2009年12月06日

市民に医療行為を教えることの意味

いま受けているアウトドア・ファーストエイドコースは、医療者向けのものではありません。でも、救助隊が来るまでに何日もかかるような辺境での緊急事態を想定していますから、いわゆるファーストエイドの領域を越えた、「医療行為」の範疇も含んでいます。

そんな特殊なコースも佳境に入り、今日はアナフィラキシーショックの講義。

けっこう本格的にアナフィラキシーの作用機序、治療法を説明していて驚きました。

受講者の大半は医療の知識はほとんどない市民の立場の人たちですが、アメリカ人インストラクターは例えを使いながらうまく教えていました。

このコースの中では、二つの薬剤が出てきます。

ひとつはおなじみのアドレナリン(エピネフリン)筋注。

もう一つは内服の抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン)。

アドレナリンは作用時間が短い対症療養。それで症状が落ち着いたら抗ヒスタミン剤を、というような流れで教えていきます。

このへんで作用機序を巡って混乱している受講者が何名かいましたが、質疑応答でほぼクリア。

予備知識のない一般市民にもここまで教えることができるんだなぁと感心しました。


そう、このコースの特徴は対処法(治療法)を機械的に教えるのではなく、その仕組みを理解させるように設計されています。

アナフィラキシーに関しても、単にそこだけを学ぶのではなく、すでに前日に学んでいるVascular Shock(日本語でなんて言うんでしたっけ? 血管拡張ショック? 血液分布異常性ショック?)の仕組みとリンクさせて、体の異常を理解させる。

正直、それがどれだけ受講者の中に残るのか、という疑問もないわけではないですが、どうすべき、という答えがないアウトドアの世界で、自分で考えて対応できる術を身につけさせようというコンセプトが貫かれています。

素人は口を出すな! というある意味、日本では聖域になっている医療界からするとびっくりな感じですが、市民に対して、ここまで門戸を開いているというのは、いい試金石になると思います。

いちおうアメリカでは、この領域(ウィルダネス・ファーストエイド)が確立していて、教育の歴史としても数十年あり、このような講習を開く団体がたくさんあるとか。


日本人の市民の中でも求めている人は求めているんです。

日本国土に限らず、世界のウィルダネスに向けて遠征(expedition)するような日本人も珍しくありません。

日本国外では日本の医師法なんて関係ありませんし、頼れるのは自分だけ。

大学の探検部や山岳部、海外で山岳ガイドとして活躍する日本人等々。



そんな人たちが日本中はもとより、海外からもこのコースに参加してきています。


明日、いよいよ最終日。

修了試験、どうなるかなぁ。


posted by めっつぇんばーむ at 02:25 | Comment(2) | TrackBack(0) | ウィルダネス・ファーストエイド
この記事へのコメント
こんばんは。

プロトコルだけじゃなくて、考え方を教えるようなかんじなんですかね。

そういうのいいなあ。

そういえば、先日地域の防災訓練の最後に消防署の方が講評で「もし大規模災害が発生したら消防車も救急車も足りない。すぐにすべての事案に駆けつけるのは不可能。自分たちで災害に対応できる能力を持っていただけるのは心強い」なんてこと言ってました。じつは都会に住んでいても、救急車がすぐにくるとは限らないんですよね。
万が一の場合には必要な知識だったりするのではと思います。

そうなると満足のいく講習ってなかなかないような気がしますね。

お手伝いしまっせー。
Posted by windwave at 2009年12月08日 01:05
ウィルダネス・ファーストエイドの適用範囲はなにも野山だけではなく、医療機関から隔離された状況すべてに適応されるものです。(アメリカでは、、、)

そういった意味では、変にウィルダネスなんていわなくても、アドバスンド・ファーストエイドといった方がわかりやすいかもしれません。

12月と1月は忙しいので2月くらいに一度勉強会を開いて、いろんな方の意見を取り入れつつ、独自のアドバンスド・ファーストエイド・プログラムを作っていきたいと思っています。

その際は、アドバイザーとしてぜひお越しください。
Posted by めっつぇんばーむ at 2009年12月10日 01:30
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック