やっぱりいちばん取り入れたいのは、傷病者アセスメントの部分ですね。
BLSは意識がなくて呼吸がなくて、脈がないのが大前提。
これが人間として最悪の事態で、そこだけでも反射的に体が動けば、、、ということでやっているわけですが、ところがどっこい私たちが日常的に遭遇するのは「大丈夫ですか?」と聞けば、「はい、大丈夫です」と返事が返ってくるパターン。
返事があれば、(心停止を考えれば)とりあえず緊急事態ではありません。
もし救助者がただのBLSプロバイダーであれば、ここでおしまい。
BLSプロバイダーの出番はありません。
でも、その救助者がファーストエイド・プロバイダーであれば、対応がまた違ってきます。
いちおうアメリカの労働基準の中では、ファーストエイドとCPRは別物として位置づけられているようですが、どっちが広い概念・守備範囲かといえば、もちろんファーストエイド。
ファーストエイドの選択肢としてCPRはあり得ますが、その逆パターンがなかなかないのは、AHA関係の皆さんは特に実感されているところだと思います。
ファーストエイドは、定義だったりとか範疇が広すぎて教えるのはけっこう大変です。状況に合わせてどこまで教えるかということも考えなくちゃいけないし、、、、
その点、CPRはやることは決まっているので、教える方もある意味楽ちん。
BLSは人間としての常識、というくらいに義務的に裾野が広がるべきだと思っているけど、いまの段階でCPRの必要性を認識しているような人たちだったら、BLS/CPRの枠を越えて是非、ファーストエイドの範疇まで興味を持って勉強してほしいなと考えるようになりました。
そこで、最低限のことと思うのが、最初に書いた傷病者アセスメント。
日本の救急法だと、「脳卒中の対応」とか「痙攣の場合」といった感じで症例毎に説明しがちですが、あれってあまり意味がありません。そもそもそれが脳卒中と認識できなければなにもはじめられないからです。
具合の悪そうな人をみたら、まずはどこに着目して何を確認していったらいいのか?
どんな情報を取っていけばいいのか?
たいていの場合は、急いで病院に行くような事態ではないことが多いと思いますが、それを「大丈夫」と自信を持って言えるためにはなにをチェックしたらいいのか。
病名を言い当てるような指導パターンだと、消去法でこの病気ではないとは言えるかもしれないけど、なんだかわからない症状が問題のある状態かそうでないかは判断できず、結果的に「実用」にはなりません。
せっかく身につけたBLSの技術を自信に変えて使える技術に高めるためには、ファーストエイドの知識が必要で、さらにはファーストエイドとBLSを切り分けない傷病者アセスメントの知識・テクニックを身につけることで、有機的に有効なテクニックとして生きてくるのでは? というのがこの4日間の研修で感じたこと。
これは、ここしばらく話題にしていたAHA PEARSコースの大切さ、というのともつながっています。PEARSのときは、看護師教育の中で体系だった患者アセスメント・テクニックの必要性を取り上げていましたが、今回は看護師であろうと市民であろうと、ヘルスケアに関わるすべての人にとって必要なこと、と考えるようになりました。
なんていったらいいんでしょう? BLS(CPRとAED)はただのテクニカル・スキル。
それだけでも心停止時には、有効に作用するけど、もっと有機的に発揮するためにはダイナミックなオペレーティングシステムが必要で、それが傷病者アセスメント・プロトコル。なんていうと大げさかな。
傷病者アセスメントはAHAではPALSとPEARS以外は含まれていません。
たしかメディック・ファーストエイドでも患者評価システムのようなものがあったような記憶が、、、 私が受講したのはガイドライン2000版だったので、今度、勉強のためにMFAを再受講しなくちゃなとも思ってます。
読者の方でMFAの評価システムについて情報があったら、いただけたらうれしいです。
実りの多いものだったようですね!
日頃よく思うのですが、救急法というと心停止の場合と連想されます。
しかし、その前の異変についてを知る事も重要ではないかと感じています。
アセスメント能力は、医療人としては大事にしなければならないところだと思います。
PALS PEARSの他にも、アセスメントについて学べるコースがあるのですね・・・。
まさにそんなことが夏の海水浴場では日常茶飯事的におきてたりします(笑)
だいたいは熱射病とか飲み過ぎですが、あまりにも朦朧としていてろれつが回らなかったり、足にきてたりすると、脳卒中??でも酒臭いので飲み過ぎなのか、あるいは急性アルコール中毒??みたいな。
お客さんにはとりあえず病院行きましょうなんていうのですが、だいたい救急車呼ぶのを拒否するので、なにかしらしっかりしたアセスメントは必要だと感じてました。
ウイルダネスもしくはPEARSでこれに近いことが学べるんだとすると超受けたいっす。
その基本概念が理解できていないと、救急法は五里霧中になります。
その場で判断していくのが救急法ですが、考えてみれば、その判断基準や考え方についてはほとんど教えられないのが今の日本の現状。
各論ばっかを教えていて、大枠の概念とアプローチが欠損しているのが日本のファーストエイドの問題なんだと認識しました。
全員が小難しい生理学の勉強なんかしなくていいけど、医療者だったり、指導する立場だったり、積極的に救助に携わる人だったら、考えて動けるようになるための基礎知識と情報、それにアセスメント・シミュレーションは必要と、思います。
これが上級者の方たちが求めていたものなんじゃないでしょうか?