2010年03月19日

BLSインストラクターを目指す人へのアドバイス

ここのところいろいろな方面から、BLSインストラクターになりたい! という声を聞くようになりました。

ちょっと前までは、「私なんかなれるはずがない、、、」というようなドンヨリとしたマインドが渦巻いていたように思いますが、最近は非常にあっけらかんとした雰囲気が感じられる気がします。

蘇生技術普及に興味を持ってくれているのは非常にうれしいことです。

でも反面、あまりに知らなすぎて大丈夫かなと心配してしまうこともあって、ちょっと気になっています。


これからAHA-BLSインストラクターになりたいって言う人は、インストラクターになっていったい何がしたいのでしょう?

さらにいうなら、どんな風に活動していきたいのでしょうか?

1.BLSの普及がしたい
2.「インストラクター」になりたい
3.ボランティア活動がしたい
4.仕事以外で人と繋がっている場がほしい
5.自分自身が勉強を続けたい
6.転職に有利になる?

そのあたりを整理するとインストラクターを目指す具体的な行動が見てくるのではないかと思います。

私の場合を例に書かせていただきますと、、、、


私の場合、AHA BLS/ACLSインストラクター資格を取ろうと思ったのは、自分が勤務している病院の中でAHAコースを開催したかったからです。

院内でチームを作って独自のBLS教育はしていましたが、どうせだったら最高クォリティのものを提供していきたいと考えました。AHAの教育はすばらしいのですが、遠方に出かけて休日を丸一日つぶして、それに受講料もそれなりにかかってしまいますので、参加を呼びかけても院内スタッフはなかなか足が動かない。

そこで発想の転換。自分がインストラクターになって病院の中で独自にコース展開すればいいんだと考えるようになりました。(ちなみに当時は院内にAHAインストラクター資格を持った人は誰もいませんでした)

自分でAHA BLSコースを主催できるようになる、それが私の最初の動機・目的です。

ですから、選択肢としては個人コース開催を認めている日本蘇生協議会国際トレーニングセンターでインストラクターになるか、アメリカに行って資格を取ってくるしかありませんでした。

で、経緯はいろいろありますが、結果的には、それなりに努力をした甲斐あって、今では自由にAHA BLSコースを開催できるようになって、病院の中にいわゆる「トレーニングサイト」的な組織も作ることができるまでになりました。

もし、最初に入り口を間違えたら今の自分はなかったと思います。



皆さんは、インストラクター資格をとって何をしたいのでしょう?

自分でコースを開きたいのか、それとも既存の組織の中で一インストラクターとしてみんなでワイワイとイベント的にコース運営を楽しみたいのか。

いま、日本にはBLSコースを提供している母体団体は7つありますが、それぞれに講習スタイルや開催頻度、インストラクターに任されている権限など幅があります。

つまり、皆さんは自分のスタイルに合わせて選ぶ必要があるわけです。

自分が、こうしていきたいというビジョンが、そのAHA提携団体の中で可能かどうか?

ですから、AHAインストラクターになりたいんだけどとインターネット上で漠然と質問してもあまり実は結びません。

まずは自分がプロバイダーコースを受けたところに行って具体的に相談することをおすすめします。


AHAインストラクターになりたい! という一般論だけでは話はなにも進んでいきません。



もう一点たいせつなこと。

それはインストラクターとして無理なく経験を積む場所があるかという点です。

インストラクターカードが発行されたら、好き勝手にできるかというと、それはどの団体でもあり得ないと思います。

経験を積むことが絶対に必要です。

ですから、トレーニングセンターを選ぶと同時にどこで修行していくかトレーニングサイト(活動拠点)を決める必要があります。別にそれはAHA的な条件ではありませんが、継続的に通える距離、コース開催頻度など、無理なく通える場所があることが大切です。

極端な話、インストラクターコースをどこで受けるかはそれほど重要ではありません。

その後、どこで経験を積むか、です。

私はアメリカでインストラクターコースとモニター試験を受けていますが、その後経験を積んだのは主に日本です。逆に言えば日本で経験を積める場所が近くにあったから、わざわざアメリカにまでインストラクターコースを受けに行ったわけです。

地域によっては選択肢がほとんどないかもしれませんし、そもそも近場に活動拠点がないということも場合も多いでしょう。

将来的に独立開催できる立場にまでなれるのでしたら、多少遠くてもがんばれるかも知れませんが、コミュニティ参加が目的なら、近場でないかぎりお薦めはしません。

脈絡もなく長くなりましたが、これからAHAインストラクターを目指す人の参考になれば幸いです。
posted by めっつぇんばーむ at 21:50 | Comment(6) | TrackBack(0) | AHA-BLSインストラクター
この記事へのコメント
BLSインストラクターもいいですが、ハートセイバーインストラクターもいいですよ。と宣伝。

自分がハートセイバーインストラクターになり1年経過しました。怒涛の一年。まさにその一言。

自分も志はめっつぇんさんと同じく、自分でハートセイバー、ファミリーアンドフレンズを開催したいから、でした。

ちょっと今は躓いてしまってますが、新たな道を模索しています。今年は試練の年かな?
Posted by のりぷ at 2010年03月19日 23:04
えーっっと・・・
”ドンヨリとしたマインドが渦巻いて”いたところに、風穴を開けたのがこの日記じゃないでしょうか〜。

さて、個人的には、前回書き込んだときより事態は進展しています。

・AHA-BLS HC provider course 予定入ってます。
・AHA-HS FA course 予定入ってます。
・AHA-HS AED course 予定入ってます。
・Core instructor course 終了済みです。(ぇ

8月のハワイ行きを考慮中ですが、本業もあるので未定です。、
無理なら来年3月まで待てないので、茗荷谷の6月〜9月ころのコースを考えています。

修行は・・・
先方へは全くお願いしてないですが、福井へ足を運ぼうかと思ってます。

インストの動機は、1.2.4.が少しずつと、1−6までに該当しないものもありますが、
それはまたの機会に。

活動日記、楽しみにしていますよ〜。
Posted by Taka at 2010年03月19日 23:24
確かに。
今、改めて思い返してみると、
「憧れのAHAインスト」
でした・・・・。

インスト活動は考えていたほど、甘いものではなく。
でも楽しい・・・。

めっつぇんさんのお考えと同じく、個人的にはインストラクター生活での歩む道をある程度決めておくと、良いと思います。
あとは環境ですよね。
楽しく活動できなければ、休日を利用し、インストとして勉強するということ事態に疲れてきます。

距離や、活動方針などの確認は重要ですね。大きな違いがあるようですから。

私自身も
「院内でコース開催をしたい。」
と職場へ企画提案をしましたが、ことごとく却下。こんなこともありましたが、めげずに努力しております。

でも、なんやかんや、遠くても楽しく通っています!
「勉強するのが楽しい。」
そう思えるので頑張れてる気がします・・・。
Posted by れもん at 2010年03月20日 02:05
自分も色々思うところがあるネタです。

自分の場合一番大きかったのは「この病院にBLSを定着させる」というmissionでした。
そのために院内コースを立ち上げ、自らもBLS InstructorとなりAHAコースも3回×2コースずつ)Cordinateさせていただきました。

2年半かかってようやく自分がいなくても院内コースが開催できるめどがつき、AHAコースも自分がいなくても開催できるめどがつきました。

ただし、今月無理をしてAHAコースを開いてもらったのと引き替えに自分のBLSに対するmotivationは一度燃え尽きてしまいました。

4月からの異動先は大学じゃないのにBLSもACLSもPALSも開催されているすごい病院なのとしばらく本業が大変そうなので、しばらく休んで今後の方向性を考えるつもりです。

> インストラクターになっていったい何がしたいのでしょう?
自分は1>2,4,5です。
おまけで6(異動先の選択)もついてきました(爆

> 距離や、活動方針などの確認は重要
激しく同意。
自分がBLS Instructorになった3年前とは状況がかなり変わりました。
今は選ぶ権利があります。
特に自分で開催したいかどうか、開催されているコースの質がどうかは予め自分で確認すべきでしょう。
自分の職場には他にどこの組織のンストラクターがいるかも重要です。

> 職場へ企画提案をしましたが、ことごとく却下
今までの他の仕事の蓄積・信頼があるといえども私のような卒後10年程度の医師に任せてくれる病院は普通ありません。非常に幸運でした。
其れまでの仕事の蓄積で副院長・診療部長レベルの先生方や看護部のトップレベルの方々と直接お話させていただき、理解を得られたのが一番の勝因です。
Posted by おぢさん at 2010年03月20日 05:58
のりぷさん、のりぷさんのような方って珍しいのが現状かもしれません、日本では。別に医療従事者のためのだけのものじゃないんだけどなぁ、AHA ECCプログラムって。日本でのAHA ECCは医療者教育のツールに終わってしまっているのが残念です。


TAKAさん、着々と準備が進んでいるんですね。
茗荷谷だったら、JRC-ITC(今はJSISH-ITCになりましたが)なので、AMRよりは経験を積める場所が多そうです。


れもんさん、れもんさんはある意味例外かもしれませんね。
毎回飛行機に乗ってのインストラクター修行、すごいです!


おぢさんさまもこれまでの努力が実り、、、すばらしいですね!!

移動先ではどんなポジションで活動されていくんでしょう?
PALSまで開催されているとはすごいですね。

おそらくITCは違いますよね?(ひょっとして某マイナーITC所轄では?)
Posted by めっつぇんばーむ at 2010年03月24日 17:36
ここに、こっそり報告しておきます。

3月に Core Instructor Course, BLS-HCP
4月に HS-AED, HS-FA
と無事終了しました。

8月まで時間あるから、ACLSとかICLSでも受講しようかなぁ・・・。
Posted by Taka at 2010年04月13日 23:23
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