2008年07月15日

ハンズオンリーCPR/日本蘇生協議会のプレスリリース

日本蘇生協議会(JRC)が、AHAが提唱しているハンズオンリーCPR Hands only CPR に関して、公式なプレスリリースを発表しました。

『胸骨圧迫のみのCPRに関するILCORの潮流』
 http://jrc.umin.ac.jp/pdf/080714_CPR.pdf

日本蘇生協議会の公式見解というよりは、ILCORの共通認識を再確認する文書という感じで、日本蘇生協議会としての独自の意見はほとんど含まれていないのが残念です。

結論として、ハンズオンリーCPRはAHAの勇み足で、AHA以外のILCOR加盟団体は容認していないという形で締めくくられています。

「このような状況でAHAが本声明を公表したことは、ILCORの設立精神に反するものであり、現在、ILCORではこのような事態の再発防止策を検討中である。」

AHAが Hands only CPR の根拠としている論文3つのうち、2本が日本発の論文です。

ですから、ILCORの中でも、日本蘇生協議会(アジア蘇生協議会)は、本件に関して独自の視点があってしかるべきだと期待していましたが、このプレスリリースの中からは、そのいちばん気になる部分が一切触れられておらず、単にILCORの一般見解を伝えるに留まっているのが残念です。

Hand only CPRは日本でもマスコミ等でそこそこ話題になりましたが、普及活動に取り入れているのはAHA ECCプログラム(BLSヘルスケアプロバイダーコース/ハートセイバーAEDコース)だけというのが現状かと思います。

日本蘇生協議会の声明で、それが一気に消防や日赤にも波及するのを想像していただけに、ちょっと意外な結末(まだ終ってませんが)でした。
posted by めっつぇんばーむ at 23:38 | Comment(9) | TrackBack(0) | AHA-BLSインストラクター
この記事へのコメント
はじめまして、いつも拝見させてもらっています。
救命について勉強中です。ハンズオンリーCPRについて質問させてください。

AHAのハンズオンリーCPRで、ハンズオンリーCPRは以下の人には推奨されません。

反応のない乳児や小児
溺水
外傷
気道閉鎖
急性呼吸器疾患
薬物過量などによる無呼吸

の中で、外傷はなぜ推奨されないのか理解できません。
肺や気道の外傷によって呼吸停止になった場合ならわかるのですが、単に外傷とあるのでどうもすっきりしません。

よろしくお願いします。
Posted by るっくあっぷ at 2009年04月30日 19:26
るっくあっぷさん、お返事遅くなって申し訳ありません。

ハンズオンリーCPRについて確認してみましたが、AHA公式のFAQを見ると、そこには外傷というのは触れられていないようです。

ふつうに考えたら私もるっくあっぷさんと同様、外傷を除外する妥当な理由が思いつきません。

circulation誌にのったAHAの原著論文を見たらなにかわかるかも知れません。

スイマセン、今のところお手上げです。
どなたかご存じの方、いませんか?
Posted by めっつぇんばーむ at 2009年05月04日 19:32
お返事ありがとうございます。自分でもいろいろ調べてみます。でも、このブログは大変参考になります。
因みに私は福井の人間です。でも、某ITCとは関わりはありません。個人的に複雑な心境です。
Posted by るっくあっぷ at 2009年05月04日 23:15
いや〜、やっぱり皆さんに振ってみるものですね〜

有力な情報が届きました。

まず根拠となるのは、AHAがCirculation誌に発表したHands only CPRに
関する発表論文。

いまもPDFでフリーで読めるようです。

http://circ.ahajournals.org/cgi/reprint/CIRCULATIONAHA.107.189380

この論文の中で、Hand only CPRが適応でない場合についてこんなふうに書かれています。

These studies support the need for rescue breathing as a critical component of CPR for asphyxia-precipitated cardiac arrests, such as those associated with drowning, trauma, airway obstruction, acute respiratory diseases and apnea (eg, with drug overdoses), pediatric arrests, and prolonged cardiac arrest.

ということで、確かに外傷(trauma)が出てきますが、「外傷等に起因した低酸素状態の心停止」と理解するのが妥当なようです。

外傷すべてを適応外としているわけではなさそう。

でもあのパンフレットを見ると、そこまでは読みとれませんよね、正直。

勉強になりました。教えてくださったmimimiさん、それに問題提起してくださったるっくあっぷさん、ありがとうございました。



ところでるっくあっぷさん、最後の言葉が気になります。

> 因みに私は福井の人間です。でも、某ITCとは関わりはありません。個人的に複雑な心境です。

福井といえば、日本ACLS協会ITC、日本蘇生協議会ITC、福井県済生会病院ITC、それになにやら循環器学会ITCも複雑に絡んでいるようですし、なによりアメリカ本国のAMR-TCの日本最大の活動拠点があったりと、たぶん日本一AHAにちなんだ土地柄です。そんな中るっくあっぷさんが関係ないとおっしゃるのは一体どのITCなんでしょう? 気になっちゃいました。
Posted by めっつぇんばーむ at 2009年05月06日 00:27
めっつぇんばーむさん
ありがとうございました。これでBLSインストになったときに、ハンズオンリーCPRのセクション時に受講生に対しての説明が組立てられます。「外傷等に起因した低酸素状態の心停止」の具体的な例を今度は調べたいと思います。
やはり県内のAHAなどの活動状況の中で、昨年立ち上がったITCに関して、なぜって思いがあります。

>たぶん日本一AHAにちなんだ土地柄です。
みなさんがんばっています。全国からモニタ希望で参加されているトレーニングセンターもあります。
3月に東京マラソンで国士舘大の救命チームが活躍しましたが、福井にはボランティアでREMというチームもあったりします。
Posted by る at 2009年05月06日 07:36
↑すいません。ハンドル「る」になってしまいました。
Posted by るっくあっぷ at 2009年05月06日 07:37
れもんさん、飛行機なんですね。私はいつもは新幹線で、今回はケチって夜行バスにしてみました。着いてからの時間つぶしの場所に苦労しました。次回はETCを使って車に挑戦してみようかなと思ってます。

さてPEARSのインストラクターですが、基本的にはPALS Instructor資格がないと教えられません。昔、プレスリリースかなにかでPears Insturctorという資格も作る予定って話を読んだ気がするのですが、ちょっと探したけど見つけられませんでした。勘違いかも。

Pears Insturctor資格があったら、取りたいなぁ。
Posted by めっつぇんばーむ at 2009年05月07日 01:39
中山書店「BLSヘルスケアプロバイダー」2004年4月6日第1版、第1刷
特殊な状況での蘇生−外傷による心停止(197p)で、「外傷等に起因した低酸素状態の心停止」について記載がありました。

・神経損傷、気道閉鎖、開放性気胸、気管支損傷による呼吸停止に続いて起こる低酸素症

以前からこのBLSとACLSの書籍持っていたのに内容があまりに濃いので読んでなかったです。これでスッキリです。

Posted by るっくあっぷ at 2009年05月09日 18:13
るっくあっぷさん、有力な情報をありがとうございました。

以外と旧版のヘルスケアプロバイダーマニュアル、使えますよね。ガイドライン原著よりBLSのエビデンスはしっかり書かれていますし。

絶版になってしまったのが残念です。
Posted by めっつぇんばーむ at 2009年05月14日 06:58
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