2011年02月20日

AHA ECC Japan Conference in 横浜に行ってきました

昨日、今日と横浜で開催された本邦初のAHA公式インストラクターアップデート(AHA ECC Japan Conference)が終了しました。

インターネットでのonlineアップデートも始まっていることだし、これでガイドライン2010アップデートのお祭りもひと段落かなと思っています。

この辺で、そろそろAHA 2010ガイドラインECCコース展開について、まとめてみようと思います。



その前に今日参加してきた AHA ECC Japan Conference の様子について少々。

私はすでにBLSとACLSの公式アップデートは完了済みなのですが、いずれもシカゴでのいちばん最初の、混沌とした時期に受けたので、あれから3ヶ月たって具体的な新たな情報が追加されているのではないかと期待しての参加でした。

ただ残念ながら、思惑ははずれ、新たな収穫はナシ。


今回の日本のアップデートは、AHAのアジア太平洋州管轄ディレクター Laurence King 氏臨席の下で行われた正真正銘AHA公式のものなのですが、シカゴやサンディエゴで開催されたものとは、違う位置づけに感じられました。

何が違うかというと、ガイドライン2010に基づく新しいコース展開についての話の一切が省かれていた点です。

シカゴでは、新しい正式教材が出るまでの間、暫定コース(Interim Course)として、旧教材にアレンジを加えてG2010の流れで指導を行っていく点が示され、レッスンマップの変更一覧表などが配布されましたが、そのような話は一切なし。

またスライドからも、新しいスキルチェックシートに関する部分が削除されて、C-A-B sequence video と呼ばれるG2010のBLS手順を示す動画も流されませんでした。

新しい呼吸確認、具体的にどうするんですか? という質問に対しても「胸の動きを見るだけです」という言葉の説明だけで、ビデオ教材があるというアナウンスすらなし。まるでその存在を隠しているかのように感じられました。

時期的にはすでにG2010暫定コースが普通に行われていてしかるべき時期です。

というのは、当初のAHAアナウンスでは3月1日以降は、G2010暫定コースか、(リリースされていれば)新教材を用いたG2010正式コースを開催しなければならないと決められていましたから、2月20日というこの時期のAHA公式アップデートイベントであれば、当然G2010暫定コースの話題が中心になると期待しますよね?

でも、それが完全に削除されていた、、、、

また、質問が指導方法やコース展開の具体的な内容に及ぶと、「今回の趣旨とは外れるのでお答えできません」と。

おいおい、そのためのアップデートではないのかい?? と拍子抜けに感じたのは私だけではなかったと思います。

聞くところによると、初日のアップデートではもうちょっと柔軟に質疑応答がされていたようですが、そこで、きっといろいろ問題があったんでしょうね。

また American Heart Association のアジア地区担当者が臨席はしているものの、教材開発やサイエンス部門ではないので、細かい質問に答えられるわけでもない、ということなんでしょう。(私の勝手な推察です。関係者の方、誤認がありましたら、ご指摘ください)

シカゴで話をしてくれた演者は、ガイドライン取りまとめの責任者であり、執筆者本人たちです。そして会場にはAHAの関係者すべてが集まっていた。

だからこそ、掘り下げて質問に答えることが出来たし、場合によってはその場でAHAとしての意思決定ができた。

ということで、日本のAHA史上、画期的な出来事ではありますが、シカゴ、サンディエゴの公式アップデートは別次元で考えたほうがよさそうです。


まあ、ただ現実問題として困ってしまうのは、G2010 Interimコースの取り扱いについて。

BLSとハートセイバーCPR/AED、ファーストエイドはそれなりに経験を重ねてきてもう動き出していますからいいのですが、問題はACLSやPALSです。

こちらもまもなくG2005でのコース展開が禁止されます。

なのに、出るはずの新しいスキルチェックシートや筆記試験問題が出ない!

そうしたらいいんだ? というのが今一番の切実な問題で、その答えが今日わかる! と思っていただけに残念です。



今回のアップデートは、基本、所属は関係なくインストラクター個人単位での参加でした。

それとは別系列で各ITCでは、誰かしらがシカゴに招待されてInternational Facultyとしてのアップデートを受けています。

暫定コースに関して、どのように開催していくか、AHAが示さない細かい部分をどう扱っていくかというのは、各ITCの裁量に任されていて、後はトレーニングセンター単位でコンセンサスを作って動いていきなさい、ということなんだなと私は理解しました。

だからこそ、今回のアップデートで余計なことはインストラクター個人に伝えなかった、というのが不自然さに対する私の解釈。

答えはきっと誰もわかりません。

恐らく、今回のアップデートを主催した方たちも。

でも、そうやって物事は進んでいくんです。きっと今現在もAHAの教材開発担当者たちは、予定している3〜4月の教材リリースに向けて、調整を図っている最中なのでしょう。


以上、一介のインストラクターのつぶやきでした。

何の裏づけのない勝手な理解ですので、あまりマジメな突っ込みはご遠慮くださいね。


現時点までに公開されているG2010コース展開に関するまとめは、別項で書きます。(また後日。。。)


余談ですが、AHAのアジア太平洋州責任者のLaurence King氏、想像以上に若い方で驚いた人が多いようです。イケメン系? 一見すると日本人にも見えなくもないのですが、英語しかしゃべりません。箸は上手に使えます。サンディエゴ出身の救命士さん。

余談、もう一個。今回のアップデートの中では、at least を「少なくとも」と訳していました。「以上」ではなく。話し言葉としては最低5センチ、という言い方もありかなと思いました。「少なくとも」は言いにくいので。
posted by めっつぇんばーむ at 23:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | AHAガイドライン2010
この記事へのコメント
ねこうさぎです。
めっつうぇんばーむさんと同じ会場、中央最前列の席に座ってアップデートを受けておりました。

確か福井のFAでお世話になったと思ったのですが、もし勘違いだと行けないと思ってお声を掛けられませんでした。すいません。

今回のアップデート、AHAの方が見えると言うことでインストラクターネットワークで公表されている以上の情報を得られるかとかなり期待しましたが、期待はずれに終わりました。

時期折、来月から開始される暫定コースや新コースの情報を得られると思っていましたが、コース内容には触れないと言われたときは正直驚きました。

呼吸の確認って本当にさらっと見るだけ?
HCPの脈拍の確認の時、気道確保は必要ないの?

具体的な事をいろいろと質問したかったですが、何だか質問しにくい雰囲気を感じました。


Posted by ねこうさぎ at 2011年02月21日 07:11
AHAのBLS2005バージョンを約1年前に取得しましたが、2010バージョンが出たので再度取得予定です。私は看護師ではないコメディカルなので薬剤や心電図など難関続きですが、ACLS取得へ向けて頑張りたいと思います。今後とも本ブログを参考にさせていただきますね
Posted by Ruru at 2011年02月21日 21:04
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