そこで大切な点を書き漏らしましたので補足します。
前回説明したように、医師法というのは「業務としての偽医者」を規制するのが目的の法律です。ですから素人が一回きりの医療行為をしても医師法には抵触しません。業として行っていたか、つまり反復継続の意志を持って行ったかどうかが問われるからです。
ですから、そもそも現場にたまたま居合わせた人(=バイスタンダー)は、反復継続の意志なんてありませんから、偶発的な応急処置として医療行為を行ってしまったとしても医師法には抵触しません。
つまり、冷静に考えれば、救急現場でのバイスタンダーのエピペン使用に関して、医師法に照らして合法性を考えるのは、そもそも根本的に間違っているんじゃないの? という気がするのです。
極端なことをいうと、素人がテレビドラマのマネをして、喉に物が詰まって息ができなくなった人の喉に刃物を突き刺して「外科的気道確保」をしたとしても、それは医師法違反にはなりません。(そのために専用メスを持ち歩いていたというのでもない限り、反復継続の意志を持っていたとは認定されないでしょうから)
この場合、罪を問われるとしたらおそらく刑法の傷害罪です。
学校教職員がエピペンを使用してもいいとする文科省見解の根拠となっているのは、厚労省からの医師法に抵触しないという回答。
それをもって、学校教職員がエピペンを使える根拠としているようですが、そこからしておかしいのでは? というのが本稿のテーマです。
文科省の「医師法違反ではないよね?」という質問に対して厚労省が「その通りです」と答えている。
もしこれが、エピペンではなく、先ほどあげた外科的気道確保のような極端な例であっても、焦点となるのは「反復継続の意志」の有無だけですから、きっと厚労省は医師法違反にはあたらないと答えるのでは?
医師法違反じゃないから、法律的に問題ないとは言えないですよね。
無我夢中でやったとはいえ、傷害罪や暴行罪で逮捕されることは否定できません。
それと同じロジックが、エピペンに関しても残されている、と私には思えるのですが、、、
市民の医行為を規制するのは医師法、という出発点の考え方からして文科省の勘違いだったとしたら、、、
このあたりの法律の問題に詳しい方、教えていただけると嬉しいです。