道にそれますが、救急医学会に対し、非医療従事者のAED講習(厚労省2004年報告)につき、ICLSがそれに該当するか尋ねると「ご自分で厚労省などに確かめるように」と非回答でした。国に聞いたって分かるか!この分じゃあBLSコースを聞いても同じ回答かも?看護師や救急救命士以外の非医療従事者の皆さんは日赤基礎講習や普通救命講習2を受けてください。
ICLSや日本救急医学会のBLSが一定頻度者講習に相当するか、についてですが、AHAとは違って救急医学会のコースは合格基準がないので、コースによってマチマチ。大きな括りでの判断は出来ない気がします。
いちおう一定頻度者講習にお墨付きを与える団体(公益法人でしたっけ?)が作られたはずなので、そこに諮ればいいんでしょうけど、審査を受けるのに10万円くらいかかった気がします。実際稼動してるのかな? 疑問。
ACLSのBLSスキルテストは胸の挙上が要求される。
管理人さんの御意見はひょっとして深読みでは?
AHAはそこまで考えてなかったりして…(笑)
→私はACLS協会で受講して、不合格にされましたよ。
じゃあ、他の団体でじゅこうしてたら合格だったんですね。
この記事を読んで、納得できないと思いました。
→私はACLS協会で受講して、不合格にされましたよ。
じゃあ、他の団体でじゅこうしてたら合格だったんですね。
この記事を読んで、納得できないと思いました。
Mariさん、Mariさんが受けられたのはG2010正式版でよろかしかったでしょうか? マラソンの場面から始まる英語のDVDのヤツ。古いG2005版やG2010暫定版では、ポケットマスクでの人工呼吸の出来も評価に含まれていますので、古いバージョンでの受講でしたら、ACLS協会以外で受けても不合格だったかもしれません。
教えてくれた人は、自分のカンニングペーパーみたいな
ノートを見っぱなしで、質問の答えもはぐらかされた感じでした。
他の団体で受講すればよかったです。
実技試験落ちたということですが、最終的には追加練習と再試験を受けてカードはもらえたんですよね??
合格基準的には不要だったところかもしれませんが、自分の苦手な部分が見つかって補正できた、と考えてはどうでしょう?
国際ライセンスを発行する以上、その基準に手を加えるというのは許される行為ではありませんが、、、、