2017年10月29日

BLS/ACLS スキル獲得と資格取得の意味の違い

私は、AHA-BLSインストラクターとして、BLSプロバイダーコースや、ハートセイバー・ファーストエイドなど資格認定コースを開催していますが、併せて応急手当普及員として普通救命講習Iという消防庁認定資格の発行もしています。

片や、そういった特定団体の公認講習とは別に、自分自身で組み立てたオリジナルのBLS講習やファーストエイドプログラムを有償でやることもありますし、地域貢献活動として無償ボランティアとしてCPRセミナーを開催することもあります。


私からすれば、対象や目的に合わせて最適なものを提案するだけです。規定の◯◯コースがマッチするのであればそれを提供するし、なければ作ればいいだけで。別に◯◯コースに誘導しようという気はサラサラありません。

だって、◯◯コースにすると、教えなくちゃいけない内容が決まっちゃうから、柔軟性がなくなっちゃうんですよね。

◯◯コースのいいところは、幅広くいろんな対象に無難に対応できるように浅く作られているところ。逆言えば、具体的にターゲットが絞られている場合は浅すぎて力不足です。


資格が必要という人には資格認証手数料が掛かる有料講習を提案しますし、資格なんていらない、技術が身につけばいいんだという人には、より短い時間で現場のニーズに合わせた焦点化した講習を廉価で提供しています。



BLSとか救命講習を受講することの目的とか意義ってなんなんでしょうね?



受講料が高い安いという意見を聞くにつけ、いつも、このことを考えてしまいます。


スキル獲得資格取得 という2つの側面があると思うのですが、ここをごっちゃにしているから不毛な議論が多いんじゃないでしょうか?

資格が必要というのなら、高いお金を出してでも、◯◯コースを受ける必要があるでしょう。

私個人が勝手に資格を作って証明書を発行してもいいのですが、きっと名前の知れた大きな組織の公認証書じゃないと意味をなさないと思います。だったら、ブランド料というかパテント料として、料金が高くなるのは致し方ないですよね。


しかし、日本においては救命スキルに関しては意識が低く、資格を求められるケースはあまりありません。

特に医療従事者に関して言えば、例えば医師免許とか看護師免許を持っていれば、BLSなんて当然できるものとして認知されていますので、ことさらBLS資格とかACLS資格とか求められていないのが現状です。

であれば、日本の医療従事者にとっては救命スキルに関しては、資格という側面での意義はあまりなく、技術獲得さえできればOKといえます。

そう考えると、いちばん良いのは病院とかの職場単位で自院に合わせた形で研修プログラムを作って習得させるのが最善と言えるでしょう。


◯◯コースだと、資格を発行する関係上、その病院には必要のないスキル(例えば小児蘇生とか、オピオイド過量とか)までも時間をかけて教えなくちゃいけないので、そんなのは無駄です。


今では、多くの病院施設で、自前でBLSトレーニングを実施するところが多くなってきていますよね。

同じようにACLSもやっていけばいいんです。公認講習にするから受講料が何万円だとかそういう話になるので、自施設で自前の機材で自院スタッフが業務時間内で教えれば、支出はゼロです。


それができなくて外部に委託するのであれば、講師料を含めてお金が発生するのは当然のこと。

現実問題、蘇生法の指導員を育成するのはなかなか難儀で時間もかかります。

自前のトレーニング・プログラム開発と指導員養成までの経費を考えたときに、外部のプロに委託したほうが結果的には安くつくと判断する病院もあります。

またオリジナル研修では、資格認証という点では弱いという点に着目する病院組織もあります。例えば国際病院機能評価JCI認証を狙う病院では、その点が顕著です。

資格の持つ意味として、病院の患者安全意識のPRや、訴訟対策という視点もあります。いくら自分たちできちんとトレーニングしていると言っても、それを証明するものがないと主張が弱いと考えれば、社会的に認知されている資格にすがるのも手です。


医療従事者はすべからくBLSができるべきで、部署によってはALSも必須。

そこに異論はありませんが、自前でトレーニングできているのであれば、あえてお金をかけての「受講」はいらないと思いますし、病院や個人として資格のメリットを感じないのであれば、資格なんて不要です。

提供する側は、持っているスキルや資格に応じて、いろいろなプログラムを提供します。

ユーザーや依頼する側は、目的に合わせて選べばいい。それだけだと思います。



posted by めっつぇんばーむ at 23:02 | Comment(0) | AHA-BLSインストラクター
2017年10月18日

AHA講習中は禁煙です。休憩時間にタバコを吸っているインストラクターがいたら通報しましょう

アメリカ心臓協会 AHA 講習は禁煙です。

講習中、会場内はもちろん、会場施設敷地内での喫煙も禁じられています。

AHA講習(BLS/ACLS/PALS/PEARS)は禁煙です

AHAプログラム運営マニュアル(PAM)日本語版より


喫煙癖のある受講者の方は、その日、1日朝からずっとタバコを吸わないつもりでいて下さい。

当然ですが、AHA講習では喫煙所のアナウンスはありません。

だからと言って、昼休みに近くのコンビニまで行ってタバコを吸おうなんてことが考えないで下さい。

最大3人で交代しながら、呼気吹き込みを行うBLSマネキン。煙草臭くなったら、他の受講者に迷惑です。



アメリカ心臓協会(AHA)は、心臓病と戦う学術団体です。

AHA Fighting Heart Disease and Stroke


心臓病や脳卒中のリスクを有意に高めることが証明されているタバコを許容することはできません。

そんなスローガンに賛同して、自らAHA-ECCプログラムの推進に身を捧げることを志したAHAインストラクターたちは、もちろんタバコを忌避しています。

そんなインストラクターたちが、タバコ臭かったり、ましてや、休憩時間にタバコを吸いに行っているということはAHAポリシーからしてあり得ないことです。


受講者の皆様、万が一、タバコの匂いを漂わせているAHAインストラクターがいたとしたら、それは大問題です。

講習の最後に、コースの評価表と呼ばれるアンケート用紙が配られます。

2016_Japanese_BLS_Course_Evaluation.png


アンケート用紙に喫煙するインストラクターがいて、不快であったことをはっきり書くようにしましょう。

またコース中に、喫煙所に関するアナウンスがあったとしたら、コース全体に関わるAHAポリシーに反する「重大な問題」です。

アンケート用紙の末尾に書かれている通り、AHAの国際部門(ECCinternational@heart.org)に直接通報していただくようにお願いいたします。

以上、スモークフリーな学習環境維持のために、皆様ご協力いただけますよう、切にお願い申し上げます。




posted by めっつぇんばーむ at 21:49 | Comment(0) | AHA-BLSインストラクター