AHAのプロバイダーカード。BLSやACLSに合格後に送られてくるあの英文のカードですが、あれがなくなるという話題です。
この方向性は数年前から打ち出されており、AHAとしては、段階的に普及を進め、今年1月には米国内ではすべてのトレーニングセンターにeCardを発行することを求めるに至りました。まだかろうじて過渡期のようですが、ちかぢか紙のプロバイダーカードの販売が停止されることが決まっています。
今は、まだ紙のカードとeCardが混在していますが、すでに米国内では、紙のカードはold fashionという空気感になってきています。
さて、このeCard、読み方としてはイーカードですが、どんなものかというと、e-mailと同じ語法ですので、電子カードとでも訳せばいいのでしょうか。
簡単にいえば、形がある紙ではなく、インターネット上の電子データとして存在確認される証明書ということになります。
○○プロバイダーコースに合格すると、AHAからメールが届き、そこにあるリンクをクリックすると、専用ページでのパソコンやスマートフォンの画面表示として資格証明を確認できるという形になります。
今までは、ACLS資格を取ったといったらプロバイダーカードを見せたり、そのコピーを提出したりしたわけですが、eCardでは、専用ページにアクセスしてスマホの画面をちらっと見せて、資格証明をする時代になったということです。
eCardは、パソコンやスマホ画面での表示以外に、賞状のような形で印刷したり、名刺サイズのカードに印刷することもできるようになっています。
従来のプロバイダーカードでは、唯一の資格証明が紙切れ一枚という形でしたが、eCardでは、いくつかのパターンで資格証明ができ、そのオリジナルはインターネット上の電子データですから、紛失のリスクがなくなったのがeCardの長所です。
eCardの詳細は、日本国内で活動しているUSインストラクターの方たちがホームページで解説してくれているので、そちらを参照してください。
AHA eCard(イーカード・電子修了証)とは - AHA岡山BLS
http://jemta.org/ecard/ecard.html
AHA資格 電子認証システム eCard (イーカード)とは【BLS横浜】
https://bls.yokohama/ecard.html
今のところ、日本国内でeCardを発行しているのは、USインストラクターと呼ばれる米国のトレーニングセンターと提携して活動しているインストラクターだけで、その数はおそらく10〜20人程度と思われます。
eCardは米国の話で、日本ではほぼ無関係の話ではあったのですが、先ごろ、日本の国際トレーニングセンターの代表者の集まりが開かれ、日本でも2019年1月で、紙のプロバイダーカードの供給を停止するという話が持ち上がりました。
つまり、来年の1月以降、日本でもeCardへの完全移行の可能性が具体化してきたのです。
日本においては、CPRverify(AHAインストラクターの皆さんは聞いたことありますよね?)からインストラクターがRosterデータを登録することでeCardが発行されるシステムにしたいみたいで、去年あたりからCPRverifyの促進キャンペーンが行われていました。(米国のTCは別で、CPRverifyではなくInstructor Networkから登録します)
CPRverifyは日本語化されましたので、それほどハードルは高くはないとは思うのですが、日本のITCとしては、否定的な意見が多く、2019年1月のeCard移行については、AHAが最終的にどのように判断するかは現時点、未知数です。
AHAとしては、わざわざ日本のためだけに紙のプロバイダーカード原紙を製造・販売を続けるということは考えにくいことですので、日本でもやがてeCardに移行するのは間違いないでしょう。
この電子資格認証という制度は、AHAに限らず、日本では、例えばサッカーの審判の資格証も電子認証になっていると聞きます。
時代の流れ、なんでしょうね。
米国で電子認証のeCardがここまで定着したのは、病院などの雇用者が従業員のBLSやACLSの資格管理に便利という点が大きいと思います。
ご存知の通り、米国の医療従事者はBLSやACLS資格の取得と維持が、事実上必須可されているため、病院雇用者側としては、何千人といる従業員の資格チェックが大きな負担でした。
その点、eCardシステムでは、従業員からeCardコードと呼ばれる12桁の個別番号の提出を受ければ、インターネット経由で、その資格の有効性をまとめてチェックできるので、管理が簡単という絶大なメリットがあります。
日本では、ACLSやBLSの資格チェックといえば、麻酔科専門医や循環器専門医の申請の他、国際病院機能評価JCI受審のため、というくらいなので、この資格チェックシステムが活きてくる場面は限局的かもしれません。
さて、この先、どうなっていくんでしょうね?