2010年06月08日

AHAハートセイバー・ファーストエイドを巡る国内の動き

日本ACLS協会の関連会社のシェパードが、ハートセイバー・ファーストエイドコース教材の販売を始めるようです。

新しく取り扱うのは、Heartsaver First Aid のスチューデントマニュアルとコースDVD、そしてHeartsaver and Family & Friends Instructor Manuals。

つまり、ハートセイバーファーストエイドコースを開催するための必要教材一式をまとめて取り扱い開始。

ってことは日本ACLS協会でもファーストエイドコースを展開!? ということなんでしょうか?


ガイドラインが切り替わるこの時期に、、、というのも実はポイントかもしれません。

数あるITCの中でもAHAとの特に強いコネクションを持つ日本ACLS協会がガイドライン改定を目前にして不自然にファーストエイドコースを始めるとしたら、きっと次期ガイドライン2010では、ファーストエイドコースの日本語化の話が裏で進んでいるのでは? と、私は勝手に踏んでいます。




日本で公募コースとしてAHAのファーストエイドコースを始めたのはおそらく、福井BLS(現FISH)。アメリカ国内の American Medical Response TC直轄コースとしての開催でした。

その後、慈恵医大を皮切りに日本蘇生協議会JRC-ITC(現日本医療教授システム学会JSISH-ITC)としても、ファーストエイドコースを開催するようになって今日に至りますが、それでも今現在、日本でAHAファーストエイドを開催しているBLSインストラクターはおそらく数えるほどしかいないと思います。

もともと日本にAHA ECCコースが導入されたのは、ACLSやPALSといった医療者向けの専門蘇生教育のためでしたから、市民向けのファーストエイドコースが顧みられなかったのはそれほど不自然なことではありません。

ファーストエイドは、おまけみたいなもの。

まあ、否定はしません。

でもその後、情勢が変わってきてAHAがOSHA(米国労働安全衛生局)との提携を強めるようになったりというのも関係あるのでしょうか。

2008年からはBLSインストラクター資格を取るためには、有効期限内のAHA Heartsaver First Aid資格が必要という新たな基準が打ち出されました。(実は以前からFirst Aid資格は求められていたのですが、2008年以前はAHAに限らず、OSHA基準のFAであれば何でもOKでした)

例外として"Healthcare Professional"は、ファーストエイド資格がなくてもBLSインストラクター資格が取得できることになっています。(このあたりの規約はPAMではなく、2008年改訂のBLS & FA Faculty Guideに載ってます。正式に登録されたAHAインストラクターなら inst net から誰でもダウンロードできます)

"Healthcare Professional"はアメリカの現役医療職者ないしは米国医療有資格者と理解するのが自然です。このあたりの解釈は日本のITCによっても違うかもしれません。

ただ少なくとも、完全にヘルスケアに関するプロフェッショナルでない人、おおざっぱに言うと医療者免許を持っていない人がBLSインストラクターになる場合は、ファーストエイドを修了していないとマズイでしょう。

AHA規約違反です。

最近では日本ACLS協会さんでも、医療従事者以外の人がBLSインストラクターになるのを認めているようで、市民BLSインストラクターの活躍をよく目にします。

でもファーストエイドコースを開催していないのに、どうやって市民にBLSインストラクターカードを発行しているんだろう? とは疑問でした。(もしかしたら公募はしていないけどインストラクターコースに抱き合わせの形でやっていたのかも、、、)

そんなこともあったので、今後、日本でAHA Heartsaver First Aidを受講できる機会が増えるとしたら、とても健全なことだと思います。

ましてや、それが日本語のDVDで学べるとしたら、市民レベルでの救急意識の底上げに大きく貢献するに違いありません。


ガイドライン2010では、ファーストエイドも国際コンセンサスとして取り扱われる元年となると聞いています。

これを機に、日本でも国際水準のファーストエイドが普及することを願っています。




余談

実は、ファーストエイドのテキストや教材はシェパードが扱う前から、AHA正規代理店のレールダルメディカルで取り扱いがありました。

以前は送料無料だったのですが、一昨年あたりから、購入数に限らず1回あたりの送料が840円になってしまったため、ファーストエイドのテキスト1冊(2300円)買うのに、別途840円+送金手数料と個人では買いにくくなっていました。

シェパードでは送料はどうなのか、非常に気になるところです。

ちなみにうまくすれば日本国内でもファーストエイドのテキストが1600円程度で買える方法があります。隠すほどのものでもないけど、個人が1冊単位で買うにはあまり実用的ではないので、ここには書きません。今後ファーストエイドコースを開催予定のinstさんがいましたら、個人的に聞いてくればお教えします。
posted by めっつぇんばーむ at 02:49 | Comment(6) | TrackBack(0) | ファーストエイド(FA)
この記事へのコメント
うーん、医療者免許ですか…
どこまでがふくまれるんですかね?
PAMには書いてないですよね?(笑)
Posted by 孤人 at 2010年06月10日 09:32
孤人さん

孤人さんはAHAに正規登録されたインストラクターさんですか?

ファーストエイドの履修義務については、

1224101024287TCF Guide BLS and HS Faculty Guide Oct 3 2008.pdf

に書かれていますので、そちらをご参照ください。


インストラクターコースを開催するファカルティのための指導マニュアルですが、正規登録されたインストラクターなら誰でもAHA Instructor Networkからダウンロードできます。

for non-healthcare professionals, a current Heartsaver First Aid Provider card also required.

という一文のnon-healthcare professionalsの定義が問題ですね。

ファーストエイド資格はAHAが単独で発行する資格ではなく、OSHAというアメリカ連邦の国家機関の認定でもあるわけですから、それを指導するBLSインストラクターにもOSHA基準のファーストエイドを理解している必要がある、ということでの要件と考えられます。

アメリカの医療者はOSHA基準を知っているでしょうけど、日本人は医師であっても知りません。またアメリカから見て、知っているとは評価されない。だから公認FA資格が必要、と私は解釈しています。

ちなみに上記のファカルティガイドは現行のPAMより新しいのでAHA基準としては優位になります。
Posted by めっつぇんばーむ at 2010年06月10日 19:17
なるほどね。
OSHAですか…
それじゃ海外のITCにあまり強く言えないですよね?
実際そうみたいですが…

誰が受けなきゃならないのとか話しだすときっと答がでないので、もうみんな受けましょうというのが一番簡単な解決方法かとおもいますが…



Posted by 孤人 at 2010年06月10日 20:35
孤人さん、もう一つ大事な論点は、日本のITCが発行したAHA ProviderカードはAmerican Heart Associationの公認資格だという点です。

アメリカではそのプロバイダーカードの発行を巡っては裏金が横行するような公的資格認定をする立場にあるという点。

ここは日本だから関係ないというのであれば、AHAインストラクターとしてのアイデンティティにも関わると考えますがいかがでしょうか?

○○協会インストラクターというならいいのですが、、、
Posted by めっつぇんばーむ at 2010年06月10日 21:19
その○○協会がやりそうな気配なんだからよかったですね。(笑)




Posted by 弧人 at 2010年06月11日 07:48
はい、それが本記事の趣旨です(^^)

現行のBLSインストラクターコースでも、ファーストエイド指導スキルを学びますし(DVD教材に含まれています)、避けては通れない、ということなのでしょう。
Posted by めっつえんばーむ at 2010年06月11日 21:45
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