世界中に影響を与えるような大きな変更はなかったマイナーチェンジではありますが、細かいところを見ていくと、いろいろおもしろい発見がありました。
いま、周辺のインストラクターの間で話題になっているのは、「他人の振りみて我が身をなおせ!」は否定されたという事実です。
昔からよく議論になるのですが、AHAはマネキン対受講生比率を1:3まで許容していますが、1:1と1:3、どっちがいいのかという命題があります。
私はアメリカでの経験を含め1:1で育っていますので、基本的に1:1派です。
ガイドライン2005になって、マネキンに触れている時間が少なすぎるという点が大きな問題提起されましたので、1:1を否定する理由はまったくないのですが、1:3ですっとやっていた人たちの言い分は次のよう感じです。
「他の人がやっているのをみて学ぶところがある。だからマネキン共有(=1:2 or 1:3)にもプラスの面がある」
まあ、それも一理あるかなとは思っていましたが、今回のDVDの中ではそれはあっさりと否定されていました。
BLS Instructorコースの"Training Facilitation"部分の5:20あたりです。
Students should focaus on video
NOT other students
Instructor must keep students forcused
ということで、キョロキョロと他の受講生を見ている場面を否定的に取り上げています。
もともとAHAがビデオ教材を採用したのは、インストラクターのデモンストレーション技量の善し悪しによって、コースの質が左右されるを避けるため、というのがガイドライン2000で打ち出されていた教育学上のエビデンスです。
その延長としては至極当然な話で、良いかも悪いかもわからない手技は、見て害になる可能性があるとすれば、極力見ない方がいいというのは自然なことと思います。
1:3まではAHAとして許容している範囲ですが、講習の質を考えると極力避けるべきなのかもしれません。
インストラクターのマンパワーと資器材の準備と消耗品といったコストパフォーマンスを優先すれば1:3もありとは思いますけどね。
そこにコースを主催する団体やインストラクター個人の思いが反映されるのだと思います。
おまけに1:3のところの方が
マネキン管理がいい加減という
変な現象も有るし
MFA(Medic First Aid)は,マネキン:受講生を1:2〜3で推奨しています.これには根拠があり,AHAとは状況がちょっと違います.MFAは1:1を推奨していません.
これは根拠に基づいた物なので,AHAの状況からMFAに関して誤解が生じてしまわないように,補足させて下さい.
AHAのコースでは1:1ではない場合,他の受講生はやることがなく,ぼけっとしているか,他人を眺めているだけです.なので1:3なんかよりも1:1の方が明らかに優位です.
で,MFAの場合,1体のマネキンに対して受講生が救助者役,補佐役,シナリオ係(AHAでいうインスト?)に分かれて学習を進めます.役割交代して3回繰り返します.
つまり,AHAのコースDVDの流れとは違って,1体のマネキンに対する2〜3人の受講生が常に何かの学習を一緒にしています.ACLSの役割分担みたいなものですね.
ですからAHAの場合は1:1が一番良い.他団体の講習でも同じスタイルの場合は,もちろん1:1が一番良いです.MFAは講習のスタイルが違うので,AHAのように1:1が一番良いわけではない.という理解でお願いします.MFAが1:1じゃないから悪いわけではない事を知って頂ければ幸いです.
MFAのことはすっかり忘れて、書いてました。
今回はAHAだけの話で、その他の団体のマストレーニングを否定するつもりは一切ないことを申し添えておきます。
確かにMFAは独自の方法、受講生自身もファシリテーター的な部分を担わせるという形でコース設計していますね。ひとりのインストラクターでより多くの受講生を指導できるという合理的な方法ですよね。
AHAのビデオ教材を使った講習方法はもともとはMFAのシステムを流用したものと聞いています。この業界では先進的な取り組みをしているMFA。一歩先行く部分があるので、2010の教材改訂についても密かに気になっているところです。