4月末にリリースされた新しいハートセイバーCPR&AEDコースのDVDを見る機会がありました。
ハートセイバーは、対応義務のある市民のための講習プログラム。
予想通り、良い出来でした。
ガイドライン2005の教材設計の流れがしっかり組まれ、さらに良くなっています。
お金もそれなりにかかっていて、セットはしっかり組まれているし、映像エフェクトもそこそこ使われている。なによりカメラワークが違います。固定カメラではなく2〜3カメラ? で動きもあります。
ナレーターも覇気があってよろしい!
実はG2005のヘルスケアプロバイダーのナレーターさんなんですが、身振り手振り、動きはちゃんとあるし、なにより語りかけようとする姿勢が非常にGood。
なんだ、そんなの当たり前じゃん、と思っちゃいけません。
というのはその約1ヶ月前にリリースされた医療者向けのBLSヘルスケアプロバイダーコースのDVDは、その真逆を行くかなり残念な出来具合でしたから。
こうして両方を並べてみると、違いは歴然です。
明らかにAHAは医療者向けのヘルスケアプロバイダーコースで手を抜いています。
(正確にいうとお金をかけていない)
G2005の流れをくまず、まったく別物になってしまった印象。
もともと今回のガイドライン改訂自体が、バイスタンダーCPRの実施率を向上させるところにありましたから、建前上プロとしてCPRができてあたりまえのヘルスケアプロバイダーにはさほどインパクトはありません。
だから今回のガイドライン改訂で、どの教育コースが重要かといえば、市民向けのプログラム。
そのうち今回「対応義務のある市民向け」であるHeartsaver CPR & AEDを見たわけですが、私の理解は間違ってなかったなと思いました。さらにいえば今後リリースされる Family & Friends CPR はもっともっと力が入っているはず、と予想しています。
前回のG2005では、BLSヘルスケアプロバイダーコースに並々ならぬ力が入っていたのは事実だと思います。あれに比べればハートセイバーは見劣りしましたから。でも、今回、完全に逆転。
ヘルスケアプロバイダーは、CPRをしなくちゃいけない立場で、主に資格職ですからモチベーション云々というところは今回重視されていないような気がします。もともと2年に1回嫌々ながらでも受けなくちゃいけないもので、5年毎にガイドラインが変わりますから、同じDVDを2回は見ることになります。
いくらそこで派手な注意を引く映像を盛り込んでも、嫌々受ける気持ちにあまり効果がなかった、というのがG2005の反省なのかな。
余計なことはしないで、淡々と手技を身に着けさせることに集中する、そんなスタンスに感じます。
ここまで歴然と差が見えてしまうと、こっちの気持ちも変わってきます。
もともと、医療者向けにBLSを教えたところで社会的な意義はたかが知れていると思いつつ、やっていたものですから。
G2010正式版のBLSヘルスケアプロバイダーコース、今後、私は恐らく開催しません。
病院の仕事だったりもしますから、完全にやらないというわけにはいかないと思いますが、少なくとも積極的には取り組まないでしょう。
BLSインストラクターコースも、もうやりません。
ヘルスケアプロバイダーコースにインストラクターが必要かどうかもわからなくなってきましたし。
今回、新しいハートセイバーのDVDを見たら、HCPはもういいかなって思いました。
AHAだったら、HCP以外、またその他オリジナルで自分が出来ることに力を注いでいくつもりです。
2011年05月09日
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BLSインストの存在意義?も考えさせられると思いました。
私の読解力不足かもしれませんが『アメリカではヘルスケアプロバイダーコース受講は2年毎義務です。みんな「またかよ」といやいや参加しているわけです』というのと『学ぶモチベーションは各自が持っています。プロなんですから。だから淡々と練習をさせるだけで十分』というのが矛盾しているように感じてしまうのですが…。
私はアメリカの事情とかまったく分からないので、特有の事情などがあるようなら補足していただけると勉強になります。
最近、私はあるステップアップを果たすことができました。今までとは少し違う視点でいろいろなことを捉えることができるようになった気がします。もちろん駆け出しなのでたくさん勉強が必要です。
これからもめっつぇんばーむさんの記事を楽しみにしております。
ひょっとしたACLSかPALSインストラクターになられたんですか? 相変わらず循環器学会ITCは医師以外のACLSインストラクターを認めないようで、ちょっとした相談を受けて、困ったなぁと思っていたところです。
インストや講師の雰囲気かな?