どんな救急法講習でも必ず言われることですが、その言葉を現実問題としてきちんと捉えていた人はどれだけいたでしょうか?
残念ながら今回起きてしまった秋葉原の通り魔事件は、日本の救急法を考える上でも大きな問題提起と今後の課題と残したと感じています。
B型肝炎ウイルス、警視庁が救助者に検査呼びかけ
東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、警視庁は10日、死傷した男性14人の中にB型肝炎ウイルスの感染者がいることを明らかにした。
同庁は、この被害者の身元などを明らかにしていないが、現場で救助にあたった人に感染する恐れがあることから、救助活動を手伝った人に病院で速やかに検査を受けるよう呼び掛けている。
B型肝炎は、ウイルスに汚染された血液や体液を通じて感染する。厚生労働省によると、救助者の手などに傷がある場合、感染者の血液に触れて感染することはあるが、可能性はきわめて低いという。
感染しても肝炎を発症しない場合もあるが、慢性肝炎などになることもある。
(2008年6月10日13時26分 読売新聞)
もう10年以上前になるでしょうか。
私が医療従事者免許を取る前の話ですが、はじめてメディックファーストエイドの講習を受けたときは、ビニール手袋やマスク、アイシールドといった血液・体液感染からの個人防護具(以下PPE: Personal Protective Equipment)の説明を受けて、正直大げさだなと感じました。
しかしその後、実際の外傷者の救護で、気づいたら手が血みどろになっていたことがあり、ディスポのプラスチック手袋とウェットティッシュの重要性を痛感しました。
アメリカ系のCPR・ファーストエイド普及団体を受講した人は、正しいビニール手袋の使い方(装着・脱着)を知っているはずですが、日本の救急法講習ではほとんど教えられていません。
この事件を教訓に、救急法にまつわる「感染防御」ということが、日本でも一気に認知度が高まり、より高度な(というか実践的な)応急処置や救命処置講習への関心が高まるのではないでしょうか。
私自身、外出時は人工呼吸用の携帯用フェイスマスク(いわゆるポケットマスク)は携帯していますし、キーホルダーにはフェイスシールドがついています。
でもこの5年間、バイスタンダーとして救急現場に遭遇したことは両手で数えるほどありますが、呼吸停止者には出会ったことがありません。多いのは交通事故や転倒で、意識があって痛がっているようなパターン。
そう考えると、フェイスシールドなんかより、使い捨て手袋を常備している方がぜんぜん活躍の頻度が高いです。
救急法への意識が高い人、心肺蘇生のインストラクターといえば、キーホルダータイプのフェイスシールドを持っていることがその象徴であるかのような雰囲気がありますが、現実問題、フェイスシールドには感染防護機能はないと言われています。
近年ハンズオンリーCPRのこともありますし、口対口人工呼吸を行なう現実性はかなり低くなってきました。
水難事故などを想定した立場の人は、折り畳み式のポケットフェイスマスクを持つのがあたりまえ、という時代に突入していくのではないでしょうか?
キーホルダータイプのフェイスシールドが廃れていくだろう一方、キーホルダータイプの小さなビニール手袋が流行らないかなぁ、なんて私は思っています。
ちなみに下の写真は、私が職場の白衣のポケットに入れている手袋・フェイスシールド・アルコール綿をまとめて入れたポーチです。
もともとは確か小銭入れ。ちょうど良いサイズだったのでミニファーストエイドキットにしてます。
何にしても手袋をつけないことには始まりません。
ですから手袋だけはすぐにとれる場所にないとダメ。
アメリカの救急隊員向けの小道具(?)には、ベルトにつける手袋ケースがあるようです。
ただビニール手袋を入れるためだけに専用のポーチを使っているんです。
それだけ救急現場では手袋が重要で、すぐに装着できるようになっていないといけないってこと。
もちろんバイスタンダーとして、いざというときに備える私たちとしては、そこまでがんばる必要はないと思いますが、現場ではフェイスシールドだ、バッグマスクだとかいう以前に手袋だと思うのです。
一処置一手袋
職業的に医療現場にいる人にとっては、あたりまえのことですが、ふつうの人は知らないのは当然と思います。
AHAにも、AHAハートセイバー・ファーストエイドコース という、心肺蘇生法だけじゃなく、ケガへの事故への対処方法などを学ぶコースがあります。(きちんとしたAHA修了カードが発行されるコースです。日本ではまだけっこうレアなカードで、ホンモノを見たことある人は少ないはず)
私も、今後AHAのBLSインストラクターとして、市民向けにファーストエイドコースを積極的に開催していきたいと考えています。
車には、ディスポグローブを二箱のせてあり、一箱は、
すぐ取り出せる位置に置いてあります。
感染防護衣も買いました。箱で買ったのでウン万しましたが・・・。
感染防御、安全確保・管理も含めて大切ですね。
で、それを実際に活用する機会に何度も遭遇してらっしゃるのが驚き。
感染防護衣、私も車のトランクに突っ込んでいます。
一度かなり凄惨な高速道路事故に遭遇したことがあって、手袋だけじゃ対応できないなという場面があったので。
滅菌期限が切れた古いオペ着なんですが、カッパ代わりとか、猫をお風呂に入れるときとかなにかと重宝しています。
仕事ではフィット感からラテックスグローブを使っています。でもすぐに劣化するので、いつでも使えるように置いておくのは、劣化しないプラスチックグローブがいいですね。
ナイトリルはラテックスみたいに劣化しますか?プラスチックみたいに保存が利きますか?
私が使っているのはプラスチック手袋です。
ホントはオペのときに使うパウダーフリーのサージカルグローブが手首の方まで長くて一番安心して使えるんですけど、かさばるので携帯用にはしてません。
横からすいません。つい15日に福井でHS-FAコースを開催したばかりでしたので、“もしや。。。”と思いきや、アメリカ在住の方だったのですね。
エマージェンシーブランケットは、WalMartで売っていました。ポケットマスクもWalMartのファーストエイドキットなど置いてあるコーナーにあったと思います。なければ、LaerdalMedicalで通販できますね。グローブは、ナイトリルのグローブがLaerdalのポケットマスクに一足、同梱されていると思います。
すでにmimimiさんがお返事くださっていますが、私は日本国内で活動するAHA-BLSインストラクターなんです。日本では2003年にAHAのトレーニングセンターが作られるようになって、医療従事者を中心にだいぶ知られるようになってきました。
日本では医療従事者の間でしか知られていませんので、市民向けのファーストエイドコースなどはほとんど開講されていなくて、これから、という感じです。
ちなみに日本国内ではアルミ泊のブランケットは登山用品店などで500円くらいで売られています。ポケットマスクはなかなか扱っていませんが国内の通販で2000〜2500円くらいかな。いずれにしてもアメリカからの輸入品ですから、アメリカ国内で買われた方が安いと思います。
あまり参考にならなくてごめんなさい。
追伸:mimimiさん、的確なコメント、ありがとうございました!