2009年07月31日

インストラクター報酬その2-兼業届けと確定申告

さて、昨日はAHAインストラクターはプロのインストラクター資格。指導して資格認定を行うのだから報酬を受け取るのはあたりまえ、という話を書きました。



さて今日のテーマは、その報酬の扱いについてです。

同じアメリカ系の職業蘇生インストラクター資格であるメディックファーストエイド(MFA)のインストラクターは日本にもかなりの数がいますが、専業ではないにしても少なくとも職業としてBLSを教える人がそのほとんどです。

たいていはダイビングインストラクターが兼業でやっていますから、その事業届けなどはきちんと行っているはず。

一方、同じアメリカ系のプロインストラクター資格であるAHAのインストラクターはどうかというと、金銭を受け取っているにもかからず、プロという意識はあまりなく、その金銭の扱い方は適当というか、どう処理しているのか非常に気になるところです。

MFAとは違い、AHAインストラクターのほとんどが医師や看護師、救急救命士であり、堅い本業を持った人たちばかりです。なかでも兼業や副業が御法度とされる公立病院の医師・看護師、地方公務員である消防吏員の救急救命士。大丈夫でしょうか??


ということで、あまり語られなかったインストラクターの受け取る報酬の税務処理についてすこし取り上げてみようと思います。医師の場合は「研修日」などでもともと兼業をしている人にとっては常識かもしれませんが、ナースや救命士の方はあまりご存じないかもしれませんので。


1.公務員でも副業できる 兼業届けの提出

よく一律に公務員は副業・兼業ができないと信じている方がいますが、そんなことはありません。だって不動産を持っていて人に貸しているなんてことはざらにありますし、公立の学校の先生が本を書いたり講演したりっていうのも珍しい話じゃありません。

これについては自治体ごとに決まりがあると思いますが、「兼業届け」のような書式があるはずですので、それを使って上に申請しておけば、堂々と講習会にインストラクター参加して、当然の報酬を受け取れます。

BLS/ACLSへの地域への普及は一種の教育活動ですから、きちんと筋道を通して説明すれば決して通りにくい話ではないはずです。

兼業届けを出す場合、その理由を示す書類を添付しろということがありますが、一番いいのは関わっている活動拠点(サイト)の責任者の方に講師依頼書のようなものを一筆書いてもらうことです。組織が大きくてそれが難しいようなら、AHAのインストラクターカードのコピーを添えて、「資格を持っている=いつでも要請があれば教えに行かなくてはいけない」みたいな理由書を添えて依頼書の代わりにするというのも手ですね。

このあたりの職場への報告を面倒くさがって適当にしている人が大半かと思いますが、日本でもAHA関連組織が大きくなってきていますから、そのうち、その収益を巡って社会問題が勃発する可能性もなきにしもあらず。そうなってしまう前にきちんと通せるものなら筋を通しておいた方がいいですよ。


2.雑収入としての確定申告

インストラクターとして受け取る報酬にも実は税金(所得税)がかかります。ですから受け取るなら受け取るできちんと税制処理をしておかないと、下手すると申告漏れで追徴課税なんて話もなっちゃいます。(個人レベルではそうそうないと思いますけど)

ところで、いくら以上受けったら申告が必要という基準があるんですけど、ご存じですか?

普通に病院勤務をされていたり、本職がある場合は、1年間で20万円というのがひとつの基準です。

ですから、年間20万円も受け取らないよ、という人はなにもしないでほったらかしでOKです。

これを超える可能性がある人は、きちんと帳簿をつけておきましょう。報酬を受け取った日付、金額はもちろんですが、実はそれより大事なのは、交通費や関連書籍購入代など、使った費用の記録と領収書をとっておくことです。

先ほどの20万円というのは、単純に受け取った金額ではなく、「所得」の金額です。

所得というのは、収入から必要経費を差し引いた利益の分。

ですから、、、仮に20万円を謝礼金として受け取っていても、交通費やインストラクションをするために必要な勉強として受講した講習会参加費や参考書の購入代として10万円使っていれば、差し引きとしては所得は10万円。ですから確定申告(所得税支払い)は不要です。

ですからなにがなんでも20万円以下に抑えなければいけないのではなく、それを超えるようであればどんどん有料研修に参加したり、本を買って勉強すればいいわけです。

そうやってうまくやっていけば、特に面倒な確定申告をせずとも、堂々と報酬を受け取って、しかもその費用を自分の勉強のために回して、うまい感じに合法的にインストラクター活動を続けていくことができます。

私の場合、インストラクターとしての活動以外にも執筆だったり講師だったりいくつかの兼業をしていますが、予想外に収入が多くなっちゃったなぁと思うと、お金を使うようにしています。(稼ごうと思っては仕事は入れてません。依頼があると断れないだけなんです)

蘇生練習用マネキンを買い足してみたり、今年はパソコンを新調したり(パソコンの場合、減価償却の計算が必要ですが)と、泊まりがけで遠方まで講習を受けに行ったりして経費(支出)が大きくなるようにいろいろ調整しています。結果的にそれが自分の活動の拡大にもつながっていくわけです。



余談になりますが、所得が20万円を超えていない場合でも、確定申告した方がお得になることもあります。うまくすると、本職で源泉徴収されている所得税を年末調整で全額取り返せるという裏技(?)もあったりします。

さすがにこれは公務員系の方はちょっと難しいかもしれませんが、税金について勉強するといろいろ意外な事実が見えてきておもしろいですよ。


避けて通らないで、ぜひ一度instructor feeについて考えてみてくださいね。
posted by めっつぇんばーむ at 01:41 | Comment(4) | TrackBack(0) | AHA-BLSインストラクター
この記事へのコメント
実はうちの夫、税務関係の人なので、
この辺、度々聞いていました(笑)

昔、ちょこちょこインスト活動に精を出していたころ、
副収入の扱いが気になって聞いてみたら、
やはり20万云々・・とのことでした。

それにしても、めっつぇんばーむさん、
何でそんなにいろいろなことが頭に入るのですか?

PAMにしても、何にしても・・・
私、20万の説明聞いても、中国語か何かに
聞こえてしまって、とりあえずは追徴課税されない
ことしか覚えられませんでした。

めっつぇんさんの頭が欲しいです。
Posted by まち at 2009年07月31日 21:10
めっつぇんばーむさん、初めてコメントさせていただきます、hiroと申します。
消防系のインストです。
インストフィー(謝金)の件ですが、わが消防本部は謝金を受け取れば処分の対象、交通費、現物支給の食事には眼をつむるというペーパーを出しています。
今年になってから数回、謝金は辞退してコースに参加しています。
今年は何とか気合でやっていけそうですが、来年以降はちょっと自信ないですね。
それでいて、われわれが獲得したスキルを仕事に活用させ、口は悪いですが上前だけと取ろうとしていますね。
今後、ちょくちょくコメントさせていただきますので、よろしくお願いします。
Posted by hiro at 2009年08月01日 07:48
 お疲れ様です。税理士並みの解説、ありがとうございました。かなり勉強になりました。

 MFAインストとして、AHA-BLSファカルティとして追加させて下さい。

 MFAは、インストコースの際に経営も指導されます。テキストやカードのコスト、通信費、会場の費用、そして自分自身の人件費を考え、受講生の人数で割るとコース費用がどれくらいになるか?そういった計算式を教えてもらえたりします。もちろんご指摘のように公務員の副業に関する話も指導されますので、経理的な事はちゃんと出来るのだと思います。

 ぢゃぁ、AHAのインストは?インストコースで、そんな話はしませんよね。まぁ、AHAのインストコースは指導理念がちょっと違いますし、そもそも、アメリカ系とJRC日本蘇生協議会系以外のITCでは、個人活動を認めていませんから、経営の話なんて不要なのでしょう。
 “サイト長などが開催するコースに、手伝いとして参加する”というインストばかりで、インストとしてのプライド、モチベーションが低いのではないでしょうか?
 AHAのインストも、JRCのような個人活動をしている人達は、経理的なことはしっかりしていると思います。

 僕は、ファカルティになる際に言われました。
“あなたにはインストラクターコースを開催する権限があるが、私たちがあなたに望む本来の仕事は、若いインストラクターを支援して活動し易くし、コースの質を保つことです”

 AHAにおいては、そういう経営的な話、コース開催のノウハウなどはファカルティ(サイト長など)が若いインストに現場で指導する内容だと思います。ファカルティの意識が低と、若いインストも経理的なことなど、あまり考えなくなってしまうと思います。

 例のインスト情報ウェブページに僕が豆知識を公開しているのは、インストになったからには自立して、プライドとコースの質を高く持って頂きたいからです。

 みなさん、いっしょに頑張りましょう。
Posted by mimimi at 2009年08月01日 07:58
まちさん、忙しさに忙殺されていてすっかりご連絡が滞ってました。ゴメンナサイ。今晩帰ったらメールいたします。

まちさん、ご結婚されていたんですね。最近メールいただくまでちっとも存じ上げていませんでした。(スイマセン、どうでもいい話で)

法律関係って言葉遣いが難しくてややこしいですが、労働法規と税務法規は知っておくとおもしろいというか便利ですよ。せっかく専門家が身近にいるのでしたらぜひいろいろ教えてもらってみては? 知れば知るほど特をするというか、あまりに知識がない看護業界がマズイという実態も見えてくると思います。

ひろさん、コメントありがとうございました。
消防系の方は難しいですよね。階級社会で、正論であっても上官がダメといったらダメ。。。

この点、同じ官であっても公立病院の場合、比較的自由業者の医師がいますから、副業・兼業に関しても話が通りやすいと言う部分はあります。医師が研究と称してあたりまえにバイトをしているのになんで看護師はダメなの? といったら人事部もあまり歯切れの良い回答はできない現状がありますから。

いま兼業で消防関連業界に少し足を踏み入れつつありますが、官ゆえの頭の固さというか融通の気かなさを実感しています。サイエンスとかエビデンスとかいうよりは、やっぱり救命士の世界では上官のいうことが絶対なんだよなというジレンマ。

スイマセン、話が逸れました。

mimimiさん、MFAインストならびにAHA US BLS Facultyの立場での貴重なコメントありがとうございました。

とかく私はアメリカにおいてはAHAとMFAは同格という位置づけて書いてしまいましたが、インストラクターコースの内容を考えると、ずいぶん違うんですね。失礼しました!

確かにおっしゃるとおりの単独開催可能かどうかという点は、重要ですね。その点、あまり考えずに本文を書いてしまいました。組織で動く以上、歯車でしかないわけで、全体像を知っているのは俗に言うコースディレクターとかサイト長くらい? AHAコースの経理を知っているインストラクターなんてホントは日本には一握りしかいないのかもしれません。

そもそもいまだにAHAコースはアメリカに送金しているから、経費が高いんだとか信じている受講生もいるかもしれませんしね。(そんなことをやっているのは公募コースではAMR福井と岡山、鹿児島くらいなものです)

いうまでもなく日本のメジャーな団体はAHAからみると国際トレーニングセンター(ITC)という位置づけで、カード発行業務等の一切を日本国内でやっています。
Posted by めっつぇんばーむ at 2009年08月01日 20:28
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