近くの公民館で市民向け心肺蘇生法講習を開催しました。
新しい心肺蘇生ガイドライン2010の流れで行う初めての講習会です。
やってみて思いましたが、いいですね! ガイドライン2010。
教えやすいし、受講者さんたちも、途中引っかかることがサクサクと練習がすすんでいきます。
AHAのガイドライン2010ハイライトの冊子にも書かれていましたが、この方法が当たり前に普及すると、バイスタンダーのCPR着手率は上がるだろうなと実感しました。
ガイドライン2010の市民向けCPRのいいところは、
気持ち的に「イヤだなぁ」と思う手技が後回し、もしくはしなくても良い
というところにあると思います。
大丈夫ですか? と服の上から肩を叩いた後、次に傷病者に触れるのは胸骨圧迫。おそらくこれも服の上からになるはず。
そう、心肺蘇生法で一番大切な胸骨圧迫(心臓マッサージ)を始めるまでに、傷病者の素肌に触れなくても良いのです。
これは大きいと思います。
医療者であれば何でもないことかも知れませんが、赤の他人の体の触れるという行為は、ふつうの人にとっては、それだけで勇気が要ります。
服の上からならまだしも、他人の素肌に直接触れるということは日常生活にはありませんから。
これまでは呼吸確認をするためには、気道確保(頭部後屈あご先挙上)が必要とされていましたから、胸骨圧迫をはじめる前にはどうしても倒れた人の頭やあごに触れる必要がありました。
あまり問題にされたことはありませんでしたが、実はこれだけでも大きな「障壁」だったと思うんです。
AHAガイドライン2010では、呼吸確認に気道確保は不要になりました。また「見て聞いて感じて」がなくなりましたから、必要以上に傷病者の顔に自分の顔を近づける必要もなくなりました。(見ず知らずの他人の顔面に自分の顔を近づけるという動作も、日常的にはありえない異常な行為ですよね)
というわけで、「なんだかイヤだなぁ〜」と思いがちな蘇生テクニックがなくなったお陰で、誰もが自然と胸骨圧迫を開始できる、これがG2010の最大のポイントかと思います。
バイスタンダーCPRで問題になるのは、手技のうまいへたとかではなく、手を出すか出さないかが最大の問題です。
このガイドライン2010の作戦が功を奏して、数年後の救命率に大きく貢献することを祈っています。
2010年11月25日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック