*ブログ記事の過去ログ一覧は こちら です*

2017年02月11日

脱暫定コース、ようやく日本でG2015正式BLS講習が始まります

2月14日リリースの BLSプロバイダーコースG2015【日本語版】DVD 、一足先に送っていただきました。

待望のG2015日本語版BLSプロバイダーコースDVD


所感を少々。

英語版DVDでコース開催していても、口語で翻訳が難しかった冒頭の Providers Story の部分、正式吹替版を見てみて、ああ、こういうニュアンスだったのね、とスッキリ。

ただ、あまりに息せき切ったような発声に少々違和感を感じました。

洋画の吹き替えって、どうしてもアニメっぽくなっちゃうんですよね。

せっかっくいい話をしているのに、そこが軽い感じになってしまうのが残念。

今週予定しているBLSプロバイダーコースから日本語DVDをメインで使っていこうと思いますが、Provider Story の部分や Life is Why の部分は、引き続き英語版でいこうかなと思っています。

今回のG2015-BLSプロバイダーコースDVDは、中の構成が、病院内設定(in Facility Provider:IFP)と病院外設定(Prehospital Provider:PHP)に別れたパラレルな2部構成になっています。

日本語版DVDのすべてはまだ見れていませんが、現時点、気になったのは、プレホスピタルの乳児BLS部分。

ここで、育休中のナース・プラクティショナー(Nurse Practitioner:診療看護師)が自宅で赤ちゃんが心停止になってCPRを開始、救急隊に引き継ぐ場面があるのですが、日本語版DVDでは、ナース・プラクティショナーが単なる「看護師」として翻訳されているんです。

G2015-BLS-DVD乳児PHPでナース・プラクティショナーNPが登場する場面


2年前の10月から、日本でも看護師の特定行為研修が公式にスタートしましたし、それ以前から大分や東京、宮城などで日本版ナース・プラクティショナーの育成が始まり。JNPとして認知されてきています。

そんな時代なのに、ナース・プラクティショナーを区別せずに、単なる看護師に置き換えて訳してしまうあたり、ナースの私としてはすごく気になります。

コースの進行そのものにはなんにも関係ない、どうでもいいところなのですが、ちょっとこだわりたいなと思った部分です。

英語版DVDを持っている方は、この部分、見比べてみて下さい。

きっとこの女性の迅速な対応を見て受ける印象がちょっと違うと思います。

今後、このG2015日本語DVDを使ったコース開催が標準になっていくはずですが、オリジナルの英語版でしかわからないような微妙なニュアンスの部分も必要に応じて伝えられるようなインストラクターで有りたいと思っています。



posted by めっつぇんばーむ at 13:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2017年02月09日

ようやく! G2015-BLSプロバイダーコースDVD日本語版発売開始!

ようやく、です。

日本語版のBLSプロバイダーコースDVDが発売開始されます。

AHA-BLSプロバイダーコースG2015 DVD日本語吹替版


2017年2月14日 発売開始。

長かったですねぇ。

いまは、AHA教材販売代理店の シェパードAmazon で予約受け付けが始まっています。

英語版のリリースからちょうど丸1年。

英語以外のDVDはまだどこも発売されていないことを考えると、世界の中では早い方なのかな。

それにしても、受講者マニュアルが出てるのに、DVDがこんなに遅れるなんて、生殺しみたいの、辞めてほしいですよね。

すでに英語版DVDで講習開催しているところはともかく、大概のトレーニングサイトでは、2月14日にDVDを手に入れてから、インストラクター向けのトレーニングが始まって、一般公募という流れでしょうから、G2015正式版が日本国内で広まるにはもうちょっと時間がかかるかもしれません。

早ければ3月以降くらいなのかな。

恐らく、4月以降になれば、概ねどこで受講してもG2015正式版になってるんじゃないかと思います。


ちなみに余談ですが、翌日、2月15日は ACLSプロバイダーマニュアルG2015 の発売日なんですが、Amazon では、すでに予約受付を締め切っています。初回納品分がすべて予約で捌けてしまったんでしょうね。BLS-DVDを買うのは基本、インストラクターだけでしょうから、そこまでは行かないでしょうけど。



posted by めっつぇんばーむ at 21:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2016年12月23日

『BLSインストラクターマニュアルG2015日本語版』発売! その見どころ

先週に発売開始になった、待望の BLSインストラクターマニュアル AHAガイドライン2015 準拠、流通も安定してきて、本屋の店頭でもチラホラ見かけるようになりました。



ファカルティやコースディレクター、熱心なインストラクターは、すでに英語版を手に入れて内容を把握しているかと思いますが、やっぱり日本語になっていると、パラパラと一覧できて便利ですよね。


さて、ここで改めてG2010版から変更になった点や、見逃してはいけない部分をピックアップしてみたいと思います。

スキルチェックのポイントや筆記試験のオープンリソース化(テキスト類持ち込み可)については、過去のブログエントリーで取り上げているので、そちらをご覧いただくとして、、、

試験に関することは31ページから書かれています。


1.オープン・リソースで参照できる資料は?

BLSインストラクターマニュアル31ページには次のように書かれています。

「オープンリソース」とは,受講者が試験を受けている間参考教材を利用してもよいという意味である。参考教材には,プロバイダーマニュアルの印刷版または個人のデバイスで閲覧できるeブック,受講者がプロバイダーコース中に記録したメモ,ECCハンドブック, 『AmericanHeartAssociation心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドラインアップデート2015(2015AHAGuidelinesUpdateforCPRandECC)』,ポスターなどが含まれる。

ポイントは、「など」が含まれるという表現でしょうか。

ここに列記されているAHA情報源に限らず、その他の書籍もOKと私は理解しています。

ネット検索は? という疑問も出てきますが、タブレット端末の使用が認められていることから否定はできないなと思っています。

そして試験が資料持ち込みであることをいつ受講者に伝えるかという点については、メールや郵便での受講案内の時点で受講者に示しておくように書かれています。

2.呼吸・脈拍の確認は同時でなくても構わない

これはプロバイダーマニュアルにも載っているスキルチェックシートを見れば分かる点ですが、実技試験においては、脈拍と呼吸の確認を別々に行って、それぞれに10秒(すなわち計20秒)かけても実技試験には合格するようになっています。傷病者発見から胸骨圧迫開始までが30秒以内であればよいという規定があるからです。

つまり、G2010の手順でやってもG2015基準で合格します。

教え方としては、呼吸と脈拍を同時確認することが推奨されていますが、どうしてもこれまでの癖が抜けないという人もいるかもしれません。そんなときは、スキルチェックシートのこのゴール設定を理解していることが重要になるかと思います。

3.成人一人法で使う人工呼吸器具は受講者の現場に合わせて選択する

インストラクターマニュアル34ページに書いてありますが、成人へのBLSの実技試験では、有効な人工呼吸を行うことが求められていますが、使うデバイスは指定されていません。受講者の現場で実際に使うであろう器材を使えということになっています。

となると、受講者のうち、大方の人は現場にはポケットマスクがない状況かと思いますので、現実的にはバッグマスクという選択になることでしょう。そこで、バッグマスクを一人法で使うことも許容される点が明記されています。ただし、ご存知の通り、一人法ではバッグマスクの使用は胸骨圧迫の中断時間という点で難しいです。そのことを強調した上で受講者に、BVMなのかポケマなのか、フェイスシールドなのかを選ばせることになります。

4.チャレンジオプション

これはG2010から変わっていない部分ですが、あまり知られていないので取り上げました。

プロバイダー資格は有効期限2年ですが、それを更新するにはどうしたらいいか? という話の中で、チャレンジオプションという選択肢が設けられています。

一言で言えば、コースを受講しなくても、実技試験と筆記試験だけを受けて合格すれば新たなプロバイダーカードが発行されるという制度です。そのための条件がいろいろありますので、そこはインストラクターマニュアルの48ページをご覧ください。

なお、新教材リリースに伴い、2017年11月までは、このチャレンジオプションは凍結されます。それまでの間は、新しいコースDVDを使った受講が求められます。ざっくりいうと、1度は必ず新コースを体験しろ、ということです。

5.インストラクターへのリクルート 16歳以上から

これも前回のインストラクターマニュアルにも書かれていた点ですが、プロバイダーコース終了後にインストラクターになりたいという人がいたら、時間をとって説明しろということが49ページに書かれています。

ハートセイバー・インストラクターならびにBLSインストラクターの最低年齢制限は16歳であることも明記されています。

最近、知ったのですが、日本でも高校生でAHAインストラクターになった人が、2人はいるようです。しかも別のITCで。

6.インストラクター資格の更新条件

今回、新たな記載として入ってきたのが、インストラクター資格を更新するときの条件が明記されたという点です。これまではファカルティガイドやPAMに書かれていたことがインストラクターマニュアルにも記載されるようになりました。

インストラクタースキル証明のためのモニターができるのはファカルティである点が明記され、2年間に4回の指導実績についてもきちんと定義されています。

これはこれまでと変わったところではないのですが、知らないインストラクターも多そうなので紹介しておくと、BLSインストラクターとしての必要単位は、ハートセイバーコースでの実技指導・スキルチェックでもカウントできますし、PALS、PEARS、ACLSコースでのBLSセクションを担当することでもカウントできます。

7.デブリーフィングとフィードバック

BLSの実技指導技法としてのフィードバック。これはいまさら言うことはないでしょう。ダメ出しすればいいわけではないし、褒めればいいわけでもなく、インストラクターの働きかけが相手の行動変容につながり、正しいセットポイントで安定した動作が行えるようになるような支援のことをいいます。

G2015で新しく入ってきた指導技法がデブリーフィング。これはただ機械的に行動が是正されればいいだけではなく、内省を促して考え、判断して行動するスキルを醸成するための指導技法です。

ACLSやPALSではあたりまえの話なのですが、ここまでハイレベルなことをBLSでも求めるようになったのか、というのが今回の改訂の山場でもあるかと思うのですが、インストラクターマニュアルの説明はあまりに貧弱。

いちおう21ページに記載がありますが、これを読んでも、「だから何?」という感じでチンプンカンプンだと思います。

いま、新たにBLS Instructor Essentialsが開発されています。2017年3月までにリリースされる予定ですが、それに合わせてインストラクターコースも刷新されて、そこできっときちんとしたデブリーフィング訓練が盛り込まれるのではないかと思います。



こんなあたりがインストラクターマニュアル前半部分の見どころかなと思います。

後半のレッスンプラン(以前でいうレッスンマップ)部分に着目しても興味深い劇的な変更点がいくつもあります。ここについてはDVDを見ないことにはイメージ付かない部分が多いので、またこんど取り上げようと思います。

いずれにしても、まだBLSインストラクターマニュアルG2015を手に入れていない人は、早々に入手して、がらりと新しなったG2015 BLSコースを一日も早く自分のものにできるようにしていきましょう。



posted by めっつぇんばーむ at 11:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2016年10月20日

AHA-BLS G2015が始まるのは2017年4月以降、かも

先ほど、AHAからメールがあって、AHAガイドライン2015準拠のECCプロブラム教材リリース時期情報がアップデートされました。

AHAコース教材日本語版リリース時期一覧


それによると、気になるBLSプロバイダーコースの日本語版DVDとインストラクターマニュアル日本語版のリリースは、

2017年 1月〜3月

となっています。

年内には出るかと思っていただけにガッカリです。

すでに 受講者マニュアル【日本語版】 は発売されているのに、DVDがでなければ講習にならない。

このタイムラグ、最大で半年。

生殺しですか、、、とも言いたくなりますよね。

これはインストラクターとしても大迷惑で、G2010教材に変更を加えて行うG2015暫定コースの場合は、受講者にはG2010版のテキストを買って貰う必要があります。でも、すでに日本語テキストはG2015正式版が出ている…

めんどくさいですね。やめてほしい!

ちなみに、同じ2017年1月〜3月期には以下の日本語教材もリリースされる予定とのこと。

・ハートセイバー・ファーストエイドCPR AED
・ACLSプロバイダーマニュアル
・ACLSコースDVD

なぜか、ACLSインストラクターマニュアルは遅れるらしい。

次の2017年4月〜6月期には、

・ACLSインストラクターマニュアル
・PALS
・PEARS

と続いていきます。

このあたりになると、予定はあくまで予定であって、アテにならないものですけど、受講者マニュアルとDVDを発売して講習を開ける状態にしておきながら、インストラクター・マニュアルはお預けとか、意味不明です。

ひどく迷走している気がしてなりませんが、まあ、仕方がない。

ということで、ほんの数時間前に届いたばかりのホットな情報をお伝えしました。




posted by めっつぇんばーむ at 01:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2016年09月27日

G2015 BLSプロバイダーコース【正式版】進行のノウハウ教えます その2【筆記試験】

今日は、BLSプロバイダーコースG2015の筆記試験について掘り下げてみます。

2016_BLS_HCP_IVE_Exams_A_B.png
↑G2015 IVE英語版 BLS筆記試験問題の表紙


G2015から筆記試験がテキスト類持ち込み可のOpne Resourceに変わったという話は前回書きました。

これは簡単にいうと、知識を問うような問題ではなく、考え方を身に着けたかどうか、思考を問う問題に変わったということです。

試験問題の中身に関わることなので、あまり詳しく書けない部分でもあるのですが、シナリオベースの問題が増えたという点は言っていいかと思います。

その状況の中に自分を没入させると自然と答えが見えてくるような、そんな設問を目指しているのがわかります。

例えば、今回のガイドラインのBLSアルゴリズムでは、通報のタイミングをきっちりとは規定せずに、CPRを始める前までには完了するようにということを求めています。そのためには、周囲に人がいるのかどうか、自分が無線機や携帯電話を持っているのか、そしてそれはハンズフリー通話ができるのかどうか、などによって最適な通報のタイミングは変わってきます。

そんなところを考え、最適を判断することを求めるのがG2015スタイル。(別に通報のタイミングが試験にでると言っているわけではないですよ)

ですから、インストラクターは答えを与えるような指導をしちゃダメです。

原則を伝え、どう考え、判断するのか、その道筋を示すのが2015流です。このことはG2015版のDVDで蘇生科学の基礎原理をこれまでになく、詳しく解説していることからも汲み取れるんじゃないかと思います。


AHAの目指すところはよく分かるのですが、試験問題の出来栄えとしては、そこまで踏み込めているのかなと思う部分もありますが、少なくとも条件反射的に答えが出てくるような設問は抑えられている印象はあります。

カークパトリックのレベル2からレベル3以上を目指し始めた第一歩とも言えるG2015のBLS。この先のG2020では、この現場での転用スキルを問うという点が洗練されてきて、すっきりしてくるのかなと、期待しています。

英語ではそうなのですが、これが公式日本語になったとき、どこまでその意図を汲んだ日本語表現になるか、それが気がかりです。翻訳次第では台無しにしちゃいますからね。





posted by めっつぇんばーむ at 01:39 | Comment(2) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2016年09月25日

G2015 BLSプロバイダーコース【正式版】進行のノウハウ教えます その1

ようやくBLSプロバイダーマニュアルG2015の日本語版が出ましたね。



これで暫定コースではない正式版G2015講習に移行できる! と思ったら、残念なことに今回リリースされたのはプロバイダーマニュアル(受講者用テキスト)のみ。

DVDやインストラクターマニュアルの日本語版は遅れているようで、現時点、販売時期は未定です。

完全日本語化で講習開催するには、日本語のDVDと日本語の筆記試験問題は欠かせません。

聞くところによると、9月末に大々的なG2015版BLSコース開催のためのプレコース(コンセンサス勉強会)を企画していた某大手ITC2つはどちらも中止になって、代わりの開催日は未定だとか。

あと数ヶ月以内、おそらく年内には出てくれるかなと思っていますが、まったくわかりません。


さて、いずれにしても日本国内でもBLSコースが、暫定版ではない正式なG2015版に刷新されるのはそう遠い話ではありません。

組織としての伝達講習を待てばいいという人もいるかもしれませんが、やはりAHAインストラクターとしては、1日も早く新コースを知りたいですよね。


そこで、これから何回かに渡って新しいG2015正式版AHA-BLSプロバイダーコースのコース進行のコツについて紹介していこうと思います。


蘇生科学の変更より、教育工学上の変更が重要

G2015正式版のBLSコースで変わった点といえば、これがけっこうなビックインパクトで全然違っていると言っても過言ではありません。

蘇生科学に基づく変更点としては、大したことはありませんが、DVDを中心とした教育メソッドに関しては革新的な変化を遂げています。

その変更点の根源については、ガイドライン2015 の「第14章:教育(Education)」を読み解くと見えてくるものがありますが、それについてはおいおい説明していきます。

今までもそうだったのですが、今回のガイドライン改訂で、AHA ECCプログラムは、インストラクショナル・デザインに根ざして設計されていることがはっきりと宣言されました。

インストラクショナル・デザイン(ID)に基づく以上、ゴール・オリエンテッドということで、コースのゴールである実技試験、筆記試験を見ていけば、コースの意図・思想が見えてきます。

G2015コースの実技試験・筆記試験がどう変わったか、という切り口で、新コースデザインを考えてみようと思います。


1.実技試験(成人へのBLS)に見られる教材設計の違い

実技試験のスキルチェックシートの体裁がガラリと変わりました。

まだG2015教材を手に入れていないインストラクターさんも、AHA Instructor Network にログインすると、英語版チェックリストが無料公開されていますので、英語だから、と言わずにぜみ見てみてください。

G2015 BLSプロバイダーコース成人スキルチェックシート


日本語版のBLSプロバイダーマニュアルを手に入れた方は、それをみてもらうのが早いですね。


一言で言えば、厳格なチェックというよりは、ざっくりとした評価に変わっています。

例えば、CPR開始までの評価手順については順番は問われていません。

G2015では、呼吸と脈は同時に確認することが推奨されていますが、必ずしもそうではなく、別々に確認してもOKです。(それぞれに約10秒かけると最長20秒かかりますが、それでも合格できる基準になっています)

またしばしば問題となる通報のタイミングですが、これはアルゴリズム図やコースのデモ映像でも示されていますが、G2015では明確に定義はされていません。

ケースバイケースでその場で判断しろということなのですが、それが試験にも反映されていて、反応がないとわかった時点で「誰か来て!」と叫ばなくても試験には合格できます。胸骨圧迫開始までに通報が完了できていればいいのです。場合によっては第一報、第二報のように通報が二段階に別れる場合もあるかもしれません。


成人のBLSスキルチェックで求められるものも変わりました。

G2010ならびにG2015暫定コースで主に評価されていたのは下記の点でした。

 ・正しい評価手順と内容
 ・質の高い胸骨圧迫
 ・AED操作
 ・バッグバルブマスク換気(ポケットマスク換気はチェック対象外)

一方、G2015のスキルチェックシートを見ると、

 ・正しい評価内容(手順は問わない)
 ・質の高い胸骨圧迫
 ・質の高い人工呼吸(ポケットマスクorフェイスシールド)
 ・AED操作

そう、新しいBLSコースでは、成人の実技としてはバッグバルブマスクが使えることは問われておらず、逆にこれまで問題となっていなかった一人法におけるポケットマスクやフェイスシールドによる人工呼吸ができることが問われるようになっているのです。

つまり、問われているのは一人法BLSである、ということです。

この点は、ACLSでもまったく同じ評価表が使われており、市民救助者向けのハートセイバーコースでも、脈拍触知の項目がなくなっている以外は、問われている内容は同じです。

このことから、AHAがコース中に実技評価として求める成人CPRは一人法のみで、二人法に関しては試験では問わないという方針になったことがわかります。


2.実技試験(乳児へのBLS)に見られる教材設計の違い

乳児の実技試験に関しては、手順が問われない、ざっくりとした評価になったという以外は、成人ほどの違いはありません。

一人法〜二人法〜交代

この流れは変わっていませんので、バッグバルブマスク換気や、胸郭包み込み両母指圧迫法ができることが評価されます。

ただ実技試験実施上、気をつけなくてはいけないのが、

 ・第二救助者が到着後に行うのは、胸骨圧迫ではなく換気
 ・1サイクル毎に交代を促す

という点です。

やってもらうとわかりますが、これがなかなか難しい。

特に交代の促しですね。厳格にチェックリストに従うなら、1サイクルごとの交代を2回させる必要があり、忙しないと言ったらありゃしない。

受講者も交代に気を取られて、肝心の手技がおろそかになりがちです。それに本来なら10サイクルないしは2分で交代するところを強制的に交代させて、無理させるわけですから、あまりに非現実的。

これは、「実技試験の必要上これでお願いします」、という奥の手的な説明を受講者にしなければ無理かなと思います。

試験時間の短縮という点ではいいのですが、受講者への負担と現実性を考えると交代後1サイクル目できちんと評価をして次の2サイクル目で交代を促すほうがいいように思います。


3.筆記試験

これについては先行情報が出回っていて、知っている人も多いと思いますが、G2015正式版から、筆記試験はテキスト持ち込み可の Open resources に変更されました。

筆記試験というと、知識の記憶を問うものというイメージが強いかと思いますが、テキスト持ち込みOKとしたら、そこで問われるのは知識ならびに記憶ではないということはわかりますよね?

この大胆な方向転換は、コース全体が目指すゴールがガラリと変わったことを示します。

この点は非常に大切な点なので、インストラクター各自がじっくりと考える必要があります。コース中、筆記試験を意識して大切な点を強調した指導をしていたと思いますが、今後、強調すべきは知識ではなくなる、ということです。

この変更のインパクトが大きいとAHAも重々認識しているようで、"2015 Guidelines: Open Resource Exams FAQ"という通達文書が出されています。

AHA-G2015 open_resource_faq


これも AHA Instructor Network で公開されていますので、インストラクターは必ず目を通しておいてください。

特に"Why is the AHA moving to open resource exams?"という項目が重要です。


試験スタイルの変更から見えてくること

これらの試験における変更点から見えてくること。

簡単に言うと、G2015コースでは「現場で判断し、行動を選択する能力が求められるようになった」、ということです。

今までの、はからずもBLSはアルゴリズムを覚えて機械的に行動することが試験で問われていました。

BLSコースの本来の目的は、言うまでもなく、現場でBLSを行えること、だったわけですが、講習会場で保証できるのは、目の前のマネキンに対して正しい手順でCPRを行えることだけ。

この点はAHAガイドライン2015の教育の章の中でも反省として、「現在の教育研究はコース直後の能力を重視しすぎており、数ヶ月から数年後に蘇生イベントに遭遇した場合の受講者能力を反映しない可能性がある」と述べられています。

そこで今回のガイドライン改訂では、カークパトリック Kirkpatrick の学習評価モデルが引き合いに出され、講習会場での試験合格というアウトカムよりも、現場で実践・転用できるというアウトカム、さらには疫学的に患者転機に影響を与えるというアウトカムに着目してコース設計を行うことが書かれています。

このことを知ると、新しいBLSプロバイダーコースDVDで、細かすぎるくらいに蘇生現場の詳細が描かれている意味と、Life is Whyという一見情動的とも思えるショートムービーからコースが始まる意味が見えてきます。

つまり、講習会場では、いくらリアリティを出しても限界があり、どうしても対マネキンへのお作法練習になりがちです。しかし、その行為の先にあるものが何なのか、を常に想起させ、マネキン相手の行動が実社会とリンクするような働きかけをして、リアルな現場に転用させたい。それがリアリティのある映像です。

映像の中では、どのタイミングで急変患者のベッドのギャッジアップを水平に戻すか、どのタイミングで背板を入れるか、他のスタッフとの協同など、かなり細かい描写もありますが、それらノンテクニカルな部分は、実技試験では不思議なまでに排除されています。

実技試験はあまりにシンプルすぎるというギャップ。

実技試験のゴール設定が、コース全体のリアリティからするとあまりに単純化されているのは、コース内で保証できる部分ではないです。

コース中では、最低限のBLS手技を身に着けてもらい、しかし、それがゴールではなく、映像で示されていたような複雑さを極めるリアルな現場で転用できるスキルに底上げするのは、このコースの中ではなく、現場でのシミュレーションやデブリーフィングによって身につけるもの、という線引を明確に行っている結果と考えられます。(今回の新コースではデブリーフィングの見本をインストラクターが行うことと、学習者がリアルな急変対応後に自分たちでデブリーフィングを行うことの意義が解説されています。)

ここから私たちインストラクターに求められるのは、BLSコース受講と合格をもって終わらせてはいけないということです。

かつてG2005版のBLSコースでは、コースDVDの最後はこんなセリフで締めくくられていました。

「どんな年齢層の人であっても助けられますね? 十分訓練したのですから!」

この時代からは真逆の方向性になって2010と2015と改訂を繰り返して、今があります。

BLSコースでの技術習得と臨床での技術実践との間には、絶対的なギャップがあります。そのギャップを無視していたのがG2005。そしてギャップに気づいてどうしようかとあがき出したのがG2010。そして、ギャップを埋めるために"take home message"を引き出すという作戦に出たのがG2015コースといえます。

このことを意識したときに、インストラクターはG2015のコースマテリアルを使いつつ、受講者にどんな働きかけをしたらいいでしょうか?

このことがG2015コースの意図と効果を最大限に引き出す分かれ道になるはずです。



posted by めっつぇんばーむ at 21:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2016年08月20日

「AHAガイドライン2015」【日本語版】発売開始

待望のAHAガイドライン2015の【日本語版】がリリースされました。



やっぱり日本語で読めるのはいいですね。

英語版はPDF版がネット上で無料公開されているのに、日本語は1万円近いお金を出して買わないとダメなのは、ズルい気もしますが、まあ、仕方ないです。


さて、このような本の形でガイドラインが改訂(アップデート)されるのは、今回のG2015が最後かもしれません。

今後は、ウェブベースでその都度、修正を加えていくという方向性が示されているためです。

ガイドラインの大元になる国際コンセンサスは引き続き5年毎に改訂されていくようですが、ガイドラインはその流れとは別に5年を待たずにこまめに修正していくようです。

ある意味、大枠ではほぼ完成したということでもあるのかもしれません。




posted by めっつぇんばーむ at 18:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2016年08月14日

さらに遅れるG2015 AHA教材リリース時期【7月28日付最新情報】

ガイドライン2015とか、G2015版のBLS Providerコース教材の日本語版がリリースが気になるところですよね。

そう思って、AHA Instructor Network にログインしてみたら、ありゃりゃ、でした。

翻訳版教材のリリース時期の一覧表がなくなっているんです。前回更新されたのが、たしか4月7日。その最新版が出てないかなと期待して覗きに行ったら、4月7日付けのものもきれいサッパリ消えていました。

代わりにあったのが、7月28日付のUS/English版。

Projected Release Dates
2015-17 AHA Guidelines for CPR & ECC Tools & Products – US/English As of July 28, 2016


2016年7月28日付AHA英語教材リリース予定ページ1

2016年7月28日付AHA英語教材リリース予定ページ2


日本語の他、各国翻訳版のその後の動向はわかりませんが、英語版のリリース時期をひとつ前のと比較してみると、こんな感じ。

・Family & Friends CPR  6月/7月 → 9月/10月
・Heartsaver Bloodborne Pathogens 8月/9月 → 2017年1月/2月
・PALS Instructor  9月/10月 → 10月/11月
・Heartsaver Pediatric First Aid CPR AED 8月/9月 → 9月/10月
・PEARS 2017年1月〜6月 → 2017年3月〜6月

軒並み後ろだおしされてます。

こんな感じですから、日本語版もさらに遅れることは想像に難くありません。
なんだかんだ翻訳版の方は目処がつかなくなったから、情報を取り下げたのかなと勘ぐってみたり。

今回の英語版リリース時期一覧で出てきた新情報が1点。

BLS Instructor Essentials Onlineが11月/12月にリリース予定だそうです。

インストラクターコースに関して言えば、現在はG2015暫定版ということで、Faculty GuideとCandidate Workbook、そして新しい筆記試験問題がが英語でリリースされていますが、これらの有効期限も今年いっぱいということになりそうですね。

その後、G2015マインドが遺憾なく盛り込まれた新インストラクターコースに変わっていくのが楽しみです。






posted by めっつぇんばーむ at 10:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報
2016年07月03日

ニュース解説「救急車の到着遅れても…『心肺蘇生』で救命率2.7倍」…人工呼吸の重要性

6月30日、読売系のニュースとして「救急車の到着遅れても…「心肺蘇生」で救命率2.7倍」という記事がありました。

救急車の到着遅れても…「心肺蘇生」で救命率2.7倍


このニュースのソースとなったのは、金沢大学が6月20日に報道機関向け出した「救急車到着に時間を要する地区では人工呼吸を組み合わせて行う心肺蘇生の自発的実施が格段に優れた救命効果をもたらす!」(PDF:680KB)というプレスリリースです。

この研究は、ヨーロッパ蘇生協議会の機関誌に投稿されたもので、2007〜2012年の総務省ウツタインデータから「市民による心肺停止目撃193,914例」を解析した結果に基づいています。詳しくは上記プレスリリースを見てほしいのですが、金沢大学研究グループが報道機関向けに示す結論は下記の2点です。


過疎地域や高層ビル,交通渋滞の影響で救急隊到着に時間を要す場所で発生した院外心停止例では,近くに居合わせた市民が自発的に従来どおりの人工呼吸と心臓マッサージを組みあわせた心肺蘇生を実施した場合に,脳機能良好1か月生存率(1ヵ月後に自立した生活ができる状態で生存している割合)が他の心肺蘇生に比べ顕著に高くなる

市民に対して蘇生教育を行う立場の医療従事者に人工呼吸の重要性を再認識させるとともに,蘇生意欲を有し質の高い人工呼吸と心臓マッサージを実施できる市民養成とそのような市民を心停止発生現場にリクルートするシステム作りの必要性を示唆する結果となりました。



一言で言えば、「救急隊が到着するまで時間がかかるような場合は、胸骨圧迫だけではなく、人工呼吸も行ったほうが退院生存率が高かった」ということです。だから、「蘇生教育に携わる人は人工呼吸の重要性を再認識するように」ということを示しています。


これは考えてみれば当たり前の話です。

心停止に陥った人に対して心肺蘇生を行う目的は、体の重要器官(主に脳と心臓)に酸素を送り届けることです。胸骨圧迫によって、停まった心臓の代わりに血流を生み出して、血液中に溶け込んでいる酸素を脳細胞と心筋細胞に送り届けて、不可逆的な死を食い止めるというのがそのメカニズムです。

目の前で卒倒したようなタイプの心停止は、主に突然発症する不整脈が原因で、突然に心臓の機能が停止し、ほぼ同時に呼吸も止まります。

この場合、直前までふつうに呼吸をしていましたから、血液中の酸素飽和度は必要量が保たれています。ですから、ただちに胸骨圧迫を行えば、血中に溶け込んだ酸素が体の細胞に送り込まれます。ポイントは一刻も早く胸骨圧迫に着手すること。かつて蘇生法をABCという手順で教えていた時代では、人工呼吸の準備に戸惑うことで着手が遅れ、蘇生率が低くなっていた可能性がありえます。

ゆえに目撃された心停止では、人工呼吸はさておき、直ちに胸骨圧迫を行うことが推奨されます。これがAHAのいうところのHands only CPRであり、大阪のエビデンスが世界を変えた胸骨圧迫のみの蘇生法です。


しかし、すでにお気づきと思いますが、この胸骨圧迫のみの蘇生法が効果を発揮するのは、血液中に酸素が溶け込んでいる、というのが前提となっています。

目の前で卒倒した心停止者に対して胸骨圧迫のみの蘇生法を開始しても、救急車到着まで30分かかったとしたらどうなるか? 血液中の酸素はどんどん消費されていきますから、圧迫開始から数十分も経つ頃には血中酸素飽和度はゼロになる、というのは想像に固くありません。

圧迫により血液循環は保たれたとしても、そこに酸素が含まれていなければあまり意味がない、、、というのはお分かりいただけるでしょうか?

つまり、救急隊に引き継ぐまでに、時間がかかるようなケースでは、胸骨圧迫だけの蘇生法では追いつかないということです。

言うまでもなく、人工呼吸というのは空気中の酸素を肺胞を通して血液に溶けこませる作業です。

ですから、過疎地域や高層ビル,交通渋滞の影響で救急隊到着に時間を要す場所で発生した院外心停止例では人工呼吸と胸骨圧迫を交互に行う従来型の蘇生法が望ましい、というわけです。

つまり今回の報道は、蘇生科学のメカニズムでは自明だった点が、実データとして証明されただけ、といえます。概念としては新しいものでもなんでもありません。


今回、実証された例では、「市民により目撃された心停止」の経過時間に着目された研究ですが、同じように血中酸素飽和度に着目した場合、呼吸原性心停止が多い子どもの場合についても、すでに同様の実証データが出されています。


このことは、胸骨圧迫のみの簡易蘇生法の普及を阻むものではありませんが、少なくとも蘇生法を指導する立場の人が、単純に「人工呼吸は要らなくなった」と早合点したままで指導にあたるのは良くないと思います。

インスタント学習法でいいのは、市民の立場でバイスタンダー対応する人だけであって、少なくとも医療者や救命法指導員は、心停止と蘇生法のメカニズムを理解した上で、対象に合わせた指導をおこなうべきです。

つまり都市部の住民に行う救命講習は、胸骨圧迫のみの方法でいいかもしれませんが、救急車がないような離島での救命講習が同じでいいのか? プールの監視員向けのCPR講習がコンプレッションオンリーでいいのか? 子どもを預かる幼稚園の先生向け講習がAEDと圧迫だけでいいのか、など考えていく必要があります。

最大公約数的な蘇生教育も必要ですが、助けたい誰かが明確な場合は、そこにフォーカスして助かる可能性が最大限になるような救命法指導を行っていきたいものです。




posted by めっつぇんばーむ at 12:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 市民向け救命講習
2016年06月27日

筆記試験、資料持ち込み可になったのはG2015正式版だけです。(not暫定版)

知ってる人は知っている話ですが、ガイドライン2015正式版のBLS/ACLSプロバイダーコースの筆記試験は、テキスト持ち込み可となりました。

ただし、これはG2015正式版だけの話です。暫定コースは引き続き、持ち込み不可なのでご注意を。

これはインストラクター向けのメッセージですが、筆記試験が持ち込み可に変わったというのは、AHAコースの教材設計がガラリと変わったことを意味します。

テキストや参考書を見てはいけないとされる筆記試験で問われるのはなにか?

知識、ですよね。

それに対して、テキスト持ち込みOKの筆記試験で問われるものは何か? 少なくとも「知識」ではありません。

そう考えると、G2015正式版はG2010やG2015暫定コースに比べて、ゴール設定が大きく様変わりしたといえます。そこに向かってフォーカスした教材設計がされているのがG2015正式版。そこが暫定版ではまったく反映されていません。

と、考えれば、暫定コースで筆記試験持ち込みにするのはナンセンス。

わかりますよね?


ということで、インストラクター側も暫定コースと正式コースの違いを、教育学の観点からきちんと考える必要があります。中途半端なG2015化は浅はかとしか言えません。





posted by めっつぇんばーむ at 23:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 最新の心肺蘇生ガイドライン2015速報